水彩筆の選び方

   

 

レオナルドの筆を一度使ったらこうなった。

水彩筆と言えば、コリンスキーの筆である。高い筆であるが、確かに描きやすい。水の含みが大きい点と、筆から絵の具が画面に乗せる量が自由さがある。具体的に言えば、一㎝の幅の線をどれだけ、紙の上に引き続けることが出来るかと言えば、コリンスキーの筆が一番長い。

だから初動の人も最近はコリンスキーの筆を使う人が増えていると思う。実際には養殖ミンクの尾の毛先が使われているのではないかと思う。極東ロシアには、針葉樹と広葉樹が混じる豊かな森が広がっており、そこにはシベリアトラ(アムールトラ)やアムールヒョウを頂点とする多様な野生生物が生息している。

この原生林に生息するシベリアイタチの毛だと称されるものもある。もしこれが本当のことであれば、さすがに使ってはならないだろう。すべて嘘だと思っている。実際には野生動物ではなく、中国で養殖されている、ミンクの毛つまり、セーブルをコリンスキーとしていることが多い気がする。

そして、シベリアイタチの養殖もされている。実は日本でも野生種が生息している、これは養殖のために持ち込まれたものが、逃げ出して野生化したとされている。養殖できるのであれば、中国で養殖されているとしても不思議ではない。偽物ではないコリンスキーが出回るようになったとも言える。

ただ、こうしたイタチ類の養殖がコロナウイルスの変異の原因だと、私は考えて居る。重慶の研究施設からの流出よりも現実的な推測である。イタチ類がコロナに感染しやすいことは判っている。そして、中国では劣悪な環境で今でも、毛皮養殖が盛んに行われている。ここで感染の連鎖とウイルスの変異が起こる。

話が大分それたが、水彩筆のことである。最近豚毛に変えた。豚毛のマル筆である。できる限り太いものである。24番というものが今の所見つけた一番太いものである。レオナルドとホルベインのものがある。今まで使ってきたのは、20番までで、イザベイ、ラファエル、名村、中里、である。

最近、24のものがあるのを知って、世界道の通販で取り寄せた。レオナルドとホルベインである。レオナルドは5300円だった。ホルベインの5倍もした。舶来品だから高いのだろう。フランスで買えば、ホルベインの方が高いのかもしれない。シュウミンケの水彩絵の具だってそうだ。

レオナルドの筆は豚毛にしては破格に高いが、筆マニアとしては買わずとは居られなかった。そして使って驚いた。一度使った途端に筆が広がり、どうにも最悪のものだった。そこで、世界堂に質問をした。その答えが以下である。

絵具や水との相性が悪いため、豚毛はどうしても傷んでしまいます。豚毛は種類や部位によって、見た目は違いますが、レオナルドの7122ROの毛は特に繊細なものですので、油彩以外では使用できません。同時にご購入いただいたホルベインの豚毛のものよりも繊細で、水を使った描画などに弱い毛でございます。また、筆の価格は有料さではなく、毛の希少さや質で決まりますので、毛の質が非常に繊細な場合もございます。
 
油彩を使用しなかった場合は申し訳ありませんが、使用しなかった絵具をご教示いただければ大丈夫です。適切な対応をし申し訳ございませんが、以上ご確認のほどよろしくお願いいたします。
 
どの部位かまでは情報がないのですが、メーカーや筆のシリーズによって使われている毛の質感や、下処理の工程によって毛の柔らかさが異なります。原材料や製造工程の詳細につきましては、レオナルドに限らず他のメーカーもそこまでは情報を開示していないのですが、豚毛の中でも様々な質感のものがございます。
 
また、レオナルドの7122ROは、他のメーカーの豚毛のラウンドのものと比較して、
筆の中心から外側に向かう毛が短くなっていくような形状をお待ちしております。
いずれ筆の形状も、水彩でのご使用時の筆の広がりの妨げとなる可能性も考えられます。
 
商品ページの表記関係は、「水彩には使用できない」という文言はありませんが、
「油彩筆」と記載させていただいており、油彩用の筆として販売しております。
わかりにくい点があり、大変申し訳ございません。油彩用の筆を水彩でご使用いただく場合は、メーカーや販売店が設定使用しているとは違うオリジナルの技法ですので、水彩との相性は、作家様ご自身でお試しいただき、使えるものをご使用いただく形となります。
 
拙いご説明で大変恐縮ではございますが、以上ご確認のほどよろしくお願いいたします。
ご不明な点などございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
よろしくお願い致します。
 
世界堂オンラインショップ

 

以上である。この返信をブログに書いてもいいかと問い合わせたら、その後返信が途絶えた。本当にレオナルドの豚毛筆は水彩画では使えないと、されているのだろうか。今までたぶん売られてい10社を越える豚毛筆を水彩で使ってきたが、十分に使える。むしろコリンスキーよりも書き味が良いことを知った。

それ以来筆は豚毛に変えたのだ。毎日2年間は使っているわけだが、水彩絵の具で使いそのためにおかしくなったという経験は無い。特殊な毛をレオナルドでは使っているというのが世界堂の説明であるが、本当のことだろうか。中里でも豚毛を選んで筆の等級で使い分けていると言うことだが、どの等級でも同じである。

レオナルドでもコリンスキーの筆は出している。使っているが、特におかしなことはなかった。レオナルドの豚毛筆は特殊な豚の毛を使っているために、水彩画では使えないという、世界堂見解はどうも信じがたい。レオナルド社に根拠のある見解なのだろうか。もしそこまで明確なのであれば、それは表示すべきことだろう。

それで、何故豚毛の丸筆の太いものを使うように、変わったかである。それほど意識したことではなかったが、一番は軸が長いからである。水彩画はちまちま描くものとされていて、筆軸が油彩筆の半分くらいしかないのだ。筆を短くもち、画面に顔を近づけて描くものと考えられてのことだろう。

馬鹿馬鹿しい先入観である。この筆軸が短いために、水彩画が趣味の領域を抜けきれない。コリンスキーの筆も長いものが欲しいので、結局油彩用と書かれたの長いものを使う。こういうときに何か水彩画が甘く見られているようで、情けない気分になる。

マチスは筆を長い棒の先に付けて、描いている。画面から離れて描くためだと思う。マチスの豊かな線の秘密はあの長い筆軸にあると言える。絵は本質を現わす線を描く為に、それは様々な工夫がいるのだ。マチスの長い軸もその秘密がある。書道でも筆は長く持てと言われるだろう。

そして今豚毛筆を選んでいる理由である。細かな仕事がやりにくいからだ。コリンスキーの細筆など使えば、限界まで細かな仕事になる。細かくなればなるほど、自分から絵が離れて行く。自由自在に絵が描けるために、自分の絵ではなくなって行く。身体で絵を描くと言うことから、頭で描くことになる。

絵を身体化するために、豚毛筆の方が今は良い。そして軸の長い、太い筆ほど良い。改めて考えればそういうことになる。しかし、筆を選ぶのも身体に任せている。その日思わぬ筆をとるのかもしれない。ともかく、頭で判断をしないことにしている。

Related Images:

おすすめ記事

 - Peace Cafe