仮登記農地

   

農地を仮登記で押さえる。例えばゴルフ場を作るとき、地権者の中には農地もあるとする。ゴルフ場は条件を揃えなければ開設できない。農地についての権利関係は、農業委員会の許可が下りたときに、正式に契約すると言う事で、仮登記する。仮登記に際しては、実質代金に当たるものは払ってしまう。その後の税金についても、開発業者側が立て替えると言う、契約を交わしておく。県や行政には内諾をもらった形で、進めてはいるが、一部地権者などから、反対が起こる。農業委員会も許可をためらう事になる。じりじりと延ばされている間に、ゴルフ場の会員権売買が値崩れをする。開発業者自体が倒産してしまう。開発業者に融資していた金融機関が、ゴルフ場開発地の混乱した権利を、継承する事になる。と言っても、金融機関自体がそこを利用する能力もないし、利益の目途もたたない。

そのままであればまだいいのだが、不良債権処理と言う事で、これがなにの目的があるのだろうという、業者にいつの間にか渡ることになる。その不明の業者は何らかの事業をしたい。当然農業分野で、何か利用できないかと考えて模索はする。実は、そんな土地に養鶏場ができないだろうか、と言う相談を受けたことがある。若い熱意のある人間で、有能な骨身を惜しまない人であった。泊り込んで自分が陣頭指揮をするという。技術顧問として、来てもらえないだろうか。あるいは私に運営自体をやってもらってもいい。そんなに沢山の鶏を飼育して、卵の販売はどうするのですか。こう聞くと、親子丼チェーン店の計画を立てると、言っていた。仮登記で、土地が動く、借金の抵当として入れた土地が、仮登記のまま眠ってしまう。こんな形で、農地が放棄地に成ってゆくことがある。

農水省によると実態を把握していないと言う。しかし、この契約方法は合法的であり、問題があるわけではないという。仮登記だから、農地にかかる税は仮登記前の農業者が払うもので、仮登記した業者が、立て替えると言うのは問題がある。しかし、実質仮登記と言う形で、土地の所有権実質動かしてしまう。こんなやり方は、本来おかしいではないか。この方法が合法であるなら、農業委員会での農地の管理は危うくならないか。現に、その結果荒れてしまった農地は存在する。その土地に農業分野での経済性があれば、何かが動き出すだろうが、日本の農地を農業利用で他の分野に較べる、経済の目から見れば、経済性はない場合がほとんどだろう。と成ると、資材置き場とか、廃棄物の仮置き場とか、墓石の保管場所とか、そういう他であまり歓迎されないものが、何時とは無く利用している。

それでも、人口が増加するバブルの時代であれば、仮登記していた土地に上手い話が転がり込む事も、結構あった。道路が出来るとか。公共事業が棚ボタで降りてくる。もちろんそういう画策もやるのだろう。これからは、そんなことはない。農地は農地として、地道に管理する。ここに戻るだけだ。資産管理と言う農地の見方は、農地の利用価値の視点戻った。小田原では優良田園住宅と言う条例を作り、農地の宅地への転用をまだ考えている。もう宅地化の時代ではない。むしろ、農地を農地として活用する、新しい方法を模索すべきだ。クラインガルテンは可能性がある。もちろん、地域の農業者が農業で食べられるように、地域なりの工夫を行うのも重要だ。お茶などおもしろいと思う。お茶畑で、お茶が飲めるようにする。油牧場もいいと思う。菜種や、オリーブを栽培して、油の絞りの体験農場だ。こう言う新しい形の農業を研究するには、行政の協力が必要だ。そして、道路とか、駐車場とか、地域全体での相談が必要になるだろう。

昨日の自給作業:畑の片付けと植え付け2時間 累計時間:10時間

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