ひこばえ農法研究
イネ作りの技術を記録している。自分がやったことを書いている。本に書いてある。ネットに出ていると言うことでも、稲作ではやってみたらそうはいかないと言うことが良くある。特に、石垣島という亜熱帯気候の土地と、独特の土壌の影響がある。繰り返し自分で耕作をして農法の確立をして行くほかない。
4年目の栽培で、やっと石垣島のひこばえを利用するイネ栽培が見えてきた感じがしている。まだまだ不十分であるが、後は適合する品種があれば何とかなる。という気がする。日本では沖縄向きの品種がないと言うことは、本当に情けないことだ。沢山居るイネの研究者は沖縄にもイネ作りがあることを忘れているのだろうか。
台湾では気候に適合するイネを作出している。中国ではひこばえ向きのイネの新品種が何十種も研究され、栽培地域が広がっている。日本では何故か、こうした意欲自体が失われている気がして成らない。本来であれば、私自身が挑戦すべきことなのかもしれない。
種籾を昨年の11月5日に浸種した。苗は4週間育苗と5週育苗で、5,5葉期2分ゲツが達成できた。田植は12月8日に3番田んぼと6番田んぼ。は少し早い4週育苗。1番田んぼは15日に田植した。2番田んぼは14日田植で子供達が大勢で田植をした。今までで苗のできは一番の物だった。
苗作りという意味では、11月育苗は確かに良かったのだが、2月と3月に13度まで下がる寒波が来た。そのときにすでに幼穂形成期に入っていた、3番田んぼは不稔になってしまった。イネが1ヶ月ぐらい生育を止めた。幼保形成期以前に、寒波の時期を過ぎた方が良いようだ。
12月育苗で、1月田植。これでも寒波による生育の停滞がなければ、今年と同じ6月稲刈りになるだろう。稲刈りは6月初めに終わらせた方が良い。7月稲刈りになると、暑くて作業が耐えがたいものになる。6月稲刈りでひこばえの稲刈りが、暑さの少し収まる9月中旬がいい。そして11月末が3回目の稲刈り。そして12月育苗に戻る。
稲刈りは最初の6月7日が「ゆがふもち」の2番田んぼ。8日が1番田んぼ。10日が6番田んぼ。19日が、3番田んぼの「にじのきらめき」と言うことになった。稲刈りが終われば、ひこばえはすぐに伸び始める。稲刈り2週間前に追肥をした。ひこばえの元肥である。肥料のことは後からまとめて書く。
2025年のひこばえ栽培が始まった。7日に稲刈りをした、2番田んぼはすでにひこばえが出穂期に入っている。稲刈りをして6週間で出穂である。2番田んぼはこのまま行けば、8月中に稲刈りになりそうだ。ひこばえの生育が早すぎて十分に出来ているとも言えない。これは「ゆがふもち」という品種のためかもしれない。
ひこばえ栽培も3年目に入り少しづつ判ってきた。ひこばえで一番大事なことは、分ゲツが出やすい品種で行うことである。その点ではにじのきらめきが適している気がする。「にじのきらめき」はいつまでも分ゲツが出続ける性質がある。遅れ穂がいつまでもでる。それを早めに稲刈りをする。そして本来無効分ゲツになるものを、ひこばえに利用する。
ただ「にじのきらめき」の問題は東北向きのの品種である。亜熱帯で栽培できる品種で、晩稲品種で作ってみたい。台湾には、台湾の気候に合うコシヒカリがあるという。これを日本でも作ることは出来ないのだろうか。台湾でも70㎝くらいの背丈のイネが作られていた。
ひこばえ農法では、一次分節からのひこばえが旺盛に成長してくれなければならない。無効分ゲツがいつまでも出て困るような品種が良い。まさに「にじのきらめき」はそうした品種である。油断すると遅れた穂が2段穂になるような品種が良い。ただし、にじのきらめきが石垣の気候に適合しているとは言えない。この点ではさらに適合する品種を探したい。
