事故米

   

事故米という名前は、初めて聞いた。稲作をやっている私が初めてなくらいだから、大抵の人が始めて聞いた言葉ではなかったか。もともとは、ウルグアイラウンドで、買う必要もないお米を買わなければならなくなった事が原因している。カビが生えたり、残留農薬が基準値以上であったりして、食糧としては使えなくなってしまった米の事だった。事故とはよく言ったものだ。農水省のチェックが甘いから、購入した時点で見逃した米の事だ。確認もせず購入した人間の責任だろう。農水責任汚染米とでも言うべきだ。事故などとごまかしの言葉を官僚は使い、責任を曖昧にしてしまうのが実に巧みだ。どうせ輸入米など、どうにもお荷物だ。こういう意識があったと思う。他の輸出産業の犠牲米だ。日本国内で既にだぶついているのに、買わなければならない義務がある。米が足りなくて困っている国があるのに、どうにもたまらないWHOの約束だ。

日本からの援助米を、汚染されているからと言って断られた事があった。なるほどこう言う事かと思う。日本には処理できなくて困っているお米があるのだ。お米は生産から流通、保存、消費、全てに不自然な事になっているようだ。瑞穂の国が泣けてくる。この最大の責任は農水省にある。現大田大臣も事務所費問題で、強い力はない。いつでも農水はこうだ。ミートホープ事件の時、内部告発が何回もあった。にもかかわらず、農水の連絡ミスなどで、見逃していた。あの時今後はこう言う事がないように、省内の仕組みを洗い直すといっていたはずだ。何と言う事だ。今回も既に、昨年の1月の時点で、農水省東京農政事務所に封書で寄せられていた。有機リン系農薬のメタミドホスが検出された事故米が、「米菓用で広島方面で売りに出ている」と記されていた。 調査に入りながら見逃している。どういうお粗末な事か。再度農水は8月末に2度の告発があり、調査してやっと発見したとしている。その一週間前にも調査には入っていた。どういう調査をしていたのか。

現在の輸入義務は、年間約77万トンにも上り、主に米菓やみそなどの調味料、日本酒などに加工されている。ところが、多くは船で輸入されるため、輸送中にコンテナの空調設備の結露やしけによる海水の影響で、水分がコンテナ内に浸入。一部が水ぬれ品になったり、保管中カビが生えたりするという。信じられないほど杜撰な管理だ。一方、残留農薬の規制対象になっているメタミドホスに汚染された米が、なぜ市場に出回ったのか。国は06年5月、残留農薬規制を強化した「ポジティブリスト制度」を導入。メタミドホスの基準値は0・01ppmで、それを超えると輸入できなくなった。今回、流通したメタミドホスに汚染された米は、規制前の03年度に輸入されたもの。同制度が導入されてからは、事故米として扱われた。と言う事らしい。しかし、それ以降に汚染したお米の購入が無かったという訳ではない。2006年のベトナムからの輸入米も農薬汚染があった。こう言う事は事故と片付けていいのか。

農水はこの事故米を三笠フーズに頼んで買ってもらっていたらしい。政府の販売全量の4分の1に達する。何でも買ってくれる業者が少なく、入札が1社と言う事もあったらしい。そもそもここで何かしらのおかしさを感じなければならないはずだ。農水としては、自分達の失敗が元で起きている事だから、後ろめたさで、検査が手ぬるかった恐れがある。こうなってみれば、10年に及び、巨額な不正が想像されるという。二重帳簿で不正をしていた訳だから、税務署も騙されていた事になるが、一体そんな調査レベルのものなのだろうか。三笠フーズの犯罪は発がん性のあるカビ毒の米まで食用に廻しているのだから、罪が重い。食品を扱いながら、まさかここまでと言うひどさだ。食べ残しを又客に出したと言うような、吉兆のレベルの食品犯罪ではない。こういう犯罪が起きると成ると、食品を購入すると言う事自体が、成立しなくなる。

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