タングドラムをつくる

   

何故、自給の一つに楽器作りを入れているかであるが、自給は楽しみを自給することでもある。デズニ―ランドに行って消費者として楽しむより、自分自身が楽しめるものを作り出すことが自給だと考えている。三線を弾いたり、タングドラム作り、敲くというのは喜びの自給だ。受け身では得られない喜びがある。そんなわけで音痴の音楽三昧である。

タングドラム第1号

木琴というものはパドックという木で作られているらしい。紫檀とか、花梨の一種らしい。ローズウッドという樹種も使う。いずれにしても硬い木で作る物らしい。そこで、持っていた縞黒檀で作ってみたのが、タングドラム一号である。一号というのは、もう少しあれこれ作ってみたいからである。次に花梨で作ってみて音色が変わるかどうかも試したい。舌の一つにとてもいい音がするところがある。まだなぜそこが良い音をして他より響くのかが不明である。他の舌を少しづつ変えて、全体の調整を続けたい。またビビりが出る舌がある。ビビりが音の多様さにもつながり面白いのだが、何故ビビりが入るのかが不思議だ。

木魚型タングドラム欅

タングドラム(素晴らしい演奏家のものを例として)はウッドドラムともいう。スリットドラムともいう。木でできた太鼓の一種である。日本で言えば木魚に一番近いものだ。木魚は持っていて時々敲くのだが、音階の変化がほしくなる。そこであれこれやってみている。竹に割れ目をつくる。その割れ目の長さを変化させて、音の変化を出るものをいろいろ作った。それなりに面白いのだが、木魚に比べて音の深みがない。そこで木の中をを刳りぬいて、木魚の一種を作り、そこに舌を作り、長さを変えてみた。素材はは欅だ。それなりに硬い木なので、なかなかの音になった。しかし黒檀には勝てない。見た目は一番である。

タングドラムさくらの試作品

これは上部が桜の木である。厚さは25ミリくらい。舌の部分の厚さを削って音を変えてみてるが、やはり桜の限界を感じる音であれば、音が籠ったような太鼓のような感じになる。もう少し響きの棲んだ音にするには、やはり硬い木を使わなければ無理なようだ。但し、どんどんという柔らかい響きの良さはある。これはこれでリズム楽器という価値はある。

木魚

小さなものだが、手でたたくととても一番いい音がする。ぽくぽくの音が高く響いてくれる。これを敲きながら踊ることができる。これで音階が作れればいいのだが、一つでは無理なようだ。

バンブースリットドラム

竹は簡単なところが良いが、木材に比べて音が軽い。樹木は厚さを変えたり、幅を変えたり、長さを変えたり、舌の先の空洞の大きさを変えたりすることで、音の違いが作れる。16キ―というタングドラムがあるくらいだ。木琴を考えれば当然のことである。木琴もマリンバやシロフォンのように、下に筒をつけて反響させることで、音を豊かなものにしている。今のところ下のボックスの効果がまだわからない。

タングドラム2号

昨日作ったものだ。いわゆる香炉台と言われるものだ。一見高価に見えるが、需要がないので格安で手に入る。木材を買うより安い。お茶室などで使ったものだろう。これは、立派な欅で出来ている。表面に切り込みを入れただけだが、案外にこれが良い音なのだ。びっくりポンや。

磨きをかけた後。

こちらが完成品。この抽象壁面ともいえる魅力がタングドラムにはある。切り込みの入れ方は、音のことだけを考えて作っているのだが、形は真似ているだけでなく、記憶の中の形になってくる。大学のころ一緒に美術部で制作していた、坪田さんの作品からこの形は来ていると思う。不思議なところで形がよみがえってきて驚いた。

ついでにもう一つ。

最近重要なことが分かった。それは音に重要な影響があるのは撥の方である。ばちはマレット(枹)というらしい。黒檀、硬質ゴム、プラスティック、綿を革で巻いたものなどさまざまである。しかしいろいろやっているうちに、スーパーボールというおもちゃのはずみの良いゴムボールを使ってみたらこれはいい。音がいっぺんに澄んだものになった。音の違いも鮮明になった。しかも、玉の大きさを変えてみるとこれまた音が変わるのだ。木の奥の深さに驚くばかりで、工夫する面白さで興味は尽きない。そもそも、リズム音痴がやるようなことではないのだが。鹿威しの響く木霊のような音に惹かれる。そいう音の出る。タングドラムを作りたい。 

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