山田錦の栽培方法
今年初めて山田錦を作ってみた。酒造好適米の品種の有名品種である。兵庫県の農業試験場で1923年に育成された。大正時代のお米である。山田穂と短稈渡船の交配種ということらしい。山田錦は米粒が大きい。光沢のある心白米のようにみえる。タンパク質の含量が少なく、吸水性・消化性がよいことから、「はぜ込み」(米粒の中心部にこうじ菌糸が繁殖していく程度)の良いこうじができるという優れた特長がある。これは米麹を作ってみるとわかることだが、お米の中央に菌がよく回るためには、米粒の中心部にでんぷんが多いいということが必要になる。でんぷんの多いいお米を作り出そうという作出が生んだお米である。そうした特徴があるために、100年もの長い間、栽培が続いているお米ということになる。古代米というものはいろいろ作っては見たが、どうも飯米とは違い過ぎて、古い時代のコメ作りを思い起こさせるようなものはなかった。その点で山田錦の栽培で、江戸時代の稲作が感じられればと考えていた。
結果から書くと、自然栽培で8,5俵の収量があった。お米自体はとても良いものが出来たと思う。栽培は難しい品種ではない。背丈は150センチ平均あった。確かに背が高いので倒れやすい側面はあるが、茎がしっかりしている。肥料のやり方を工夫すれば、倒れないで栽培できる気がした。この田んぼは稲刈りの時までぬかるんでいる、どろっ田だったので、かしいでしまった。穂が大きいということはないので、私の感触ではコシヒカリと同じ程度の倒伏の可能性かと感じた。草の茂る品種で、わさわさとする割には穂が小さいという感じだ。草の様子からすれば、畝取りできたと思えた。
一年栽培をしなかった草だらけの田んぼ4畝である。水はけの悪い、どぶ田である。何しろ稲刈りの時にも田植えができるような状態であった。水が一度も切れなかった。当然土はゆるゆるでいつ倒れてもおかしくない状態だった。写真のような状態で手刈りをした。かろうじて倒れるところまでは行かなかった。雑草を出さない栽培と、自然農法での栽培の、実際のところを見てもらうために行った田んぼである。その点ではとても良い耕作が出来たと思っている。雑草を出さないためにしたことは、冬の間にソバカスをまく。荒起こしは、代掻きは田植え寸前。田植え後最初から一貫して深水。流し水管理。田植え後早期に転がしを2回。夏場一回の拾い草。これで全く草なし。ヒエは以上の管理で1本もなし。コナギが少し出たが軽い草取りで済んだ。どこの田んぼでも、この抑草方法で除草剤を使わない栽培は完成している。
お米は酒造会社の人にも見てもらったが、合格の物であったようだ。青米が多かったのは、少し早刈りをしたせいかもしれない。倒れて来ていたこともあったが、山田錦は刈り遅れが良くないということを読んだこともある。また、稲刈り時に3枚の葉が緑が残っている栽培を目標にするとあったが、3枚は確かに緑で残っていた。一般の品種より20%減収するとあるが、確かに畝取りできた栽培なのに、届かなかったのはそういうことかもしれない。また、食べておいしくないと言われていたが、食べてみてまずいことはないという感じだった。おいしいお米ではないが、十分食べれるお米である。