金子哲夫さんの事
金子哲夫さんが亡くなられた。41歳と言うから驚きである。勝手に仲間意識を持っていたので、残念である。その人間の素晴らしさが、参列者に配られた手紙にじみ出ていて、素晴らしいものなので、全文を掲載させていただき。記憶しておきたい。
このたびは、お忙しい中、私、金子哲雄の葬儀にご列席たまわり、ありがとうございました。今回、41歳で人生における早期リタイア制度を利用させていただいたことに対し、感謝申し上げると同時に、現在、お仕事などにて、お世話になっている関係者のみなさまに、ご迷惑おかけしましたこと、心よりおわび申し上げます。申し訳ございません。
もちろん、早期リタイアしたからといって、ゆっくりと休むつもりは毛頭ございません!第二の現場では、全国どこでも、すぐに行くことができる「魔法のドア」があるとうかがっております。そこで、札幌、東京、名古屋、大阪、松山、福岡など、お世話になったみなさまがいらっしゃる地域におじゃまし、心あたたまるハッピーな話題、おトクなネタを探して、歩き回り、情報発信を継続したい所存です。
今回、ご縁がありまして東京タワーの足元、心光院さまが次の拠点となりました。「何か、面白いネタがないかな?」と思われましたら、チャンネルや周波数を東京タワー方面に合わせ、金子の姿を思い出していただけましたら幸いです。
このたび、葬儀を執り行うにあたりまして葬儀社のセレモニーみやざき 宮崎美津子さまには生前より真摯(しんし)に相談にのって頂きました。また、自分の歩んできた道とゆかりのある港区東麻布を終(つい)の住処とすることをお許しいただきました、浄土宗 心光院 御住職 戸松 義晴先生には公私にわたり、死生観などのアドバイスをちょうだいしました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。
最後になりますが、本日、ご列席下さいました、みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈りしております。41年間、お世話になり、ありがとうございました。
急ぎ、書面にて御礼まで。
平成24年10月1日
流通ジャーナリスト 金子哲雄
この人はとても硬質な経済評論家であった。おちゃらかしでふざけてばかりいる表面の背景に、とても大切なことを伝えようとしていた。日本を立て直そうと考えている人だと思っていた。今年の夏のお中元は何がいいか。この話が私が聴いた最後のものになったが、今年は果物などがいいのではないかと言われていた。とても暑い日が続くし、省エネで冷房を控えめ。こういうときは冷たい果物が喜ばれる。しかも、この気候なら果物も糖度が乗っておいしいだろう。デパートの売り場を回ってみても価格も3000円前後のものが値ごろ感がある。ドンと大玉のスイカなどもいいし、メロン2つなども良い。食べごろ日に冷蔵配達も指定できる。今でもあの陽気な声が思い出される。もうあの時には、覚悟されていたと思うと、すごい粋な人だ。激痩せした事をダイエットしたと話し、ブサイクは痩せても変わらないとちゃかしたそうだ。自分がお薦めしたお中元が届く頃に自分は。そう思っていたのかと思うと、本当にすごい人だ。学びたい。
何故金子氏に注目していたかと言うと、スーパーやコンビニの商品の価格に経済が表れているという視点である。庶民の目線で世界経済のこれから起こる危機を見ようとしていた。その姿勢からはずいぶん教えてもらった。私が農作業から、世界を見ているのは、そうした姿勢から学んだことだ。金子氏は軽さの根底に、日本を何とかしたいという気持ちを秘めていた。経済の下降線が、生活に現われて来る危機。そして庶民はどうやって生活を守ればいいのか。買い物をするという、暮らしと世間の接点に着目し、その実態から主張していた。経済の仕組みも日銀の経済政策など暮らしから遠い。インフレ1%目標などと言われても、実現できないと言われていた通りに終わった。ごまかされているとしか思えない。金子さんの言われている生活防衛術は、庶民の経済学である。生活と世界経済の連動を見据えている所が、大切な方角だと思っていた。
暮らしに、日々の買い物に、経済の矛盾は集約的にあらわれる。消費税を上げると言うことは、そう言うことになる。これは世界経済に繋がる問題でもあるし、日常のことだ。金子氏は上げる問題より、2段階の変化を問題にしていた。消費税変化が流通コスト負担を生む問題。一辺に上げるべきと主張していた。私が消費税に賛成なのは、消費は美徳ではない。節約こそ美徳。消費の歯止めの為に、国は消費税をかける。金子氏はこんな無粋なことは言わなかったが。スーパーでの買い物の場合、何曜日がいいとか、何時頃行けばいいものが安いとか。スーパーのビラの本当の読み方とか。農産物の流通から、お店の店頭に来るまでを説明していた。騙されない消費者を指南していた。そしていつも弱者の側に立って考えてくれていた。これからもチャンネルを東京タワー方面に合わせて、金子さんの事を時々思い出します。
昨日の自給作業:稲刈り4時間 累計時間:11時間