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笹村 出-自給農業の記録-

石垣島の麦栽培

   

大きなヤラブの木下の新しい畑である。以前切り開いたことがあったのだが、何も作らないでいた間に、またススキが広がってしまっていた。今回下の畑に行く通り道なので、荒らしておきたくないのでもう一度畑にした。早速小麦を播種してみた。

石垣島では3回目の麦栽培をしている。2月中旬の播種になった。五穀栽培や野菜作りに併せてだんだん蒔いている。五穀の畑の空いた場所や、野菜畑の空いた場所に作っている。2月19日に小麦の播種を行った。全体で1反2セぐらいはあるだろうか。

もう1カ所畑が準備できればという場所がある。そこは1反ぐらいあるので、全部で麦畑が2反を越えることになる。麦をそんなに作ってどうするのかと言うことになるが、実は緑肥で終わってもよいつもりで作っている。麦を作ることは簡単なのだが、収穫まで持って行くのが難しい。鳥に食べられてしまうからだ。

防鳥ネットで覆うのが難しい。覆わないで食べられてしまったので、今は緑肥のつもりでいる。稔るまでになにか思いつけば、対策をしたいとは考えて居る。と言ってもそれも難しいことだとは分かっている。田んぼにはネットを張るポールもあるが、ポールやネットを2反分準備するのは今できるとも思えない。

だから、鳥に食べられるだろうと思いながら、作っている。危うくなれば、ハンマーモア-で細かくして、緑肥に漉き込んでしまえば良いと思っている。畑はなにか作物を耕作することで、少しずつ良くなって来る。作物が育つ土壌に育ってくる。特に腐植を漉き込んだり、腐植質のもので、表土を覆うことで、土壌が変わってくる。

バナナも実が生った後切り倒せと言うが、切れば良いと言うことではない。本来のバナナは、実を生らせるとその後その場で自然に倒れる。そして堆肥になり次の子孫を育てる。だから出来ればその場で倒れるのを待てば良いのだと考えている。

実際にのぼたん農園のバナナは切らない。その結果時々倒れる。そして、肥料もやらないのに、実り続けている。倒れたバナナが堆肥になり、土壌を作りながら耕作をすると言うことになる。熱帯の土壌の作り方は、作物自信が土壌の腐植を増やしていかなければダメだ。

畑を休ませるというのは、どうにも分からない。畑は作り続けることで良くなる。作物を作らないとしても、緑肥を育てるべきだ。うまく耕作をつないで行くことが良い耕作地を作ることになる。畑の微生物と荒れ地の微生物層では違うからだと思う。

畑は人工的なものなのだ。作物を作るという人為が加わっている。そのためには自然のままが良いなどと言うことはない。最近の風潮として、自然栽培という情報があふれている。鵜呑みにしないで、是非実践して見てから主張して欲しい。自然栽培で十分収穫することは、ほぼ不可能だ。出来たとしても収穫は少ない。

私は様々な自然栽培をやってみて、挫折したので書いている。自給農業は命がけのものでなければならない。そこで出来たもので自分の命をつなぐ。この本気度がなければ、無意味なもので終わる。自給農業は農家以上に真剣に取り組まなければ、自然に対して失礼なことになる。

麦栽培は荒れ地を耕作地に戻す第一歩である。麦栽培をしながら石拾いをして、畑の土壌を作るつもりだ。新しく始めた2カ所はまるで違う土だ。たぶん客土した土が違う。1カ所はどうも下のエビ養殖場から土を運んだらしい。海岸線に近い土壌で、石混じり砂混じりである。

もう一つの土はもしかしら元々ののぼたん農園の土壌かも知れない。赤土であってそれほど石も多くない。畑として作って行けば良くなりそうな土である。二つの畑の変化を見て行けば、畑として良くして行く工作の方法が分かるかも知れない。

