最近の選挙結果を見て
石垣市市長選挙では、日本会議や参政党なのかと思われる右翼市長中山氏が5選された。絶望的な気持ちになった。それは尖閣を問題化して、中国との軋轢を高める方針の人だからだ。石垣島を防人の島にしてしまいそうな人だ。日本会議の会員では無いかと想像している。言動はまるで参政党である。
一応自民党と公明党の与党と言うことになってはいるが、参政党の神谷氏からは支持応援が来ていたという。あのひめゆり部隊を誹謗したが、参議院選挙で再選された、西田氏に対しても、中山氏は記者会見で西田氏の考え方は否定は出来ないとしていると、新聞報道では書かれていた。やはり日本会議の系統かと思えた。
では石垣市民が尖閣を市の一部として守らなければならないと考えて居るかと言えば、それは市民の中のごく少数派である。石垣市民の大半の人は、中国を刺激して、中国が軍事的な行動に出ることの方を怖れている。当然のことで自分の命の危険がせまる案件に対して、遠くの尖閣のことどころでは無い。
そのことは、中山市長が自衛隊基地の賛否の住民投票をどうしても避けたことでも分かる。しかし、市民は中山氏を5回も選んだ。その理由も島ならではのことだと思っている。中山氏が石垣市を基地の島にすることを受け入れているので、政府から様々な公共事業が導入している。基地の島になろうとも、明日の仕事が重要だと感じているからだ。
日本中どこの島も同じことであろうが、公共事業で島の経済は維持されている現実がある。特に国境の島とも成れば、港湾でも、飛行場でも、島の道路整備も、公共施設の一時避難場所化でも、軍事的目的に連動されている。自衛隊基地への港からの導入路であれば、黙っていても国の予算は降りる。
沖ノ鳥島など、小さな岩礁に見えるが、要塞のようにコンクリート護岸で取り囲み、海水面の上昇から守っている。確か、周辺の海底では珊瑚を増殖して島かしようと考えて居るはずだ。これまで750億円がかかっていて、年の経費が2億円という。つまりその事業で成り立つ会社もあるわけだ。
人が暮らしている島には一定の建設業が存在して、適度な仕事が絶え間なく供給されている状態が望ましい。あまりに大きな工事が一気に来るのも困る。島の建設業界がほどよく温まるように、仕事が継続する必要がある。自衛隊基地建設と、ゴルフリゾート建設は同時着工ではありがたくは無いのだ。
島の仕事にはキャパシティーがある。大型機械の導入などの設備投資も、適度な仕事の継続が前提である。動き出している事業であり、企業であるのだから、止ることが一番困ることである。建設ブームは悪くは無いのだが、ブームだからといって、一定以上は拡張しないのが島の企業だ。たちまちに、業者不足や労働者不足が起こる。
ほどよく拡大するのが島のやり方では無いかと思う。道路工事など見ていても、実に時間がかかる。工事期間を見ながら、徐々に進める。ほどよく公共事業が民間の事業の中に注ぎ込まれるように調整されていると思われる。このあたりさじ加減が、あうんの呼吸で調整される。中山市長が5回も選択される理由では無いか。
市民は大半の人が悩むところなのだ。ただ、経済の苦しかった長い間の経験から、現状はかなり望ましい状態だという意識が強い。この現状を細く長く継続して貰った方が良い。公共事業が無くなる恐ろしさを、現実の不安として感じている。もし、反政府的な市長が選択されたならば、政府は公共事業を止めると脅すだろう。
こうしたことは、沖縄の知事選では繰り返し主張されることである。オール沖縄候補の玉城氏に対しては、公共事業を減らすと、政府は繰り返し主張する。実際にそういうことが行われている。それでも知事選ではオール沖縄候補が選ばれる理由はこれも明白である。米軍基地負担がひどすぎるからだ。
沖縄本島では、政府の公共事業予算よりも、辺野古米軍基地増設批判の方が強い。石垣島では自衛隊基地がさらに拡大されても、中山市長である。米軍は自衛隊基地を共同使用するために、様々な布石を打っている。アメリカとの軍事同盟に対して、日本は発言権は全くない。沖縄で暮らしているとそのことがよく分かる。
先日も石垣島の北部の小さな港で、米軍が突然来て、海難救助訓練をやった。それを申請したのが、地元の漁業関係者の方だという。石垣市は知らなかったと表明した。沖縄防衛局も把握無し。書類が申請され許可を出したのだから、知らなかったはずは無い。知らなかったと表明する手はずだっただけだ。
北朝鮮のロケット打ち上げには、ミサイル迎撃の為などと称して、わざとらしく目立つところに、迎撃装置の配備が繰り返されている。日本のロケット発射の時にもやるのだろうか。石垣島ではこうして防人の島の地ならしを繰りかえしている。中国の台湾侵攻があるというので、島民の九州避難の訓練までされているのだ。
すべては茶番である。地ならしである。もし本当に中国が石垣島を攻撃するというのであれば、中国政府に対して、政府が緊急に交渉すべきことのはずだ。何らかの外交努力をしなければならない。尖閣に標識を立てて居るどころでは無い。尖閣問題を解決する外交努力を行わないには理由がある。
尖閣を問題化して、日本の軍事化を進めようというアメリカの指示なのだ。それに従わざる得ない政府の方針なのだ。それにしても、中山氏を石垣市民は選択した。これは重いことだ。明日、石垣が軍事基地化されることになるとしても、今日の石垣の経済が重要という選択である。
何故かと思うが、日本全体が経済至上主義である。やむ得ない成り行きなのだろう。市民が今やるべきことは、石垣を観光の島に進めることだ。石垣島が豊かな観光の島になることになれば、無駄な自衛隊基地は撤去してもらえる。東アジアが仲良くなれば、石垣島は素晴らしい観光地になる。
その素晴らしい観光の島とは、ゴルフリゾートではない。八重山諸島の豊かな自然環境の中で静かに過ごすことが目的。そして八重山諸島の優しい人情だ。石垣島の自然環境の魅力は、移住してから6年間毎日絵を描いていて、世界一だと確信できる。大切にして行けばその価値はさらに高まる。
選挙のことであった。悔しい結果であったが、石垣島を諦めるわけにはいかない。参政党の主張や西田氏の主張は、あまりに幼稚である。歴史を学んでいない。日本会議が流しているフェークニュースを受け売りしているにすぎない。しかし、こう言う間違った歴史認識が、SNSをとおして蔓延を始めている。
これから用心してみていかなければならないところだ。兵庫県知事の斉藤氏、伊東市の市長の学歴詐称。世の中の動き方が見える。真実がどうあるかでは無く、おかしな形で騒ぎが大きくなる。大きくなるにしがたい、問題が違うところに進んでしまう。問題の核心が隠されて行く。
2人とも政治家として論外である。論外の人が居座る環境が広がっている。民主主義の悪用である。悪く粘れば粘れてしまう。それで兵庫県が困るも、伊東市が困るも、ほとんないらしいから、そもそも市長とか県知事はいらないような仕事をしている人なのか。そんなはずは無いだろう。
民主主義が正しく機能するためには、正しい議論が行われなければならない。石垣島でも、選挙において石垣島の自衛隊基地の問題が、議論されたと様子が無い。石垣市議会でも、十分な議論は無い。少なくとも市民に見えるように話し合われた形跡が無い。ここからやり直して貰いたい。