鳩山総務大臣辞任
なるほどこういう決着であったか。私は喧嘩両成敗で、両者痛み分け辞任かと思っていた。昨年9月の発足以来、麻生内閣の閣僚の辞任は中山成彬前国土交通相、中川昭一前財務・金融相に続いて3人目。中山氏は犯罪者を作り出すとして、日教組解体を叫んで、罷免。出馬取り止めも記者会見したが、気が変わって又出馬の意向のようだ。教育が悪かったことが原因しているのか。中川氏は酩酊記者会見で、世界を「ギョッーギョー」とさせた。風邪薬と言う本人の言い訳を信ずるとしても、日本のイメージダウンには貢献した。そして、3度目の正直が鳩山氏だ。確か麻生氏の総裁選の旗振り役だった。その貢献度で、お友達内閣と揶揄されながら、総務大臣になった。しかし、噛み付いた相手が悪かった。三井住友の元頭取。財界を敵に回すことは、麻生氏には出来なかったのだろう。人気回復だけにかけていたのかと思ったが、しがらみの方が強かった。
危機管理が総理大臣の一番の役割であろう。残念ながら、その能力が鈍い。総理になって日本の政治を担う、のではなく。総理大臣になることが目的で、政治家になった人、といわれて来たそうだ。きっと、総理になったのに、選んだ大臣に恵まれなかった。と思っているのだろう。「鳩山を止めさせろ。」こういう声が、自民党の中では、高くなっていた。公明党まで何時になく、声高に主張していた。この高い声でかき消されてしまったのは、問題の本質である。郵政民営化とか、小泉改革とか、そんな問題でもない。簡保の宿の安売りの是非である。西川氏のハッキリしないのは、正しいと思ってやったことなら、貫くべきだ。大臣に言われたとたんに全てを撤回した。そんなに簡単に曲げると言う事は、後ろめたい所があるのだろう。こう下司はかんぐる。所が最近の報道は、粘りがない。目先の事に目移りする。本質を掘り下げる能力がない。
簡保の宿をオリックス不動産に2度の競争入札とされる怪しげな手法で、落札した事件である。2400億円と推定される費用で作った施設が、109億円になってしまった。郵政の簡易保険の運用を失敗した。この109億円が正当な価格であるかが問題。もともと許せないのは、簡易保険が杜撰に運用されていたことにある。1万円にしか成らないような施設もあるそうで、驚くべき経営である。さすがに公共的事業という物の採算性は、めちゃめちゃなものだ。民間が取り組みたいような、何とかなる施設もある。となると、1万円にしかならないような施設は今後どうなるのだろう。今の今も莫大な赤字を出しながら、経営されている。従業員もろとも、オリックスが引き継ぐと言うあたりも、実際は曖昧。きちっとした契約ではない。オリックスの主張する、2度の競争入札というのが、そもそも怪しくなっている。
政府の規制緩和委員会であり、 その委員長を務めていたのがオリックス会長の宮内義彦氏なのである。そういう人間が落札する。自分が民営化すべきと具申し。自分がそれを買い取る。倫理的問題が存在しないか。しかも、競争入札のはずが、オリックスが買い取る事は、前提として進められてきたようだ。麻生首相は、鳩山罷免、西川続投を選択した。これが自民党と言う組織だ。官僚批判はするが、財界の言いなりである。もちろん自らも財界人の一人でもある。国民の目を軽く見ている。日本は議会制民主主義の国のはずである。これほど、ゆがんだ内閣運営が行われていることを、国民が許す訳にはいかないではないか。西川氏は一定の非を認めている。それなら、西川氏の再任も認めないのが、普通のやり方のはずだ。麻生首相が自分の意志で動けず、お友達をも裏切るほどの、見えない力が蠢いている。