「エネルギーの自給を考えよう」5
電力が始末のわるいのは貯めにくい所だ。一年の2時間位のピークと言われる最大使用量の為に、施設の規模を合わせて作ることは、もったいない設備投資である。確かに人口増加時代であれば、いずれ電力消費全体が増えて行くのだから、設備の拡大は不可避だった。ところが、人口は減少が始まっている。電力消費も節電が徹底され、発電量自体が縮小して行く社会を目指さなくてはならない。実はこのところに営利企業の矛盾があり、原子力などに手を出す事になったと考える。資本と言うものの、利潤へ動く姿である。今までは、独占の東電の言いなりで、どうやって消費を拡大させるかが画策されてきた。電気は無駄遣いがされなければ消費が伸びない商品なのだ。これからは、消費の抑制が焦点になるだろう。良い方向に社会が変わろうとしている。そこで、原子力の悪夢が冷めないうちに、これからの時代の電力の形を固めて行く必要がある。
2つの方向がある。一つは使用電力をどうやって、ピークを抑え平均化するかである。もう一つは、自然エネルギーへの転換である。ピークを抑えるためには、料金制度である。昼間の1時から5時位を倍くらいの価格にする。倍で駄目なら、3倍にする。この時間は電気の買い取り価格も、倍にする。同時に夜間電力は半額にする。高くなれば、可能な産業用電力の方では、必ず安い時間にシフトして行く。倍でシフトできないなら、3倍にする。曜日で変えるのも良い。土用日曜日が電力は余るようだから、この日を安くする。今冬の電力需要が言われているが、それが本当なら、暖房は冷房より簡単である。電気暖房でなく、チップボイラーによる地域暖房を始める。電力価格を政策的要素を強くすべきだ。自然エネルギーへの転換は、エネルギーの地域自給を模索する必要がある。電気も地域の自給自足資源にした方が良い。送電経費や、ロスを考え、身近な見える形による地元企業による電気の生産。マイクロ発電の開発。個人の自給自足エネルギーには価格的な制約は低くなる。
自然エネルギーの自給にも普及には2方向ある、一つは電力買い取り制度を電力全体の中で、公平に広げる手法。もう一つが法的制限の解除。買い取り制度は、安定的に高くして行くほど、普及が進む。その時、公平に自然エネルギーに取り組める条件の提示が必要である。誰れもが太陽光をやりたいと言っても出来ない。この不公平をどう解消するか。例えばやりたい人がいたなら、公民館の屋根などを貸したらどうか。つまり、公共が病院の屋上など、場所を公平に準備する。そこに投資を誰もが出来るようにする。その投資が買い取り価格が高くなることと連動していれば、自然エネルギー発電所に投資することが公平に出来る。もちろん自分の屋根に設置したい人には、無利子の融資を行う。それは小水力や、風力でも同じような仕組みを作れば、自然エネルギーの地域自給が可能になる。買い取り価格を上げることで、新しい産業を創出する。電力会社の独占既得権を、終わらせる。
農業もそうなのだが、独占的既得権益をいかに守るかが、日本政府の政策の姿勢だ。民主党になればいくらかは変わるかと考えていたが、一向にこの点は変わらなかった。それは、法的に制約され守られているものもあれば、意識として守って来たものもある。自然エネルギーの開発を阻害している法律は変えなければならない。独占の解消である。もう一つの意識改革こそ、自給エネルギーの出発点になるだろう。技術革新が目覚ましい所が、蓄電技術である。家庭で利用できる範囲に数年先にはなるだろう。そうなれば、ピーク電力の解決も可能になる。又自然エネルギーの地域自給も、一気にとハードルが下がる。現状行うべきは、まず小田原の自然エネルギー資源の調査である。