トウモロコシの作り方
2回目のトオモロコシ、
トウモロコシは昔はもっと深みのある美味しい食べものだった。今のトオモロコシは甘くてやわらかくなったが、私の好みではない。昔のモロコシは香ばしく噛めばだんだん深みのある味がしてくるもので、結構堅かった。スイートコーンという感じのものではない。あれこれ昔のだという品種を作ってみたが、あの山梨で食べていたモロコシには及びもつかない。風呂炊きが子供の頃の役割の仕事だった。木小屋の薪を風呂炊きで使うことは、禁じられていた。風呂など、その辺の木を拾ってきて炊くものだとなっていた。外だから生木でもいいし、火の調整が要らないのだから、畑の枯れ草でもいい。夏の風呂炊きのついでの楽しみが、モロコシを焼いて食べることだった。風呂の火つけが一段落したところで、畑から取ってきて、炭のおきが出来た灰の中にくべる。火種と上手く距離を取る。何度か回しながら焼くのだが、最後に醤油を付けてもう一度焼くのがコツ。これを灰を払ってそのまま食べた。
実入りは爪を立てて、堅くなっている位がいいとされていた。今の品種をそこまで置こうとすると、しわが寄ってきて味が抜けてしまう。ちょっと硬いぐらいが、食べごろだった。今のトオモロコシは、粉に出来るような保存用のものではない。そこまで置くと、しわしわになり水分が抜けてくるだけで味は落ちてゆく。飼料用トオモロコシという牛の餌などに使うものは、これまた違う品種である。昔の山梨のトオモロコシは、もう少し置いて干せば、そのまま鶏の餌になった。棹に下げて、冬まで貯め込んで置き、少しづつ餌のない日には混ぜた。これをどんな味かと食べてみたことがあるが、食べられたものではないかった。ついでなが、鶏の餌を思い出したので。普段はコメ糠に、大根葉のようなものを刻んで混ぜ、水で練って与えていた。トオモロコシを与えるのは、特別の時だった。
噛むと味わいがあるトウモロコシに出会いたいものだと探していた。(1)デントコーン(2)フリントコーン(3)ポップコーン(4)スイートコーン5)フラワーコーン(6)ワキシーコーン日本での栽培は、保存のきく、甘さは少ないが香ばしい「フリント種」または「ワキシー種」が各地で栽培されていた。今も残って栽培されている有名な品種が札幌8行種。細くて長いものだ。これは岡本さんが以前種をくれて作ったものに近い。何故、栽培されなくなったのは簡単なことで、採りたて以外生食に向いていない。流通が出来ない品種である。まさにこれこそ自給用品種ではないか。その探していた種がついに見つかった。「甲州とうもろこし」野口の種である。間違いなくこれだ。今から栽培するものではないが、思わず取り寄せてしまった。370円だった。ちゃんと保存をして来春播くつもりだ。
トウモロコシの作り方は有機栽培でも難しいことはない。肥料として大目に堆肥を入れる。肥料のあるなしではっきりと生育が違う。生育によっては、堆肥の追比も良い。まず、出来る限り早めに作るのが1回目の栽培。苗をハウスの中で、トマトなどと一緒に播いて育てる。5月初めに暖かい日が続くと思えば、畑に植え付けてしまう。遅霜で枯れることも良くあるので、注意が必要。畑は肥料分があれば堅くても大丈夫。植えたならば、周囲に保温を兼ねて藁を敷く。十分敷いておけば後から出てくる草に負けることはない。風で倒されることがあるので、雑草の中に埋もれている形も風よけになる。もう一回は抑制栽培で、7月になってから、直播で行う。堆肥を入れて耕して置き、雨が来る前に種を播く。熱い時期なのですぐ乾くようなら、水やりが必要。雑草に負けるようなことはないから、草取りなど適当で大丈夫である。7月、8月に受粉を外して収穫をするように持って行けば、アワノメイガの被害は一気に減る。