食料自給率

   

農林水産省は11日、2010年度の食料自給率(カロリーベース)が前年度を1ポイント下回る39%になったと発表した。2年連続の下落で、4年ぶりの40%割れとなった。自給率は計算がおかしいという意見がある。70%が69%になったのでもいい。農業従事者の減少が問題と考えている。日本の農業がこのままでは終わりになるだろう危機感である。現政権の民主党の農家の戸別補償政策が、悪い方角である。選挙目当ての政策で、さらに農業が衰退する。それは自給率低下にも表れていると言うことを、確認したい。農家の戸別補償で農業を継続する人が増加することはないだろう。ほとんどの農家がこれは一時しのぎにすぎないと、考えている。さらに問題は、戸別補償があるから、農業の道に進もうという若者が出てくるとは思えない点である。新しい人が始めることが出来ない産業が衰退するのは、自然なことである。

戸別補償は80過ぎても農業を続けていて、もう止めようかと思う人がもう一年続けるには、効果があるかもしれない。あるいは、65で定年になって、家の農業をやろうかと思う人には、効果があるかもしれない。つまり既得権が対象の政策である。政府は、若者が農業を始められる政策を作る。先細りの農家の既得権を守っているだけでは、日本農業は終わる。その証拠がこの2年の自給率の低下に表れているということである。その鹿野農水大臣が総裁選挙に出ると言うのだから、もう情けないの極みだ。この大震災に対し、東北農業の大展望を主張しても良い立場だ。何の発言もない。それだけではない、後手後手の放射能対策。農水の担当の想定外発言。何か悪意でもあるのかと思いたくなる無能ぶりではないか。官僚も大臣も、日本農業に真剣に取り組んでいるとは思えない。こういう農水大臣が総理大臣になったならば、TPPには前言を翻し、たちどころに加盟するだろう。

第3の農地改革として、農地所有は個人所有を止めることだ。やりたいと考えるものが、思い切って農業を始められる制度を作ることだ。新規参入を推進するという意味で、企業の進出を阻止するというのも馬鹿げている。企業に取り組んでもらう部分と、個人の小さい農業を保証するということは矛盾しない。農業の混在を避けることだ。都市近郊部分の農業の方角と、北海道の農業の方角は全く異なる。それぞれに異なる政策が必要なはずだ。現状で企業の農地所有を認めることになると、農業生産とは違う思惑が動き始めると言うことはわかる。農地は国有化して、耕作者に耕作目的の使用許可を出す。これで企業が取り組んでくれるなら、公明正大にお願いすべきだ。企業が農業参入の自由化を求めているのは、農地を資産として所有し、税金対策にしたいという思惑が、見え隠れする。

都市計画道路のように、農地に対し大きな計画を立てる所から始める。そして5年、10年と耕作しない農地は、耕作権が公共のものとなって移行して行く政策。所有権と耕作権との分離。公共は耕作を行うものに貸し出す。この公共とは「むら」と言うような組織ではないだろうか。この「むら」組織の再構成こそ急務である。地域が形骸化したり、空洞化したり、内容の変化に追いついていなかったり、人そのものが失われたり、地域という「むら」が存在できなくなり始めている。この再生を含めて、農地の管理を「むら」が行う。そのことで地域と言うものが、再生できるきっかけにしてゆく。その為には、もう一度地域に暮らすという意味を、日本全体で再確認しなければならない。経済が地域から離れた現状を踏まえたうえで、地域に生きるという意味を見つける必要がある。

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