ガザ地上戦始まる
いよいよ中東大戦争勃発の危機が高まっている。悲しい怖ろしいことだ。既に多数の人命があっけなく失われてゆく。そのことを思うと、傍観者でいるしかないことは申し訳ないばかりだし、一体許されることなのか。この機会に戦争というものがどのような原因で起こるのかを、少ない知識でしかないが、分析してみたい。大雑把に言えば、ハマスによるロケット弾攻撃が続いて、それを止めるまでイスラエルが空爆をする。こう言う構図である。空爆をしても止めないハマスに対して、ついに地上戦にまで到る。当初沈黙していた。ブッシュ大統領は原因はハマスのロケット弾にあると、断定して、空爆を正当化する発言を行う。珍しく、アメリカの動向が定まる前に、日本政府は2つの行動を取る。イスラエルのオルメルト首相に空爆を止めるように電話をする。オルメルト首相はスキャンダルで不能状態である。当然相手にもされない。次にパレスチナ自治区アッバス議長に人道的支援として9億円を送ることを伝える。深い読みの行動なのか、不人気の中、日本の報道の傾向である、弱者の正義に反応したのか。
どんな戦争でも原因は複雑に絡み合い、アメリカの策謀だと言うような単純なものでないことがわかる。あのエンテベ作戦さえ、モサドがゲリラを扇動してハイジャックを挙行させた、やらせ事件だったことが暴露され、実に複雑なのだ。幾説か流れているものをあげれば、イスラエルの選挙を控えた党利党略である説。「バラクとリブニの政争」イスラエルの国防大臣のバラクは好戦派で、労働党の党首である。外務大臣のリブニは戦争を抑止したい外交派で、カディマの党首である。イスラエルは2月10日に総選挙があるが、バラクの労働党は劣勢だった。ガザ戦争の開戦によって、リブニ支持を食うかたちでバラク支持が急増した。次にアメリカのイスラエル自滅陰謀説。これはブッシュ大統領の政権移行に伴って仕掛けた罠。ブッシュ政権は、金融危機やアフガンの戦況など、米国が抱えるさまざまな危機が、オバマ政権になってから全崩壊的にひどくなるような仕掛けを随所に作っている観がある。イスラエルとハマス・ヒズボラ・イランなどとの戦争も、オバマ政権の就任前後に勃発するような仕掛けにしてあるとも思える。
いずれもアメリカはイスラエルから手を引きたくなっていることが原因している。経済的な問題が大きい。イスラム諸国との関係もある。行き詰るアフガニスタンや、イラン問題。パレスチナ内部の状況もまったくの混沌である。パレスチナ社会は、親米のファタハ(パレスチナ自治政府。西岸)と、反米のハマス(ガザ)に分裂しており、しだいにハマスが優勢になっている。米欧イスラエルはハマスを「テロ組織」とみなし、ファタハのみを正当なパレスチナ代表とみなし、交渉相手にしている。1月9日には、ファタハのアッバス大統領の任期が、後継者もいないまま終わる。選挙をやるとハマスに負けるアッバスは、大統領選挙をやれず、後継者を決められない状況。中東諸国で幾らか親米的である、エジプトとヨルダン。両国が表面はともかく、国内にかかえる原理主義者と繋がる、ハマスの台頭を喜ばない。
中東戦争が勃発し、原爆の投下まで進む可能性はあるのか。イスラエルはいつも有利な停戦条件に持ち込む形で戦争をしている。この戦争を直接引き起こしたのはハマスである。と言ってハマスに戦争の責任が存在するという訳ではない。12月19日停戦が終わる、ロケット弾攻撃を開始。ハマスはイスラエルの占領を待って、ゲリラ的に攻撃をしようとしている。イスラエルを引きづり込んで泥沼化することを狙っている。原理主義的冒険主義にありがちな戦略。問題はシリアまで巻き込まれるかどうか。当然、中東諸国の原理主義者を巻き込むことが、ハマスの狙いだろう。アメリカはイスラエルが中東諸国に原爆投下して自滅し、中東諸国も大きな打撃を受けるという、シナリオを描いていないだろうか。一番、怖ろしい想像である。