そして、石垣島のように一年中イネが生長する気候の場所がいい。石垣島であれば、1度の田植で年3回稲刈りが出来る。3回出来る良さは、保存に悩まなくて良いと言うことになる。一番長く保存しなければならないのは、3回目のひこばえで収穫したお米である。これは7ヶ月保存することになる。幸この時期は石垣島でも比較的涼しい。
自給農業で狭い田んぼを効率よくイネ作りをすることが大切になる。年3回イネ作りをすると言うことは、一回は3分の1の面積で良いと言うことになる。一人1畝あれば充分である。2畝あれば家族の自給になる。ひこばえ農法では、3回のイネ作りが同じくらい採ることが重要になる。
反収で7俵ぐらいの目標にした方が良い。7俵でも3回とれば2トン取りである。まだ5俵までしか取っていない。最初から限界まで収穫すると、様々なリスクが出てくる。土壌が消耗する。肥料をたくさん入れないと追いつかない。安定した作柄にするには、無理をしないことだ。
一年中湛水していると言うことで、土壌が酸欠になる。ひこばえの成長に合わせて転がしは頻繁に入れた方が良い。根の再生が促される。暑い時期で転がしまで難しいのであれば、田んぼの中を歩いて回るだけでも良い。水は沢山あるのであれば、流し水管理が良い。水が動いていれば、腐敗はいくらか防げる。
ひこばえ栽培には適切な肥料が居る。土壌の成熟度合いで変わる。石垣の土壌では基本不足し勝ちである。稲刈り2週間前に、ひこばえの基肥のつもりで肥料を入れる。2畝で鶏糞1袋牛糞堆肥2袋入れる。ひこばえの出てくる様子と、葉の色を見て、必要であれば、追肥をする。
肥料が十分であれば、ひこばえは一次分節から出てくる。肥料が足りないと上位の分節から小さい穂が再生されて、無駄になる。その意味で、株は根元から刈り取る方が良い。40㎝残して刈り取れという説もあるが、できるだけ低く刈り取った方が、小さな穂を付ける分ゲツが出ない。
稲刈り前後の水管理であるが、乾かさない方が良い。土壌は稲刈りの日に長靴は必要ぐらいの土壌の方が良い。稲刈り1週間前から水を抜く。稲刈りが終われば、すぐに水を入れる。のぼたん農園では水が不足気味なので、土壌を乾かせないという事情もあるが、常に水がある方が、イネの痛みは少ない。
ひこばえが出たならば、できる限りの8センチ以上の深水にする。ひこばえは細い茎になりやすい。太い茎に育てれば、穂はしっかりした大きなものになる。お米も大きく丸くなる。深水で栽培すると、茎は最初は細いものであっても、次第に深水で太くなる。このひこばえの2,3週間目の様子で追肥をするかどうかを決める。
追肥をして背丈が伸びても、幼穂形成期前であれば問題が少ない。「にじのきらめき」については、そもそも丈が低いから、大きくなりすぎたぐらいの方が良い。ひこばえは分ゲツが足りないと言うことにはならない。一期作が23分ゲツであれば、ひこばえは30分ゲツぐらいになるはずだ。そのために穂が小さくなる。
分ゲツはどうしても多くなるので、大きな太い茎にすることで、穂を大きくしなければならない。転がしと深水と良いタイミングの追肥。現在「にじのきらめき」は出穂の時期である。早く出てしまった小さい穂もあるが、例年よりは小さな穂は少ない。このまま、無視して栽培しようと考えて居る。
病気については、ツマグロヨコバイが媒介するウイルス病が出る。出た株は早めに抜き取る方が良い。大きくなりそうな株を分けて植えるようにする。ひこばえはウイルス病が出やすい。初期に対策をする必要がある。ともかく早く抜き取ることが必要だ。