小田原反原発デモ
3月11日小田原では反原発デモがあった。参加者は400人位だっただろうか。(露木さんのブログに220人とあった)わたしは、福ちゃんと一緒に参加した。このデモには、どうしても福ちゃんに参加してもらいたかった。誰より怒りをもってこのデモに参加したいのは、福ちゃんである。福ちゃんは南相馬から避難して来たセントバーナードである。飼い主さんとは連絡が途絶えている。福ちゃんは避難地域の中に、置いてきぼりになってしまった。原発避難地域では、取るものもとりあえず、命からがら逃げた。大震災も、大津波も怖かったが、それ以上に原発の爆発ほど恐ろしいものはなかった。政府からの情報はなく、行政からの説明もない。ただこのバスに乗って下さいというだけで、家から逃げに、逃げた。それからは避難所生活である。残された福ちゃんは、福島の犬の保護団体が、南相馬の自宅から救助してくれたらしい。その後どこかの避難所の庭に繋がれていたと聞いた。そこで、誰かを噛んでしまったらしい。それで、保護してもらいないかという相談が、UKCジャパンの方にあり、寒川に来たと聞いている。
福ちゃんは優しい犬である。うちに来てから一度も怒ったことがない。デモの途中で知らない人たちに、いくらさわられても喜んでいる。人を噛むというようなことは考えられない。今日のデモの時もおとなしくみんなに可愛がられている。その福ちゃんが避難所では、ガリガリにやせて、飼い主さんからはぐれて狂っていたのだ。こんなあわれな、可哀想なことがあろうか。来たときは45キロにまで痩せていた。今は60キロを越えている。飼い主さんとは今だ連絡が取れない。入院されていると聞いている。南相馬に行った時調べたが、所在は分からなかった。いつか故郷の南相馬に帰れると良いのだが、その可能性も薄いと思われる。寒川の一時預かり所では、大きすぎてゲージに入れるのは、可哀想だった。うちの奥さんは週に1回お手伝いに行っている。それで、何とかしてあげたくなり、我が家に連れてきた訳だ。
寒川のUKCジャパンの一時預かり所では、何100頭を一時預かりの家庭にお願いしていうのだが、まだ300頭が保護されている。ボランティアの若い人を中心にして、犬の世話が続けられている。ここに見える多くの人たちは、黙々と犬や猫の世話を続けている。声高に何かを主張する訳でもない。ただペット達が可哀想で見ていられないという気持ちだけで、保護活動を続けている。わたしもほんの少しだけ手伝ったが、その大変さは良く分かる。うちの奥さんが続けてくれているこおとには、感謝している。寒川の方に足を向けて寝られないような気持である。こういう民間組織は、4つ位はあると聞いた。協力し合って動いているようだ。国も、やっとここ来て、動き出したようだ。しかし、家畜たちの悲惨な状況を思えば、ペット達はまだましなのかもしれない。東電は寒川に居るペット達を考えているのだろうか。この活動を全面的に支えなければならないはずだ。
反原発のデモは若い人が多かった。子ど連れも多かった。この動きだけが希望だ。田んぼの仲間達も多数参加していた。若い人たちの作ろうとしている、反対の表現の形は、まだ見えてきていない。後半に成って、シュプレヒコールが出てきたが、特に音楽もなかったし、静かなデモだった。確かに敵の見えない反原発である。福ちゃんは散歩のときのようにはしゃいではいなかった。やはり、独特の緊張感を感じていたのだろう。警官は10名ほど付いていたが、警官というより交通指導員という感じだ。反原発の怒りの表現を見つけられないでいる。誰が、東電の支店に投石を始めても、何ら不思議ではない状況だけど、そんなことをしそうな人はこのデモには、一人もいなかった。