MOAという組織について

   

小田原で有機農業をしていると、よくMOAの人に出会う。MOAとは岡田茂吉アソシエーションと言う宗教団体である。熱海に総本部のようなものがあるから、当然この地域には、MOAの信者の方が多い。私はMOAの小田原産地支部の一員です。関わって、15年は経つだろう。しかし、宗教としてのMOAとは関わりがない。宗教としてのMOAに勧誘されたことも、例の手かざしとか言う宗教的治療についても、誘われたこともない。私は曹洞宗の僧侶である。MOAと宗教的に折り合える訳もない。産地支部の集まりでは、正月の何か宗教行事だと思うのだが、種を集めて、お払いだか、浄化だかをしてくれるという話があって、ビックリした。こう言うのが嫌いなのだ。では何故、これほど長く、MOAと関わってきたかといえば、とてもいい人が多いいからだったと思う。実は、へぇーあの人もそうなの。というぐらい、たくさんの方とかかわりを持った。しかし、皆さんなかなか素晴しい人間なのだ。

何故とつぜんMOAの事など考えたかといえば、有機農業推進法のかかわりだ。これが宗教の厄介な所で、MOAと言っても一つじゃない。宗教の派閥と成ると、そう簡単じゃない。以前、現代農業に両者で中傷広告を出したくらいだ。EM菌が関わっている。EM菌信奉者と否定派。最近両者の和解が進んでいるとも聞いているが。宗教の方ではどうなのだろう。たぶんそんなに簡単な話とは思えない。有機農業推進法が出来て、足柄地域でも協議会を作りたい。こう言う事で、4団体が集まってフォーラムをやった。その後県のほうでも少しづつ進めてくれている。今年度中には推進協議会を作ると言う事も聞いた。この間小田原ではMOA関係の団体が、国の募集した推進団体に応募した。残念ながら、選ばれなかった。このとき、急なのでという理由で、MOAが単独で行った。本来なら、フォーラムまで行っているのだらから、4団体で行うべき所ではあるのだが、どうだったのだろうか。と言う疑問は残る。

あしがら農の会という組織に対しても、周辺から見れば当然不安はあるのだろう。どの組織も他の組織に対して、「わだかまり」はある。別々にやっているのだし。知らないのだから当然だろう。増して背景に宗教団体があれば、尚更不安があるとして普通ではないだろうか。それを乗り越えて、各団体が協力しなければ有機農業の発展は、作り出せないと思う。今回4団体で再度仕切りなおしをして、協議会設立に向けて、集まりを持つことになった。各団体の異なる目標のすり合わせとなるだろう。基本姿勢は足柄地域の農業の活性化に役立つと言う事ではないだろうか。これに異論のある人は少ないと思う。この大目標を立て、その上で、各団体の特色を出し合うことではないだろうか。傾斜地を生かすのが、この地域の農業だ。これも誰しも感じている。こうした所に、各団体の特徴をどう生かしあうか。充分話し合いたい。

MOAの事であった。何故、農業と宗教が結びつくのか。神道の行事には農業に関連するものが沢山ある。食糧を生産すると言う事が、生きると言う事の原点だから、農業から宗教が生まれたとしても、不思議はない。自然の絶対的な大きさを前にして、人間の微力。見えないところの方がはるかに大きいのが農業。最近でも農業関連の著名人には、宗教臭い人が多い。よく言えば、時代を切り開く人というのは、そういう人なのかもしれないが。この野菜はパワーが違うとか。波動が違うとか。どう違ってもいいが、そういう方向に農業が進むのはいいこととは思えない。毎日食べる物だから、普通であった方がいい。宗教臭い論理は安直に飛躍して、絶対的結論に到る。EM菌が嫌いに成ったのは、『ガンが治る』こう言う事を聞いたからだ。それを確信しているなら、薬としての認可を受けたうえで、農業でなく、医療として展開すべきだろう。それは、稲の遺伝子組み換えで、アトピーのアレルゲンを含んだ米を作る、というのが農業でないのと一緒だと思う。

 - あしがら農の会