テポドン2
北朝鮮が、ミサイルを発射した。まさかと言う感触と、やっぱりと言う思いが、同時に去来した。北朝鮮は相当に不安にさいなまれている。北朝鮮に暮らしている人でなければ想像できない、深刻な不安状態に、社会ごといるのだと思う。
日本でもH2Aロケットを打ち上げている。2001年から9回打ち上げられている。10号機として、政府の情報収集衛星(IGS)「光学2号機」が、この秋打ち上げ予定になっている。北朝鮮監視が主な目的と考えられる。北朝鮮からは繰り返し抗議がある。前の情報収集衛星は失敗した。H2Aロケットの開発と、北朝鮮の、テポドン2は関連して考えておいた方がいい。ほぼ同型の物だ。
H2Aロケットは一度打ち上げるのに、現在100億円かかる。6号機は打ち上げを失敗した。日本のロケットは、H2A以前も失敗を繰り替えしてきた。失敗したのに、成功したと言う嘘も確か2度あった。当時は190億かかり、世界水準から言うと、倍かかっていた。それだけの費用をかけて開発する意味があるのかと、何度も問題にもなった。商業的には、既に競争の埒外にいて、日本独自ロケットは商業目的とは全くいえない。
1度だけ、オーストラリアの衛星を打ち上げた事があるが、成功の確率が低すぎて、保険が入れなかったはずだ。
少なくとも北朝鮮からH2Aを見れば、長距離弾道ミサイルによる挑発と受け取れるだろう。日本はこの秋に10号では、偵察衛星を打ち上げようとしている。こうした事に対抗してのことと、私は受け止めている。
1発打ち上げ費用が100億と言っても、これには開発経費が入っているわけではない。開発費は別にして、今1機上げると100億円掛かるわけだ。これは北朝鮮にとって、大変な負担になっているだろう。軍を維持してゆく経費が、国民の生活を圧迫してゆく姿で言えば、日本の戦前を想像してみると、状態がわかる。全てが軍の為にあるということだろう。
この5年間、北朝鮮との、関係は緊張がより高まったと言える。その背景にあるのが、日米軍事同盟の強化だ。拉致家族問題は、2002年9月17日小泉首相の訪朝が、一つの山だった。その年の春から、この交渉に入ったと言うから、小泉首相は首相になって以来このことを一つの方向としていたと考えられるだろう。
拉致問題は30年前から日本政府は把握していたと思う。1971年当時、北朝鮮に拉致されるから、海岸に一人で行く事は、止したほうがいい。とは、当時能登では普通に言われていた事だ。拉致されたのではないかと言う人の噂も既に流れていた。流れ着くゴムボートや、無線機が頻繁にあるのだから、当然の事だ。
日本政府の考え方は、今の韓国政府と似たような認識だったと思う。金大中氏が日本で拉致された時の、日本政府の取った態度を思い起こす。監視し追跡して、拉致を許した。政治判断が働いている。
北朝鮮の拉致問題も、何故今まで、政治判断で無視してきたことを、突然、持ち出してきたかを注目しなくてはならない。
北朝鮮を孤立させ、仮想敵国として、追い詰め、無謀な事をさせるようにしている。それを背景に、日米軍事同盟を強化してゆく。このプログラムだ。全てをそのつもりで見ないと、理解が出来ない。日本国憲法の改定まで、アメリカは要求している。日本に米軍司令部を置く計画を出している。
しかし、北朝鮮の動向を見ると、罠にはまったように、緊張を高めてきた。日米のやり方は明らかに、悪い。原爆の開発や、テポドン2の発射で、世界の悪者に仕立てて、またイラクのように、追い詰めようとしている。
今こそ日本は平和的手段を持って、国際へ平和のため、何が出来るか動き出す時だろう。