その出発点として麦を蒔いてみている。発芽は4日目あたりで始まる。1週間すると、麦が発芽した筋がはっきりしてくる。発芽したところを麦踏みをしながら石を拾っている。まだトラックターがはねてしまうような大きな石が、所々から出てくる。掘り起こしながらの石拾いをしている。

麦は4種類の違う場所で作っている。田んぼの畑に5畝蒔いてある。長さは30mくらいだ。ここは牛糞堆肥も入れている。ここの麦だけでも収穫したいと考えて居る。来年の種にもしたい。ここはネットを架けることが出来るように作っている。この畑は何も耕作がされていなかったので、ほぼ荒れ地からの出発に近い。

下の畑は2カ所。海岸から客土された砂礫質の土壌と、本来ののぼたんの土らしい赤土の場所。赤土の方には牛糞堆肥を入れて、種を蒔いたので、一番生育が良いかも知れない。良く出来るようであれば、ここだけでもネット張りをしても良いかも知れない。

そしてまだ整備中なのが、2年前、3年前と2回麦を作ったのが上の畑。ここは黒糖絞りをする予定で去年空けたのだが、もう一度整地して、麦を蒔いてみようかと考えて居る。ここで麦を作ったときには、良く出来た。出来たのだが、2回目に鳥に食べられてしまい。収穫が出来なかった。

麦畑に戻すことが出来れば、かなり収穫があるのは分かっている。ここは播種まで進むとすれば、30㎝畝をとる2列と、60㎝空けて耕運機が通過できる畑にする。草取りもここはやるつもりでいる。出来ればネットも架けるつもりだ。かなり大変になるので、一緒にやる人が居れば可能になることだが。

土はかなり出来ているので、かなりの収穫があることは見込める。麦を使ってなにかをやりたい。そういう人が居ればやれることになる。そうでなければここも緑肥にするつもりで種まきをする他ないが、ここの土は少し出来ているのでもったいない気はする。

どの畑も、肥料は大して入れていない。今度堆肥センターでサービスで堆肥を運んでくれて、畑に蒔いてくれるという。これをお願いした。麦が少し大きくなったところで、堆肥を追肥出来たら、有り難い。その後土寄せをかねて、土寄せをすればと考えている。

この畑は麦ではなく、何か他の作物を作ることを考えた方が良いか。7畝近くあるので、とおもろこしにするか。カボチャにするか。みんなに希望を聞いてみた方が良いだろう。何が良いのだろうか。島カボチャは余り美味しくはないが、保存をして鶏の餌には成る。

今回麦畑を整備したことで4ヘクタールののぼたん農園の畑も、ついにすべてが耕作されたことになる。1.5ヘクタールが水牛放牧地で、水源林が0.6ヘクタール、のぼたん自生地が0.2だから、実際の耕作地は1.7ヘクタールになる。それでもかなり広いことは広い。

すべての土地の利用計画が実践されたことになる。5年目に成って、やっと予定地の利用が始まったことになる。そうではあるが、まだまだ、その利用を本格的なものにするには、耕作地を作り込んで行かなければならない。石垣島の自給農法の確立を目指したい。

のぼたん農園の冒険は私の最後の挑戦である。冒険生活は37歳の時に自給生活に挑戦して、始まったことである。冒険は間違った判断の結果幸運に成功してはならないという言葉をラジオで聞いた。間違った判断にもかかわらず、うまく成功してしまうと、次の冒険で無謀な判断をして命を落とすというのだ。

私の冒険は日々の命を支える冒険である。作物が出来なければ飢え死にする冒険。この冒険には失敗を繰り返す必要がある。作物栽培の科学的探求を続ける冒険である。研究の為には、失敗という資料をできる限り集める必要がある。食糧自給の冒険は失敗を糧とする冒険である。

35年間のあしがら農の会の活動を終えて、石垣島で「のぼたん農園」を始めた。それから、4年と数ヶ月が過ぎた。この冒険に間違いなどあるのだろうかと思う.間違った判断ばかり繰り返している。間違うから、これではダメだという確認が出来る。その結果間違った方角の中から、兆しが見えてきた。

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