無防備平和条例

   

小田原市議会では、無防備平和条例が審議された。一杯の傍聴席は久々の事だろう。平日の月曜日、誰もが苦労して、仕事を休んでの参加だ。床屋さんだけはそうでもないか。今回条例制定署名の代表の6名が、意見陳述をさせてもらえた。条例制定の署名が、20人に1人5%集まった成果だ。議会事務局も頑張ってくれたとは思うが、休日か夜間開催が相応しい市民提出の条例案だ。議会では共産党の関野市議と、ネットの佐々木議員が、質問をした。関野議員は何と、この市民条例案は憲法9条違反だ。だから反対だ。こう言い切った。何と言う事よ。見えない確執を感じる。確かに、この法案に、問題がないとは言わない。私も無防備という考え方に、100%賛成という訳ではない。それでも、迷ったうえ署名はした。平和への方向性は同じだからだ。

何故、無防備条例が憲法9条に反するか。その共産党らしい理屈は、この条例が戦争状態を前提に考えられている。というのだ、既にこの視点から無理強情に反対したい、という姿勢が見え見えだ。9条を盾に反対すれば、自らが傷つかないと考えての、へんてこ論理。憲法9条は日本が平和である事を規定している。だから、戦争状態を想定した条例は有り得ないというのだ。それじゃあらゆる平和を目指した、運動も条例も、憲法9条違反だろう。唯一、憲法9条を守れが、許された平和運動というのだろうか。それなら、何故、関野氏はわれわれの提案する9条を守る活動にただの1度も参加しないのだろう。行動の伴わない、9条を守れの口だけで何をしてきたと言うのだ。本音の無防備運動憎し、が満ち満ちていた。共産党はダメだ。小田原の共産党は、心底ダメだ。無防備条例反対派もちろんかまわない。色々の意見がある、そしてその意見を述べればいい。

憲法9条の平和主義と、無防備平和条例の考え方は、相容れないどころか、同じことを違う形で述べているだけだ。9条では2項で軍事力の放棄がうたわれている。無防備条例では、小田原では一切の軍事力を受け入れないし、装備しません。こう宣言しようというのだ。そうすれば、小田原を攻撃することは、ジュネーブ条約違反になる。だから市民の安全が確保できる。こういう条例だ。その構想の是非を論議して欲しいのだ。ジュネーブ条約などで市民の安全は確保できない。正面から反対の意見は当然ある。さらに、防衛軍備が必要だという、9条曲解グループの意見だってある。正しく読めば、9条は防衛的軍備も認めていない。しかし、日本の経済世界進出と、アメリカの都合で、防衛的軍事力は必要、いまや、アメリカ同盟国の防衛に及ぶ軍事力まで必要と、9条の曲解が進んでいる。

しかし、6名の無防備条例の意見陳述は、立派なものだった。理路整然として、分かり易く、この条例の必要性を語った。それに較べ、小澤市長や、市橋副市長の、気のない生半可な答弁の逃げ腰、不誠実。考え方の違いがあるのは当然の事、正面から自分の平和論を語るのが、行政の責任のはず。9条を守るというなら、是非その平和論を、こういう機会に述べるべきだろう。少しも言わなかった。投げやりな態度で、薄ら笑いを浮かべ、何と言う不誠実な人物か。もう選挙がないからかまわないと言う事か。8000の市民が署名した。署名したくても名前を出せない人がいる。当然だ、この名前をチェックして、差別をする恐れを、市民は感じている。それでも8000の人が署名した。市民が変わり始めている。畏れていれば、灰色の朝が来ることを、市民は気付いた。

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