国境なき医師団を空爆

   

「国境なき医師団(MSF)」は10月8日声明を出し、アフガニスタン北部クンドゥズの病院が米軍機の空爆を受けた事件で、医療関係者や患者ら33人の安否がいまだ分かっていないと明らかにした。(時事通信)

MSFは、誤爆だと言うアメリカの説明を受け入れず、「そうではないと証明されるまでは、これは戦争犯罪だという前提で進む方針だ」と声明を発表した。3日未明に空爆が始まってMSFはただちにアフガン軍や米軍上層部に連絡したにもかかわらず、その後も少なくとも30分は攻撃が続いたという。

アメリカ軍が国境なき医師団の病院を空爆した。医師や患者が殺されてしまった。全く許されない事態だ。戦争というものはこういうものだ、無意味に人が殺される。誤爆だったなど、言い訳は全く通らない。間違えで殺されてたまったものではない。尊い善意の医療活動の従事者が、間違って殺されていいはずがない。アメリカ軍には国境なき医師団の病院の位置は伝えてあったのだ。そのことは現地の米軍も、アメリカ政府も認めている。なぜ誤爆が起きたのか調査するといっている。本日までなぜこういう悲惨な事故が起きたのかの説明はない。アメリカオバマ大統領が謝罪したということは攻撃は確かに米軍が行ったということは認めたということになる。南京の虐殺があったかなかったかとか、従軍慰安婦問題があるとか、戦争というものの不条理は人間性の破壊である。誰が悪かと言えば、暴力を使う解決法自体が悪いということだ。イスラム国が何故出現したのか。テロはなぜエスカレートしているのか。この根本問題に踏み込まなければ、解決はない。

中国は違法に埋め立てを行い人工島を作ってしまった。ここを中国一国のものだと主張するには、少し無理な場所だ。フィリピンやベトナムの沖合である。強硬に軍事基地の建設を行い、領有権を主張している。米海軍のミサイル駆逐艦「ラッセン」が、南シナ海で中国が造成した人工島から12カイリ(約22キロ)の境界に接近しており、12カイリ内に数時間とどまる見通しだと明らかにした。ラッセンは現地時間27日早く、スプラトリー諸島のスビ礁とミスチーフ礁付近を航行。これらの岩礁は、中国が2014年に大規模な埋め立てプロジェクトを始める前までは満潮時に海面下に沈んでいた。ということで、領有権や領海は誰も主張できないとしている。習近平のアメリカ訪問の結果ということだろう。話し合いができないなら、軍事力で解決しようという愚かな行為。中国の愚かさはさらにそれを上回るわけだが。怖いのは、日本がアメリカに脅されて、ここまでのこのこ出かけさせれないかということである。戦争はこういうところから始まりかねない。

アメリカの空爆が正義で、ロシアの空爆が悪意のものだと言い切れるだろうか。イスラム国の文化財の破壊行為等見ると、理性の通用するような集団ではない。それはシリアのアサド政権の国民を虐殺するような行為も容認されることではない。そこにアメリカと、ロシアが対立したまま乗り込んでいって、ますます危機が深まる。南沙諸島にアメリカ軍が行くということは、当然尖閣諸島の問題も連動してくる。軍事的にしか解決がないのだとすると、日本も安全保障条約の下に、米軍の支援を行うという、例の国会での説明の紙芝居が思い出される。これは日本国民向けの教育的事例なのかもしれない。アメリカは始めた以上、圧力の意味が有効になるという、筋書きがあるはずだ。当然安倍政権との連動も筋書きにあるはずだ。中国の軍事基地建設が許されないのは当然だが、その解決法に軍事力ではより問題が悪化するとしか思えない。両国の首脳が話し合ったときに、こういう微妙な問題がどこまで話し合われたのかである。

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