金正恩はなぜ太っているのか。

   

北朝鮮の今度の独裁者のキムジョンウン氏はとても太っている。29歳にして、あの肥満の度合いは相当のものである。何故なのだろう。バスケットが好きでいつもやっていたと言うから、太ったのは最近なのかもしれない。太った方がいいという国家的判断で太ったのだろうと言われている。この点がとても興味深い。今の北朝鮮は食糧不足である。太った人は特殊な人だ。ベトナム戦争の頃、ベトナムに太った人はいなかった。ベトナム人は民族的に太らないのかと思った位だ。しかし今はベトナムでも太った人がテレビに映ることがある。北朝鮮でテレビに映るような人は大抵の場合、優遇されているの人達だろうから、食糧不足と言うことは無い。テレビに出る年配の女性アナウンサーは少し太っている。それでも、ジョンウン氏ほど太った人は見たことは無い。想像するに太っていることを評価する社会的背景があるのではないか。余裕があるということが、太った姿に反映する社会。この事は考えて見ると面白い。

父も、祖父もどちらかと言えば太っていた。偉い人は太っているという感覚は、日本でもお大尽のイメージがあった。現在のアメリカでは太っている人は、社会的な不適格者という烙印がある。自己管理の出来ない人と言うことになる。大統領が太っているということはあり得ない。食糧のあり余る社会。食べないでいることの方が困難な社会。日本でも、ヨーロッパでも、太っていることはどちらかと言えば、良く言われなくなってきた。子供の頃、私の父親は太っていた。それをどちらかと言えば自慢していた。戦後の社会でも、まだ太っていることの方が立派だというような気分は残っていた。北朝鮮出身のトウコ堂という本屋のおじさんはとても太っていた。さらに太った息子が自慢で、大通りで裸にしては知り合いに見せていた。浦賀に来たペリー提督に日本人を大きく見せようと言うので、お相撲さんを連れて行ったという、笑い話のような史実を聞いたことがある。

北朝鮮はまだ、江戸幕府的な感覚かもしれない。世襲と言う意味のカリスマ性を重視すると、代代太っていた方がいいということになるのだろう。すごく痩せていたら、お父さんやお爺さんとなんとなく違うと言うことになるのかもしれない。20代で世界の異端国家を引きいると言うことは実に大変なことだろう。最初に映像に現われた時よりもさらに太ったようだ。海外の目より、国内の目を強く意識している。見た目を重視するという感覚は、現代の世襲の辛さかもしれない。北朝鮮の現実は厳しい。食糧が不足している。農業技術がかなり遅れている。もちろん社会制度が悪いから、健全な生産意欲がない。あれだけ軍事や国の見栄えにお金を使えば、楽な訳がない。中距離ミサイル一発撃てば、1万人分の食事が失われるだろう。テポゴンとなれば3億円と言われる。100万人分の食事だろう。武器輸出で元が取れるものかどうか。

あの肥満の原因は、そんな演出的なことではないと考えている。単純に、不安で食べすぎていると思われる。やけ食いをして、不安を紛らわせているのだ。独裁者の不安。準備が整わぬ内に、実力以上の立場に突然立ってしまった不安。やたら食べる位しか、この無限の不安を紛らわせることが出来ないでいる。あらゆる側近が敵に見えるだろう。それゆえに、この先不安から暴発する可能性がある。日本人を拉致したような、国家が誘拐を指揮するという、意味不明の事を再度やりかねない。さらに言えば、拉致などなかったと言いだすに相違ない。何を言われても、しばらくは刺激するようなことを避け、追い詰めない方がいい。どうせ遠からず自滅するのだ。何かとちょっかいを出してくるはずだ。柳に風と気にしないことだ。北朝鮮国内で何かが起こる。起こった時に日本まで及ぶだろう影響に備えておくことがいま必要なことだ。

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