自給農経済

   

急に寒くなった。今朝は霜が降りている。畑のほうも仕事がだんだんなくなってくる。それでも、寒さに向かって芽を出す者達もいる。冬小麦が代表的なものだ。何故、寒さに向かって芽を出すのがいいのか。不思議なのだが理由は想像出来る。冬の寒さでも枯れない植物の場合、春先に幼穂を形成することは有利な側面がある。生育初期には他の植物との競争が少ない。その上に日に日に暖かくなるに従い、実を膨らませることが出来る。一番大変な子孫を残す仕事が、一番いい季節に行えることになる。それはエンドウやソラマメなども同じ性質だ。好き好んでこの寒さに小さな姿で耐える。虫も少ないし案外生き残る。暖かい内に撒くと、どんどん大きくはなる。しかし、寒さに耐えることができるのは小さい内だけで、伸びすぎると霜枯れしてしまう。だから、発芽ができるギリギリ遅く撒くのがコツで、どうせ春になって大きくなる。寒い時は寒い時にできるものを食べるのが、自給農の経済だ。

自給農の生産価格は、売られている食品価格と較べるて、安いと思うから成立する。例えばお米だ。10キロで、4000円くらいで売られている。農家が受け取るお金はせいぜい2000円ぐらいだ。自分で作る人はもし作らないで、買おうと思えば、4000円が頭にある。だから、4000円するなら作ろうと考える。このときには農協の出す。2000円は関係がない。加えて、大抵の場合遊んでいるより、田んぼでもやっていた方が良い。少なくとも地域での見栄えが違う。年寄り扱いも嫌だ。ゲートボールどころでない。まだまだ、田んぼぐらいは出来る。一丁前であると思いたい。これは私のことでもある。まして、無農薬でやる。有機でやる。天日干しでやる。不耕起でやる。冬季湛水でやる。そんなお米買うとしたら、1万円にもなる。それなら自分でやるのは、随分安いことのなる。

おおよそ、私たちのやり方の手のかかる田んぼの労働時間で、年間60時間だ。それでほぼ120キロのお米が分配できる。自給1000円の6万円の労賃を計算に入れたとしても、参加実費の1万円を加えて7万円で。10キロ6000円で、こんな美味しい、自分たちが望むお米が手に入れば悪くはない。これが自給農の経済になる。まして労賃を入れないで考えるから、自給農を淘汰することは絶対に不可能だ。しかし、自給農が出来るのはその場に暮しているからだ。最近フードマイレージと言う事が言われる。アメリカ製の食パン1斤を食べる場合と、北海道産の小麦で近所のパン屋さんの製造のパンを比較する。CO2の排出量で較べるようで、3分の1位で済むと表示されていた。東京から足柄地域まで出かけてきて田んぼをやる場合どうなるか。これはアメリカのお米と較べてどちらに成るか、似たような物なのか。

やはり、そこに住んでそこで作って、そこで食べる。これが可能であれば、フードマイレージでは、一番合理性がある。そして農法も、できる限りCO2を出さない方法を選ぶ。その集約された主張が、「地場・旬・自給」である。20年程前に死んだ窪川さんと迷走中の地球がどこに軟着陸するか。会うたびに話していた。特に日本の状況は、悲惨な未来が予測される。惨劇を少しでも軽減するには、食糧の自給を目指すしかない。その日がますます近づいてきている気がする。機械の使用を少なくすること。誰でも楽しく取り組める自給農の技術を確立する。そうした小さく循環する自給農業の経済合理性を確かめてゆくこと。2,3日前最後の路地トマトとキュウリを食べた。そして畑を片付けた。それは極め付けに美味しかった。もう少しハウスにトマトがある。これもそろそろ片付けに入る。

昨日の農作業:ほうれん草播種の準備1時間 累計時間:19時間

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