辺野古移設裁判和解

   

普天間基地の辺野古移設の是非について、国と県で裁判で争ってきた。和解が行われ、裁判ではなく両者の協議によっての解決が目指されることになった。しかし、和解に際しての安倍総理大臣の記者会見では、普天間基地の危険除去は「辺野古移設が唯一の解決策」と発言した。今後の両者の協議で解決できるとは到底思えない。普天間の危険除去にはいくらでも方法はある。一つ覚えのように、唯一の解決策をオウムのように唱えるのは腹立たしいばかりである。まだ最善の方法だと考えているというのであれば、次善の策を求めて話し合いに入れる。安倍氏がこれしかないと固執する意味が理解できない。中国では制さ諸島や南沙諸島を実効支配するために、無人の岩礁に基地建設を行っている。日本だって同じことができないはずがない。日本の安全保障のために、どうしても沖縄に作りたいとするなら、辺野古にこだわらないことが国防上の有利になるはずだ。

誰もがその程度のことは理解できる。にも拘わらす、日本国の総理大臣がその程度のことがわからないはずがない。唯一の解決策と繰り返し断言する姿は、誰かにそう言わされているとしか思えない。それはブレーンの鵺集団なのか、アメリカの圧力なのか。安倍氏が日本人であるなら、沖縄差別をこれ以上続けてはならない。それは安倍氏自身にとっても、悲しすぎる選択ではないか。沖縄の置かれた苦しみ、悲しみに、心を寄せる日本人でありたい。70年前の敗戦においては、地上戦で地獄を味わい、その後米軍の占領下におかれ、ひどい差別を受けた。やっと返還されたが、その後44年が経過しても米軍基地の沖縄集中は、そのまま放置されてきた。それどころか沖縄への集中は、さらに深刻化されてきた。沖縄の怒りは当然のことだろう。しかも米軍基地の存在を経済のためには有利である如く、主張する者すらいる。そして辺野古が唯一の、標語である。

それでも裁判は一応は和解となった。可能性の低い一歩前進である。埋め立てが進まなかったことはジュゴンも喜んでいるだろう。これを解決への糸口にしなくてはならない。民主党政権において、鳩山氏は普天間基地の海外移転を口にした。これは正しい発言であった。ところが、何の進展もできなかった。それは、官僚も、アメリカも、鳩山政権が続くとは考えていなかったからだろう。民主党に打撃を与える意味でも、アメリカが日本に譲らなかったのだ。官僚がサボタージュもした。ただし、安倍政権はアメリカにとって続いてほしい、軍事同盟強化の政権である。辺野古以外の解決策を模索できる可能性はある。辺野古移設以外の道を見出せば、憲法の改定もできると考えるかもしれない。憲法改定の大きな不安は独裁軍事政権の誕生である。その本当のの姿が、今後の和解協議の中に見えることだろう。

沖縄は平和の島になる。世界平和の象徴と言えるような島になることだ。世界から日本へ人が来てくれるとしたら、沖縄の緩やかな空気こそ味わってもらいたい。日に日に失われてゆく日本というものの空気が、沖縄には残っている。あれほど戦争で踏みにじられ、アメリカの占領下におかれ、辛い日々であったことだろう。しかし、韓国のように解決のない、日本批判を繰り返すこともない。それは日本人であるからだ。日本人すべてが沖縄の置かれている状況に、思いを寄せる必要がある。普天間の米軍基地が何を意味するのかを考える必要がある。私は不要だと考えるが、もし日本の安全保障に必要だと考える総理大臣であれば、どうやって沖縄の負担を軽減するかを真剣に模索する必要があるだろう。お題目のように「辺野古が唯一」では、知性が全く感じられない。アメリカに対して正面から交渉をして、ダメであるならその姿を見せるべきである。北朝鮮の拉致被害者に関しては、交渉が見える。アメリカもトランプ氏の大統領なら、日米同盟は破棄だそうだ。それがアメリカの本音なのだろう。

 - Peace Cafe