あえて、アセアン+3
アセアン10カ国に加えて日本、中国、韓国で経済連携を作る構想。まさにアジア共同体構想である。この地域の経済成長は著しい。玄葉外務大臣が言う通り、アジアを内需にする目的ならこちらを進めるのが本筋である。10回にわたるの農相会議を行い、緊急時に対応する備蓄米制度を確立している。東アジアの食糧安保の確立の第一歩。将来の経済連携を進める方向である。中国はアメリカの言いなりにはならない。そこでアメリカはアジア進出のカギとして、TPPに割り込んで来た。当然、日本の参加が前提である。玄葉氏は何を勘違いしているのか、アジアの市場を内需にするというなら、アセアン+3だろう。ほかの経済連携がすすまないので、TPPにまず取り組み、突破口にすると言う、方法論を主張している。しかし、現状のやり方では、アメリカの言いなりになる日本の姿を発信したことになる。これはアジア諸国には、中国には悪い材料ではないか。
アメリカは経済危機が迫っている。アメリカ人の放漫な生活はすでに足元から崩れてきている。方角のない反格差のデモが膨れ上がっている。しかし、デモがどれほど大きくなろうとも、解決の道は閉ざされている。問題はアメリカの経済の優位性が崩れ始めていることにある。誰が格差を起こしているのか、どこが問題なのかが見えにくい。オバマ大統領の登場は展望になるかに見えた。ところが、経済は相変わらずの困難な中にある。アメリカの不満は膨れ上がっている。軍事同盟国への、特に軍事をただ乗りしていると思われている日本に対する怒りは、攻撃の対象にうってつけっである。圧力をかければ、NOと言えない日本は格好のアメリカの市場になる。すでに日本は世界一の食糧輸入国である。これがアメリカのいう自由貿易の実像である。日本はアメリカと距離を保ち、中国・韓国・インドと対等の関係を模索する。こちらの道に進むべきだ。
日本はアジアの一国である。アジアの一国として経済的同盟を強めれば、アメリカの安全保障の傘もいらなくなる。もちろん、急にはいけない。徐々にである。アメリカと韓国の自由貿易協定の成り行きを見てからでも遅くない。ともかく今は、日本国内のTPP反対が強すぎるので、もう少しお待ちくださいが、最善の言い訳である。そうしてTPPの条件やルールがでそろった所で、入るべきものであるなら、入れてもらえばいい。もしその時点では乗り遅れている、あるいは困ったルールが出来ているなら、日本にとって健全な条約とは言えないのだから、入ったところで意味がない。TPPが多国間のものであるかのように言われているが、経済協定の側面から見れば、実質アメリカとの2国間の経済協定と考える必要がある。TPPに入らないアジアの国をどうするのか。一緒に入ろうと誘うのか。無理な話である。中国を中心にした、交渉の枠組みが必要だとおもう。
地域の暮らしを守り育てる前提をしっかりした上でなら。自由貿易と言う思想は悪い訳ではない。今からでも遅くはない、農業をどうするのかを、明確に打ち出すべきだ。食糧は貿易の例外とする。食糧を外国に依存することでは、暮らしの安定はない。今でも石油は備蓄をしなければ、安心できないように、食糧の備蓄もさらに必要になる。アジア全体が、こうした枠組みを作ったことは、アジアの将来の展望に繋がる。食糧危機が来るのは、時間の問題である。70億の世界人口があり、今だ増加が収まらない。その時に日本の食糧の生産体制が、しっかりしていることは、世界に信頼されることだ。農業をどのような形で、安定的なものにするのか。国民全体で議論して行く必要がある。