北朝鮮の原爆実験
北朝鮮が原爆の実験を行った。やるやると公言していたのだから、どこかでやらざる得ないだろう。やらなければ国民の信頼が揺らぐと、キム大将は考えたにちがいない。恐怖政治の悪循環である。似たような悪循環が世界中に広がっている。サウジアラビアとイランが国交断絶である。シリア、イスラム国、の混乱の波及が中東全体に及び始めた。ここに、世界の軍事大国がすべて、多種多様に介入しているのだから、世界大戦にまで進む可能性がある。かろうじて踏みとどまっているのは、原爆というあまりに強大な兵器が、行動をためらわせているに過ぎない。しかし、イスラム国がもし原爆を持つことになれば、すぐにでも使うだろう。世界が地獄になるに違いない。そのイスラム国に次いで凶器を秘めているのが、北朝鮮である。金正恩独裁者が夜寝れない恐怖は、国民とアメリカである。
北朝鮮が原爆を持った危険度は計り知れないものがある。4回目の核実験というが、徐々に実用化に近づいているに違いない。長距離ミサイルの方も実用化に向けて進んでいる。アメリカまで打ち込めるかどうかが今のところの分かれ目なのだろう。アメリカが水爆ではないと強調しているのは、ロケットに積み込める小型化の問題だろう。現状でも日本には十分打ち込める状態である。アメリカまで届かないから、同盟国日本でもいいやと、原爆を日本海側の原発に向けて打ち込めば、すべては終わりである。自暴自棄にならないことを祈るばかりだ。北朝鮮のミサイルを迎撃するだけの能力はどこにもない。この先も、時間が経てばよりリスクが高まるだけのことだ。アメリカの原爆を抑止力として当てにしていたとしても、北朝鮮が追い込まれたときには何をするかわからない可能性の方が高い。イスラム国の無軌道な蛮行を見れば、独裁による武力主義というものは最後には暴発するのだ。金正恩もサダム・フセインやカダフィーで学んだはずだ。
唯一の解決策は、仲良くなることだ。対立をして経済封鎖したところで、北朝鮮の貧困が武器の放棄になるという事はない。経済封鎖から北朝鮮は貧しくなり、原爆開発もできなくなるという可能性はない。北朝鮮の経済状態は、期待に反してそれほど悪くなっていない。経済封鎖が原爆の開発にそれほどの効果がないとするならどうしたらいいのかである。超大国だけが原発の保有を許されている正義を止めさせることだ。アメリカでは銃規制ができない。自分だけは原爆を圧倒的に保有していなければ安心できない国なのだ。戦勝国だけが原爆の所有権があり、正しい武器使用ができるなどというのは、勝者の正義の論理だ。さらに悪い事態が起こりうることは、生物兵器テロだ。ある日アメリカで手に負えない伝染病が蔓延する可能性はある。どれほど強い国であっても、暴力を防ぐ手立ては永遠にないというところに戻るべきだ。空想や楽観主義でそう思うわけではない。次の世界の安全平和を考えるときに、強大な武力を狂気の独裁国家が持つことの対抗手段がないことを北朝鮮は証明している。
経済格差が世界全体で広がっている。戦争は近づいてきている。安倍氏の国会答弁があまりに現実離れしていることに驚く。暴走国家に対して、断固抗議するなど寝言を言っていても何の意味もない。力の対抗が出来ないのであれば、大きな方角として、世界全体の軍縮である。そのためには平和憲法のある日本が世界に対して平和のメッセージを出すべきだ。日米安保強化など無駄なことだ。今戦争がはじまらないのは、強大過ぎる武器を持っているためらいだけだ。極地戦やテロが繰り返されるのはあくまで、原爆使用を実行しないだろうという、歯止めだけだ。ロシアはクリミア問題では原爆使用を考慮したと明言している。政府は中国敵視政策を強めているが、北朝鮮の危険度の方がはるかに大きい。中国を仮想敵国にするのは、不安をあおることで日本の軍事化を強めたいという愚かな政策に過ぎない。現実に刻々高まっている北朝鮮の危険には対抗する手段がないために、断固抗議するほか手を打てない。