水彩画のパレット

   


水彩画の良いパレットがない。以前から困っていて、良さそうであれば使ってみていた。多分、めったに使わないパレットが10以上ある。もったいないことだ。使い勝手の良いパレットについに当った。写真の物である。水彩画のパレットで大切なことは、色の色調が正確に見えることと、水に溶かした濃度が自由になることである。そこで、陶器製の白い皿がいいのだが、これが日本画とは違う訳で、日本画の菊皿などでは使いにくくてダメだった。そこで、陶器店に行くと必ず探す。当然画材店より多種類あるし、いいものに当たることもある。今までは小皿で使い勝手のいいものを、あれこれ使っていた。所がこれだと、混色などが自由に出来ない。とっさの判断で、反射的に混ぜてゆくので、広く水の貯まる場所が無いと上手く行かない。そんなことを重ねていて先日、たまたま、家具のニトリがシティーモールにあって、そこで良い皿を見つけた。

見たときは一体どういう目的の皿か、皆目検討が付かない皿だった。こんな食器で、食事をするのだろうか。そういう人もいるかと考えたから、売られているのだろうが、どう見ても不思議な皿だ。唯一使えるとしたら、水彩画のパレットである。皿が可哀想に見えたので、どうせダメだろうと思いながら、二枚買ってしまった。一枚600円程度である。きわめて安いともいえるのだが、使えない物なら、えらい高い買い物である。本当に、食器として買う人がいるとすれば、この一マスにご飯も盛るのであろうか。後おかずが3種類か。それじゃー食べにくい。おかずだけ4種盛る、しかもかなり水分のおおいいおかずとなる。最初は恐るおそる絵の具を出してみた。私は12色程度を使うので、これだと8色と言う事になる。8色を斜面に出して、それを皿のそこで溶かして使ってみた。色の濃度が見えやすい。斜面の角度が適当で、水を多く入れれば、50CCくらいは一マスに入る。

今やこの皿無しに絵は描けないというほど手に馴染んだ。本当はもう一皿あれば、12マスになってさらにいいようにも思うが、面積的に現在使っている、テーブルの面積がちょっと手狭に成る。その点度胸が無くてもう一枚を買えないでいる。600円が惜しいという訳ではなく、絵の道具はそうは簡単に慣れた物を変えられない。しかし、あまりの使い勝手のよさに、もう3枚は買っておく必要があるかも知れない。こんなヘンテコな皿が何時までも売られているとは思えないのだ。本当はこの皿はオリジナルな目的でもあるのだろうか。北欧の何とか料理では一般的だとか。幕の内弁当を家庭に持ち込んだつもりかも知れない。もしこれを考えたのが、日本のデザイナーだとしたら、只者ではない感覚だ。只者ではないが、会社ではちょっと先に行過ぎていて、困りものかもしれない。イギリスの最新の雑貨店で売られていたパクリ。と言うようなことはないか。

その際ついでにと言うか、水差しも買った。この急須もおかしな急須で、蓋が変だ。丸で安定しない。上部全面がふたで、スッキリしているようで野暮ったい。いまひとつ決まっていないが、これまた、水彩画の水差しとしては、文句のつけようがない。この水差しで、溶く水分量を調整しながら、パレットに注ぐ。実に主張しないし、過不足がない。蓋だけはとっておいて使ったほうが良い。筆洗は日本画の筆洗いの一番大きい物だ。もうこの3点セットで、水彩の筆廻りの道具は結論が出たようなものだ。もう1点乳鉢があった。何でと思われるだろうが、これも必需品。どれも白の磁器。昔の電線の碍子のような、そう質の高いものではないから、殺風景な白である。その殺風景、実用一点張りの感じが、却って気分を邪魔されず。制作向きなのだ。どれも表面の滑らかさが筆を傷めず、水が切れるところも良い。落として割れず、滑らかさは金属たわしでも傷まない。

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