アベ政権の本当の恐ろしさ

   



 アベ政権は過去の政治状況ならば、退陣というような事件を何度も起こしている。それでもそれでも支持率を回復する。まさにゾンビ政権である。その原因は野党のだらしなさだと言われている。

 確かにその通りなのだが、問題はその先の話だ。何故野党がだらしないままでいるのか。と言うあたりにある。野党が分散しているからと言うが、一本化したところで、野党の信頼が高かまるとは思えない。状況はそんな表面的なことではない。支持が集まるならば、一本化できるはずともいえる。

 この野党に支持が集まらないのは、万年野党と言われた社会党時代から続いていることで、別段目新しいことではない。民主党政権が特殊な事例である。日本人には大きな変革を嫌う性格のようなものが根っこにあるのではないか。どちらかと言えば、現状維持意識が強く、冒険を嫌う国民性ではないだろうか。

 一度確立された形から逃れられない民族性のようなものがある。もし、日本がソビエトに占領されていたとすれば、東ドイツ以上の統制的国家を作ったのかもしれない。そしてソビエトがロシアが変わったとしても、共産主義まがいを続けているのかもしれない。

 お上に従う性格。長いものにはまかれろが身上の国民性。日本人は思想の存在しない社会が好きなだろう。主義主張はこの国ではあまり意味をもたない。だから、自民党は保守政党ではあるが明確な保守思想主張をする訳ではない。妥協的現実主義政党に見える。

 これは官僚などの性格に顕著に表れている。官僚という人たちは優秀ないわば競争の勝者である。自分の立場が壊されるようなものが育つことは極力排除しようとする。それが忖度政治になるのだろう。きわめて先回りをして、国民を操るようなところがある。当然、官僚制度の下では、平等や公平の感覚は生まれてこない。

 官僚は野党が政権を取ることで、身の危険を感じている。今まで構築してきた自分が上級にいるピラミットを崩される恐れを感じるのだろう。官僚の天下りはいけないというようなことは正しい理屈であるが、官僚にしてみればどのように誤魔化せばいいかを、巧みな能力で画策する。それを国民は仕方がないと受け入れる。

 野党の壁は自民党ではなく官僚である。国民の大半がそのように考えているから、野党が政権をとれば、官僚が作り出している社会構造そのものが崩れる不安を感じている。どれほど安倍政権がひどいことをしたとしても、野党の支持にはつながらない行政制度なのだろう。

 アベ政権は国民の性格を十分察知しているから、今も説明責任を果たさないで何もなきがごとき態度である。アベ氏の責任の取り方は誠心誠意政策を進めてゆくという事になるだけだ。責任を取って憲法の改定を行うというおかしな話になってしまう。

 このあたりまでは別段安倍政権だけでなく、今までの自民党政権共通の態度であった。アベ政権の本当の怖さは自民党内をオールイエスマンにしたところだ。安倍氏に反発するような人間は、自民党から立候補できない事になっている。

 ウグイス嬢多額報酬で問題になっている河井杏里氏は、1億5千万円も党から資金援助があった。このお金を県会議員等にばらまいた疑いが出ている。ウグイス嬢問題は氷山の一角である。何故河井氏にこれほど多額の援助が出たかは、アベイエスマン製造法がこの背景にある。

 選挙を通してアベイエスマンを大量に作り出した。今や自民党は反主流派というものがない政党に変わった。この点で自民党は大きく変貌した。この変化を巧みに作り出したのがアベ政権である。

 自民党の大半の議員は自民党に就職して、立派な国会議員に出世した人たちだ。何かやりたいことがあって政治家を目指すというよりは、議員になりたいだけに見える。官僚に似ている。上級国民になりたいだけの人という気がする。良い国を作りたいというより、国会議員に出世したいという人である。これを上手く操作するのがアベ政権である。アベ政権の鵺である。この見えない闇が本当の怖さだ。

 アベ政権に造反などするはずもない。異論があるなら自民党から出て行けという事だ。まさか、自民党の国会議員全員がカジノ賭博賛成とは思えない。少なくとも、10人に1人ぐらいは賭博を悪事と考える人もいるだろう。そうでなければまともな人間集団ではない。ところが表立ってそういう声は聞こえてくることはない。

 では公明党は何故カジノ賛成なのか。創価学会という宗教は賭博賛成の宗教なのだろうか。まさかそうではないだろう。どういう形で、公明党の小さな声を聴く力を、自民党の本音を読む忖度力に変えているのかである。公明党の抱き込み方に相当の工夫があるはずだ。もう真綿首を絞められていて、本音は言えない政党になっている。

 維新党のかかわり方も実におかしなものである。橋下氏のような人と自分のつながりを安倍氏は強調していた。憲法改定で繋がっているという事のようだが、もっとどす黒いもので首輪をつけている気がする。この辺にアベ政権の恐ろしい本領があるのではないか。

 前代未聞のアベ政権の恐ろしさだ。ここには見えない暗闘があるのではないか。多分自民党総裁室前には踏み絵が置いてあると思われる。何を踏んでいるのだろうか。正義・理想・志の三枚のマットが置かれている。それを踏みにじってからしか、総裁室には入室が出来ないという事になっている。



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