大丈夫か、小田原市
11日付の神奈川新聞で、ヒルトン小田原の売却の方針が出てきた。少し前には、家賃が払えないので、1億数千万円を小田原市が免除してしまったヒルトンの話である。家賃が払えないものが、買い取るとは、何かおかしいではないか。駅前の地下街を数億円かけて手を入れて、商業施設として再出発事も出てきている。小田原市はお金がないので、落書きを消している活動の補助や、生ごみの堆肥化の数十万円の補助も危ういということである。一体小田原市のどこに、そんなお金が眠っていたのだろう。あるいはヒルトンに売り払ったお金で地下街を直すのか。家賃が払えないと言っていた会社が、家賃を払わないで済んだので、投資環境が整ったと言う。どう考えても甘く見られている。土地7万坪、建物1万6千坪という大型施設である。最悪、販売するなら公募する必要があるだろう。そうでなければ、小田原市には全く計算が出来ないのか、あるいは何か疑わなければならないものを感じざる得ない。第三者機関のチェックが必要な事案だろう。
そもそも、雇用・能力開発機構が455億円も費用を掛けて建設した公共施設であり、いわくつきの物件である。小田原市が買い取った時でも、税金の無駄遣いの批判があり、大騒動になった。それを今回小田原市が、政府に違約金まで払い、アメリカのホテル会社に転売するとは、驚くべき事態である。市長が独特の考えを持つことはあるだろう。市議会は何をしているのだ。充分チェック機能をはたしていると言えるのか。何としても食い止めるべきだ。小田原市のホームページでは買い取ったいきさつが出ている。そこにはスパウザ小田原勤労者リフレッシュセンターの建設の流れも出ている。小田原市が買い取って、何に使うのか議論が沸騰した。しかし、無理やり買い取り、ホテル業者に賃貸した。経営が出来る訳がないと言われていた。そして、家賃の免除、今度は転売である。この事例はどこからどこまで、根本が腐っている。
神奈川新聞の見出しは、「リゾート地域の核に期待」。となっているが間違っている。アメリカの圧力によって、かんきつ類の自由化が行われた。みかんが減反しなければならなくなった。跡地の利用を様々検討した結果、行われた事業である。外国のホテル会社にみかん畑を安く叩きうるというのでは、許される話ではない。周辺は今でも農地である。本来農業を行うべきとされる土地である。なし崩し的な、観光開発では話がおかしい。小田原市がこの建物と、土地の払い下げを受けたのだから、この地域の将来の展望に生かされる形に利用すべきである。その意味で、地域の農業の展望に何の関係もない、連携もないヒルトンホテルに貸し付けてあることが、すでにおかしい事であった。この地域の景観の素晴らしさは、関東では一番である。この景観を生かした農業の展開を目指すべき地域だ。四季を通じた摘み取り園がいい。農産物をただ物品として販売するのでなく、もっと全体を楽しんでもらう為の農業を考えて行く必要がある。その拠点となりうる施設である。地域と遊離したヒルトンホテルではだめだ。
家賃の免除の時、議会が阻止できなかった。こんなおかしな話がすんなり通った。これほど議会が甘いのでは、転売の話まで行くはずである。その前に、あの建物を返してもらい、利用しようという話はないのか。まず、ホテルに販売を決める前に、利用案を公募して欲しい。もっと地域に生きる利用法があるはずだ。あのホテルを拠点にして、新しい農業公園の展開。少なくとも農業を生かす形の、施設利用。まず、様々模索検討することが先だろう。家賃も危うい。施設を売り払って小田原市はすっきりするかもしれないが、それではみかん減反の穴埋めとして、地域の為に作った施設のはずが、ただ、外国のホテルに利用されたという、最悪の話になって終わる。小田原の汚点になる。あまりに情けないことだ。損得だけでなく、小田原の無尽蔵の資源はあの根府川の自然環境である。この大切な財産を切り売りしてはならない。