原発という、良く分からないこと

   

原子力発電は、1960年代夢のエネルギーと言うことで、注目された。鉄腕アトムもつながったイメージである。内容については良く分からないことだった。死の灰と言うことが言われて、その灰をかぶったら死んでしまうらしいということは、第5福竜丸事件以来知っていた。キノコ雲を見たらもう駄目だとか、あの頃の子供の間では噂されていた。良く分からない故の恐怖。その分からないが、放射能雨にぬれると禿げるというのも、冗談だか本気だかわからない形で言われた。放射能雨だそー、と言いながら、雨に向かって口をあけて、もう駄目だ―、など遊んだ記憶すらある。放射能マグロと言うので、そんな危険は庶民には関係ないということも言われた。マグロは今では庶民の口に入るようになった。環境汚染と便利で安直な機械の世界が出来て、庶民の口にも入るようになったようなものだ。品川で展示された。第5福竜丸を見たが随分大きな漁船であった。

分からないことが何時も上手く利用される。放射能の危険に慣されてしまっていた。分からないことはたくさんある。溶融炉の中で起きていることなど、実にわかりにくい。1300度とか、言う高温でありとあらゆるものを溶融した時に、何が起きているのだろう。結果はスラグといガラス状の物質に成るらしいが、その過程ではどんな化学反応が起きているのだろうか。使うものは誰にでもわかるように説明する義務がある。医療の世界も良く分からない。一細胞から、新しい自分を再生させるようなことが起きるらしい。クローン技術。牛などではもうそういうことが現実化している。そもそも今使っているコンピューターなどの中はまるでわからない。中どころか、ソフトと言うもの自体が十分に使えない。分からないことを、分からないまま生活の中に取り入れる。こんな不思議なことを、認めてしまうことに慣れてしまった。おおよそでの人任せは実に危険だ。

どこかの誰かは良く分かっているから、任せて置けば大丈夫だ。こういうことで暮らしが動かされている。所が実はわかっている人などいなかったのだ。原発はおおよそと言うことで見切り発車されていたらしい。分かりやすく説明する義務が、本来政府にはある。例えば電力料金は原発は安いと、経団連は強調している。自然エネルギーは高いものにつくらしい。それなら分かりやすくその仕組みを説明して欲しい。原子力電力価格には死の灰の処理費は、入っていたのだろうか。災害対策を値切っていたのではないか。東電にとっては安いということだった気がする。費用の大部分が税金負担に成っているのではないか。安いと主張する政府は、その仕組みを分かりやすく説明する義務がある。分かりにくくして、厭になるのを待っているというのは、行政の書類など普通にそうだ。

昨夜お茶の補償についての、JAの説明があった。JAにすべてを委任する方式である。委任する内容が良く分からないのだが、「現状回復等」とあるので聞いてみた。これはお茶が暫定基準値内に戻るということらしい。それが今回の放射能汚染に対する、現状回復とは私には思えない。汚された土壌を元通りにしてくれと言いたい。少なくともそれに対する保障は交渉してもらいたいと思う。しかし、JAではそれは範囲外と言われていた。それでは委任は出来ないと思うが、その場合農の会が独自に損害補償の交渉をしなくてはならない。その能力がない。分からないから、放棄したくなる。分かるようにしてほしいと思うが、複雑な書類が東電から送られてきた。この書類を作成し、交渉をする。一体どこの誰がやればいいのだろう。そんな時間が割り込む余地があるのだろうか。しかし、東電を正す意味でも、分からなくてもやらない訳にはいかないのだろう。ああ困る。

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