アルジェリアでのテロ
アルジェリアで武力攻撃が起こり、大勢の日本人が殺されるという、大変なことになってしまった。日揮という会社が参加していた天然ガスプラントが攻撃をされた。亡くなられた方々は、サハラ砂漠のまっただ中で頑張っていたのかと思うと、悔しい限りである。これからこういう事件は多発するに違いない。どのように防ぐのか、真剣な対応が必要である。政府は自衛隊法の改変を言いだしている。全く無意味なことである。フランスもイギリスも、軍の対応など出来なかったというのに、自衛隊が出動するなどとんでもないことである。アルジェリアが外国の軍隊を受け入れる訳がない。あらゆる機会に自衛隊を持ち出すのが、自民党政権の安倍氏の発想である。どうすればテロを防げるか。このことを真剣に考えれば、自衛隊を持ち出すなど馬鹿げている。今回の事件で言えば、火に油をそそぐばかりである。世界の情勢をもっと深く考察すべきだ。
日本政府が行うべきことは、情報収集能力を高めることである。そして海外進出する企業に提供することである。今回のような事件が起きた最大の原因は、アルジェリア政府の武力攻撃に対する対策を良く分かっていなかったことにある。どんな対策をしてこのプラントを守ってくれているのか。もし不足であるなら、どのような対応が出来るのか。それも不可能なら引き揚げるのが正しい判断である。しかし、隣国マリにおいて、フランスの武力攻撃があった。あの時に次に何が起こるのかを日揮としては考えなくてはならなかった。それは日本政府も同様である。何の手だてを打たないまま、武力攻撃を受けてしまった。イスラム世界とそれ以外の世界の対立が絶え間なく起こる。この問題は経済の問題ではなく、思想や宗教や価値観の問題である。資本主義経済の価値観と対立している。日本があっさりと譲ってしまった所である。簡単な解決はあり得ない。どこで折り合いをつけ妥協するかだけである。
情報収集を自衛隊が行うということはある。しかし、これには自衛隊法の改正の必要はない。報道は連日このニュースだけである。確かに悲しい大事件ではあるが、その意図の先にあるのは、自衛隊を国防軍にするという、流れに利用しようというものだ。現在の報道の姿勢は、大勢が政府とあうんの呼吸で、体制翼賛的である。国民を扇動しようという意図もないとも言えない。尖閣報道でも同様である。尖閣に領土問題がある。私はそう考えている。根拠があるなしではない。因縁的であろうと隣国が自分の領土だと主張をしているのだ。日本のものである根拠があるなら、堂々と話しあうべきだ。話し合いも拒絶する姿勢は間違っている。このような主張すらできない報道がある。すべてが内向きで、自信の喪失が原因である。話し合えば不利になる。こういう思い込みがある。国際司法裁判をすれば公正な判断がされない。これは韓国の竹島に対する姿勢と瓜二つの姿である。
日本が外交を持って平和を守ろうと決意した以上。情報収集能力がないなどというのは、全くおかしな話だ。今回のような事態になった時、日本が一番情報があると言うくらいの能力を持たなければ、日本の安全は保てない。情報と軍隊とは別である。情報組織を自衛隊の中に持たない方が、外交上有利な点もあるのではないか。外交官として、武官ではなく文官として情報収集に当たる。この方が日本的なやり方だと思う。もう一つは、企業の海外活動をどこまで日本政府が把握し、かかわるのかである。今回のプラントへの参加は国策的なものであろう。政府がホローすべきものだった。企業活動の中には、必ずしも日本の利益にかなわないものもある。こうしたグローバル企業の活動をどう考えるかもある。いずれにしても、この機に乗じて自衛隊を国防軍への世論を盛り上げようと言う、政府のやり方は、日本の安全に置いて極めて危険である。