法人税の減税はおかしい

   

法人税の減税が検討されている。到底受け入れがたいことだ。これは大企業優遇以外の何物でもない。法人税の減税の恩恵を受ける企業は儲かっている30%に過ぎない。減税分を賃金の上昇に使ってもらうということだが、これは大企業の社員中心の優遇となる。ますます、中小の利益の出ていない70%の企業にしてみれば、苦しくなるだけだ。何故こういうおかしなことになるかと言えば、安倍政権は国際競争力だけを重視しているからだ。たしかに、世界との競争に勝たなければ、日本の国力も上がらない。しかし、こうして大企業だけが競争力を高めてゆくという構図は、韓国が行って、社会がおかしくなり始めていることだ。韓国の社会のあり方が、望ましいだろうか。韓国の抱えている問題点がどのように深刻化して行くのか、十分に監視し、研究し、反面教師にするべきだ。サムスンの就職試験に大卒の25%が受験するという。そんな偏った社会は耐え難いではないか。多様性の失われた豊かさは魅力がない。

津波被害復興のために、国民広くに特別税が来年まで課されている。やむえない事態だと思う。東北の復興が日本国全体として大切なことだ。ここは辛抱のしどころではないか。絆とか、頑張れ東北とかのキャンペーンは、そういうことを意味しているのではないか。なぜ、大企業だけ友情の輪から外れるのか。そんなグローバル企業は日本から出ていけばいい。留まってもらっても、結局は日本の為にならない企業だ。あの経団連の会長のずうずうしい態度はどこから出てくるのか。もう少し我慢しようというのが、善良な日本人の思いであってほしい。法人税が不当に高いと思うなら、早く日本から出て言ってくれればいい。日本の現状は税不足なのだ。日本の企業であり、日本の為という思いがあるなら、ここは我慢のしどころではないか。企業はお金の為に出来ていると思うのは大間違いだ。資本というものにはそういう性格があるが、人間には幸せになるという命題がある。自分だけ良ければいいという訳に行かないのが人間ではないか。

足るを知る。人間の能力は、競争に勝つためのものではない。能力主義は差別を生む。人間は能力に関係なく、自分の人生を全うしなければならない。私にマチスの才能がないのは、明らかであるが、それでもマチスが私の絵を描くことはできない。他者と比較することなく、自分の十二分に向かって進む以外に生きるということはない。能力というものは一つの要素に過ぎない。何故法人税のことでこんなことを書くかといえば、企業であっても能力があるなら、あるほど、社会に対して還元することを考えるべきだ。国際競争力というものも最終的には、めぐりめぐって、日本社会への貢献度が重要になるはずと思いたい。そうでないとすれば、世界自体が破たんに向かっているということになる。競争に勝つことだけで、他を許さないような存在が、世界に受け入れられ続けることはない。

企業が内部留保を高めているということが言われる。企業の現貯金の額だけで見ると、2008年には200兆円2013年には225兆円になっている。これだけ不景気が言われた間、企業はむしろ貯金を殖やすことが出来た。同時に借金の方も減少している。そして政府の財政は借金が増加する一方である。個人も同様なのだが、こうした結果は不透明な社会であり、有効な設備投資の方向が見つからない状態なのではないか。ある意味、必要なものは十分に出回り、有効な新商品が見つからない。そして社会全体に、貧富の差が広がっている。消費税を増税し、法人税を減税するということは、格差社会をさらに強めてゆくということになる。法人税減税分を賃金上昇に回せというのが、政府の言い方だが、これはおかしな論理だ。法人税の恩恵を受ける企業と、法人税減税がそもそも関係のない企業にとっては、さらに経営が苦しくなるだろう。

 - Peace Cafe