民主党に来たチャンス
八方ふさがりだった民主党に、わずかの光がさして来た。領土問題である。リミョンバク氏の非礼極まりない態度は、民主党の窮状を見かねてかと、疑いたくなる。こう押せばこう鳴くという人形のように、予想通り日本人が急に一辺倒に領有権を主張し始めた。もし、竹島の韓国の実効支配がおかしいなら、李少晩が占領した際徹底して問題にすべきだった。確かあの頃は、人も殺されたはずだ。大勢が拿捕され、とんでもない要求を韓国は繰り返していた。あの頃より今の韓国は良い国になったと思っていた。それが又何故、先祖がえりをしたのか。未来志向はどこに消えたのか。いずれにしても、日韓の当時のこじれた問題を、曖昧なままアメリカが容認したから、容認というよりアメリカの方針によって、こういう結果になっている。すべては、サンフランシスコ講和条約が原点である。今になってアメリカが不愉快だなぞ、何をとぼけたことか。
当時も今も、韓国は対馬まで領有権を主張している。領土問題はそもそもそう言う互いの理不尽だ。中国は、沖縄まで主張している人がいる。ロシアは北海道まで主張する準備をしている。しかし、そう言う事が起きなかったのは、アメリカという後ろ盾が怖かったからだろう。そのアメリカの後ろ盾をはずして、東アジア共同体構想を主張したのが、鳩山民主党であり、又それは私も長年願っていたことだった。民主党のダメな所は、願う所は正しいのだが、そこへの道筋がどれほど困難かを自覚していないこと。アメリカとの関係を後退させれば、当然隣国の態度は豹変する。そこをどのように押さえて行くか。外交的準備をして行かなければならない。ところが、普天間基地の移設で良く分かったように、グァム移設、徳之島移設は様々な妨害が入り実現できなかった。鳩山、小沢両氏の力量不足である。そして、東北大震災である。政治の不能が明らかになる。隣国もそれぞれに体制の変換が起きている。
民主党は消滅の危機であった。それが、この国難に乗じて、国は一つにならなければならないという主張から。何やら再生の兆しである。石原氏が吠えれば吠えるほど、野田氏を利することになるという不思議な構図。野田氏を弱腰だと責めれば、それに合わせて強気を増して来た。石原氏を上陸させる位なら、民主党幹部を先に尖閣に上陸させることになる。今後起きて来ることは、又政局である。国が一つにならなければならないという掛け声だ。戦時体制は現政権が有利になる。政権批判が利敵行為になりかねない。民主党政権が何故か、初めて動いているように見える。仮想敵国を作るということは、こういう事だ。だから、日本の為に、我慢せよ。マスコミも、ネットでも、ほぼ竹島は日本だで一色である。私は人のいない離れ小島ぐらいどうでもいいと思っている。きちっと位置付けることの方が重要だ。
いつの間にか、命がけの消費税もあっさり決まった。今度は領土問題に熱心な自民党が目立つ。しかし、領土問題は民主党に来た、起死回生のチャンスになる。政権の足を引っ張っている時ではない。国が一つになって、領土を死守しなければならない。追いこまれていたのは、リミョンバクだけではない。野田政権は何もできない、何もやらない言うだけ政権。これが定着していた。怖いのは訳の分からない命がけの実行力である。竹島を取り返せなど、自衛隊を勝手に出動させるような、幕僚長が現れないかである。前幕僚長は随分人気で講演をして歩いている。イラクに出動した、元自衛官のひげの衆議院議員も、とても張り切って弱腰外交を非難していた。こういうときは日本は、あくまで紳士的に、韓国が儀礼を欠くくなら、まずます礼儀正しく国際社会にアピールすることだ。尖閣も同様である。今のタイミングで、中国に国際司法判断を仰ごうと提案することだ。北方4島交渉もむしろ今が結論を出すチャンスである。