田んぼの入水口の作り方

   

舟原田んぼの入水口を作った。主に岩越さんが作ったのだが、アイデアを出し合いながら、とても良い入水口を作った。舟原の場合、ともかく水温を上げる工夫だ。今の時期の昼間でも15度くらいの水温が続く。昨年は、黒マルチの厚めのものを使って、40センチ巾で、長さ7メートルほどの水路を作り、水を回しながら暖めた。平均的に1度の水温上昇ができた。今度は土の水路で作った。巾を60センチに広げた。もう少し広い方が効果が高いと思うが、ついもったいない気がして、60センチにした。板を1メートル置きにジグザグにいれて、淀みというか「わんど」を作った。水路底も上下にでこぼこを作った。水流を弱める工夫だ。最後に板で一度水を止め、上水だけ流れ込むようにした。間に石を置いたらどうだろうかと考えている。以前はここにアルミの板を使ったこともある。見た目が石ほうが良さそうだ。昨日の実験では、1,5度の上昇が見られた。

鬼柳でも入水口を微調整できるものを取り付けて、冬の間色々考えていたのだが、なんと、水路の水面が上がったら、田んぼのあちこちから、水が湧いてくる。水が沸いているとは思っていたが、入水口を完全に閉めても、水は充分すぎる量が入る。結局排出口の方だけを、調整している。下から水が出るようにして、ソバカスが流れ出ないようにした。稲が少々かぶり気味の深水にしている。今の時期一番重視するのが、抑草である。実はこの水の調整は面白い。田んぼの条件に合わせて、思いどうりの入水量と、水位、水温を保つ工夫。これを考えていると、一日3回は田んぼに行きたくなる。「稲は足音で育つ」とかかっこいいことを言った人が居るらしいが、私は恥ずかしながら、行かせて貰っている。工夫上手な人なら、そんなに行かないでも出来る事だと思う。しかし、下手なりに工夫することは、やはり面白い。

田んぼの面白さは、格別である。先人がやりつくすほどの工夫をしたのに、まだまだ新しい方法が出てくる。チェーン除草の発想も、最初にやった人は度胸がある。上手く行く田んぼ、効果の無い田んぼ、そこが面白い。効果の程は土の性質次第の感じがする。畦から水が洩らない工夫。これも水温を高める重要な要素だ。去年畦際を掘って直してくれたら、下の田んぼが洩らなくなった。今年もこれはやりたい。今日去年洩った辺りをできるだけ掘ってみるか。今やっておけば後が楽だ。結局、田んぼの工夫はわかりやすいことの積み重ねだ。深水にすれば、ヒエが生えない。わかっていても、深水が出来ない。水面をソバカスで覆えば、コナギが生えない。わかっていてもその状態を作り出す工夫を楽しめるか。やるのを面倒に感じる人には、田んぼは厄介なことになる。

土づくりも同じことで、頭の中でイメージ化が出来るかにある。「良い土には草が生えない。」これがまだスッキリしない。良い土はどんな植物にも好ましい。作物だけ、優勢になるなどありえない。ところが、畑の上手い人は、この感覚があるようだ。上手い人とは、作物を半分の労力で倍とる人だ。下手な人と4倍の差ができる。4倍の差は暮せるか暮せないかの差だ。理屈を言う人は多いい。作ったことが無いのに、理屈では農業名人と言う人も居る。ヘンテコなキュウリを生命力が違うなど、うまい事を言ってごまかす名人も居る。味が格別であると言うのも、よく言うごまかし。農業は科学では割り切れない所はある。しかし、そこを変な御託を並べてごまかしているのでは、本当の名人にはなれない。いい作物のイメージを作れるかが重要。作りたいお米をイメージ出来るか。土づくりが分かるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

昨日の自給作業:入水口2時間 累計時間:10時間

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