トランプと金正恩
トランプ氏は顰蹙を買う発言で当選した大統領である。北朝鮮の金正恩とツイッターでやり合う姿は、外交を弄んでいるとしか思えない。この二人はよく似ている。言葉を弄して、世界を破滅に導こうとしていることに気づかない。一人は小国の冒険主義者であり、一人は世界最大の国の次期大統領である。これからこの二人で世界を崩壊に導く可能性も出てきた。リーダーが最悪な場合、国家はどうなるか。2つの実験が進む。アメリカが節操のない国になってしまった。北朝鮮レベルの国になった。自国だけ良ければ構わないと考える国。アメリカが直接的に得になることだけをやろうという、アメリカファーストだ。アメリカが日本に来て余計なことをしなくなる可能性が出てきたことだが。多分脅せば金が出るくらいの、強盗外交が展開されるのだろう。脅されたアベ政権がおたおたしなければいいのだが。世界はゲスどもによって危ういことだ。
トランプによると日本の防衛を肩代わりしているので、損をしているという脅した。上手くやればアメリカは帰ってくれるかもしれない。アベ政権は泣いてすがって引き留めるだろうが、金の切れ目が縁の切れ目となる可能性が出てきた。ソフトバンクの孫正義氏は早速、訪問して5兆円のアメリカ投資を約束した。トヨタは1兆円だそうだ。大企業というものは強いものに従いたい。金儲けが出来れば、国家など存在しない。TPPができないなら、自ら出かけてゆく。日本の政治家もトランプのやり方をまねているようだ。維新の大阪知事はヘリポート抗議の人たちを土人と呼び捨てた、機動隊員をよくやったと言わんばかりにねぎらった。鶴保議員は土人発言を差別ではないと国会でわざわざ主張した。要するに良識を求める人たちから顰蹙を買う事で、人気を期待している。沖縄が損をしていればいいと言う、文句があるのなら補助金は出さない。利己主義者が人気を博すという現状である。
世界はトランプ的になっている。権力者という強いものが弱者をあげつらい差別をする。そして、人気を得る。成功者だけに正義があるとする社会。成金を成功者として理想とする社会。それから落ちこぼれた人間たちが、良識を失い選挙で成金を応援する。トランプのような差別主義者を貧困層が民主主義の選挙で選択する時代になった。選挙が論理性を失い始めている。近隣諸国を敵視するのも幼稚な手法。トランプを買えば誰でも金儲けができると宣伝する、サギ政治である。本来政治は正面から向かうべき道を指し示すべきだろう。こういう国を作るために、辛いことも我慢して頑張ろうというべきところだ。努力なしに上手く行くことなど何もない。黙っていて与えられることなどない。しかし、選挙ではもうまともな主張が選ばれなくなって言る。衰退する世界のなかで、良識格差が広がってゆく。民主主義の試練の時代が来た。
トランプが世論の動向を先取りして、思わぬ勝利に至った。日本も権力の暴言に甘くなった。甘くなっただけではなく、その方が人気を博すという社会になった。政治全体の質が悪くなっている。それは有権者が追い詰められているという事かもしれない。格差社会の結果、常民の劣化が始まったという事だろうか。トランプがアメリカで選択される理由に、クリントンより貧困層に支持されたという事があると言われている。トランプ主義の期待感でアメリカ社会は株価が過去最高になっている。弱者が、貧困層が、追い詰められ強い政治に期待してしまう構図。次に来るのはその期待の大きさに対する反動の絶望だろう。強いものが欲だけで動くことになれば、アメリカは中国と経済で結びつこうと変わるはずだ。だから、中国の居ないTPPを外れるのだ。アベ政権が中国との対立を深めている間に、日本は置いてけぼりを食らう。ロシアとの経済関係強化が裏目に出るに違いない。トランプ政治は人気取りの新しい形なのだろう。