飼料の発酵実験
牡蠣ガラが購入できなくなった。沼津の石川商店が、閉店する事になった。長年お世話になっていたので、しんみりしてしまった。飼料高騰が原因だ。配合飼料でなく、個別にトウモロコシとか、小麦とか、いろいろ置いていてくれる、ありがたい飼料屋さんだった。飼料屋さん自体が、小田原には当然ないし、周辺にもなかった。私は、牡蠣ガラ、蟹ガラ、海草粉などを購入していた。農協でも変えないことはないのだが、価格が高すぎて、バカくさくて、買えなかった。石川商店の方の話だと、止められる畜産の方が多数いるそうだ。60%も餌が値上がりしてやっていける訳がない。こう言われていた。こうやって、小規模畜産農家は淘汰されて行く。いよいよ、飼料の完全自給の時代が来るのかもしれない。そこで、牡蠣ガラをどう生産すればよいか。カルシュームをどう与えればいいか。発酵実験をしてみている。
以前も、貝殻を発酵させてみて、1週間で、アサリなどがボロボロになり、2週間で、相当割れてゆく経験をしていた。所がハマグリは3週間経ってもダメだった。今回、帆立貝と、牡蠣の殻を発酵飼料に混ぜて、2週間様子を見た。その結果が冒頭の写真だ。帆立貝も牡蠣ガラも手で割れる状態まできている。これならそのまま続ければ、牡蠣ガラの粉砕飼料が無くてもいけそうだ。やり方としては、3週間で必要な量。私のところで言えば、15キロ。この量を貝の形のまま発酵層に入れる。3週間後からは、毎週5キロ発酵槽に加える。これで3週間後からは飼料に牡蠣ガラが加わり始めるはずだ。卵の殻を見ながら、続ければ時間と適量が見えてくるはず。今まで廉く牡蠣ガラが手に入り、つい甘えていた。今度は貝殻が廃棄されている所を探せばいい。
この実験を始めてみたのは、自然卵養鶏のフォーラムに質問が出ていた。どうやって粉砕すればいいかと言う事だった。それなら発酵させてみたら、以前の経験では可能な気がしたのだ。石川商店の閉店が加わり他人事ではなくなった。畜産業界はいつも人間の先を行く。食料高騰時代の幕開けになるだろう。人間は石油を食べているのだから、石油が上がれば食べ物も上がる。加えて、食べ物を石油代わりにしようというのだから、食べ物が大変なことになる。地球に人間が増えすぎた。限界を超えているのだろう。こんな状態になっても人口減少をマイナス要因と考える人がいるのは、経済優先の発想に毒されているからだ。労働人口が云々など、戦時中の産めよ増やせよのスローガン。と同じことだ。
やれることは、まだ飼料に成るものは、徹底して飼料化する。それには発酵技術が重要になる。しかも工場でやるような大規模発酵技術でなく、ローテク技術だ。自給家庭に発酵利用の飼料化を持ち込む事だ。何しろ、食品廃棄物が、2000万トン、飼料の輸入が2000万トン。食品廃棄物をどうまわすかを考えれば、先ずは解決する。そんなことは、10年ほど前から、盛んに言われて少しも上手く行かない事だ。それは産業として回す事を優先しようとして、畜産農家が直接は、かかわれないように制限しているからだ。小田原でも学校給食を有料で引き取る。産廃処理業者が居る。それでも産業としては成立しない。私なら、ただで引き取って、廻って行く。それを業者保護のためと思われるが、私を排除する。何処でも産業として、廻そうとしても出来ないでいるから、10年、何も変わらない。事例も出てこない。今更、小田原が業者を育てようとしても無理なことだ。この事実を環境関係の人でも理解していないで、産廃業者を持ち上げているから驚く。