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笹村 出-自給農業の記録-

消費減税は景気をさらに悪くする。

      2025/10/29

 

このギンネムの林の中に、樹林コーヒー園がある。小さな苗を含めて、60本ほどある。

人気取り政治は減税を安易に掲げる。消費税減税を消費者が主張するのは当然かもしれないが、政治家が消費税減税を主張するのでは、国民の幸せを本当には理解していないとしか言えない。何故安易な消費税減税を主張するのかと言えば、選挙で有利になるから以外理由がない。

実際のところ、日本は世界最大の財政赤字国である。この赤字国家がさらに減税をすべきというのは、心根が腐っている。30年の停滞の中で間違った税制を行ったために、1200兆円もの借金を積み上げてしまったのだ。にもかかわらず、さらに減税をして、赤字国債を発行すれば良いなどと言う主張は、へりくつの暴論としか思えない。

税金は嫌なものではあるが、集めざるえない社会維持の手段だ。税は広く薄く集めるのが、公平なことだ。税金や保険料は日本人すべての幸せのために、集めざるえないもの。日本人すべてが等しく公平に負担しなければならない。税金がない。ということが一番有り難いことではあるが、国の運営には経費が必要なのは当然のことだ。

自給生活者であろうが、無収入のものであろうが、泥棒のように収入をごまかしているものであっても、等しく、それなりに負担をしなければ、社会というものは成立しない。その考え方を代表的な税が、消費税である。様々な税があり、複雑に入り組んではいるが、消費税は中では公平な方の税金だと思う。

所得の低い人になればなるほど消費税の負担が収入に対して大きくなる。収入のない人であっても、生活保護費を払っている人であっても消費税は負担する。消費税だけであれば、明らかに問題があるが、他の税金や、保護費や、給付金で調整をすることで、公平性を整えることが出来る。

酒税は、明治30年代日露戦争を契機に財政需要を満たすべく国税の税収第1位とまでなった。みんなで酒を飲んで、戦争をしたのだ。これは酒飲みの私には明らかに不満な税制である。税金はできる限り薄く、まんべんなくと言うのが、公平である。その代表が消費税である。何度でも書いてしまう。犯罪者からも税金を取れるという意味では、優れている。

税金は様々な形で集める必要がある。多様な税金を組み合わせることで、公平に近づく。トランプの関税などもなかなかのものであるが、外国から見ればとんでもない悪税である。その公平性を社会の変化に従い、集め方を変化させてゆくことが望ましい。しかし、どう変えてみたところで、税金の必要な金額は、福祉国家になればなるほど増大する。

現在消費税の減税を主張する政党が増加している。消費税廃止の主張で一番気になるのは新撰組である。この一点で新撰組の誠の旗の正義が疑われる。その理由は社会の未来に責任感がないからだと思わざるえない。消費税の財源を赤字国債で賄えと主張するのは、次世代に借金は払わせれば良いという、身勝手な主張なのだ。

自分たちの今の生きている社会は、今現在の社会の収支の均衡を模索するのが、政治だ。未来への負担を増加させれば、次世代が歪んで行く。まさに少子化の原因となる。未来に負担を残すなど、あってはならないと思う。その税不足が未来の投資である建設国債であれば、まだ良いのだが、現在の1200兆円の赤字は生活費に使ってしまったようなものだ。

赤字国債をどれだけ発行してもかまわないという屁理屈がある。現代貨幣理論MMTと言うアメリカから出現したトンデモ経済論である。ひめゆり舞台に悪態をついた西田議員がその一人だ。日本でも財務相陰謀論などとなって主張されている。国債が国内で消化する限り、いくらでも赤字国債を発行できるというのが基本的な考え方である。

インフレが2%以下の間は、金利も低い。日本では貯蓄の金利はないに等しい。国債の償還にかかる金利もかなり低金利となる。低金利の資金を国が確保して、公共投資を行えば、金利以上の経済効果が出て、税収が増加して財政は健全化するという考え方だ。

それなら何故日本の財政赤字が、1200兆円などと言う、世界の歴史上存在しなかったほどの額になるまで、膨らんできたのか。公共投資による税の回収がうまく機能していないと言うこと。公共事業で企業は収入を増加している。しかし、企業は社会に還元しようとしない。企業の生産性の向上や、新しい事業に投資や、賃金の抑制を行い、内部留保に回すようになっているからだ。

企業の国際競争力の向上を確保するために、法人税を安くしたため起きたことだ。その原因は、既得権益を守るために、政治が動くようになっているからだ。大企業の利権の維持を目的にした政治献金が横行した。自民党が維持されなければ、企業利権も維持できないという状況である。

30年の経済停滞の原因は税金の徴収方法と使い道の間違いにあったのだ。国債を際限なく発行できるというMMTの主張の背後には、民間で消化できなければ、中央銀行に引き受けさせるという発想が見え隠れする。中央銀行の使命は物価の安定なので、想定以上のインフレになれば、当然国債は買えない。この点でもMMTの主張には無理がある。

租税の配分の方法で、その役割というものがある。

1,Co2を大量に出す産業には、税金をその比率に応じて負担の増加を行う。

2,税率を変えることで物価の調整が行える。食料品だけ無税にするという考え方がそれである。

3,所得税の累進性を高めて、富裕層の形成を抑える。

4,廃止がされそうな、ガソリン税などは、道路財源の目的税である。

税はその役割を考えて、配分されなければならない。消費税は日本にいる以上すべての人に、くまなく税を徴収するという役割である。外国人であっても日本で消費するものには消費税がかかる。滞在費は消費税が課税される。お土産は免税である。消費税を止めれば、それに変わる入国税を高くする以外に無い。

日本の税は収入の補足が不完全だ。それも消費税の必要性になる理由の一つだ。税の補足を正確に行うと言うことは、かなり難しいことだと思う。マイナンバーカードの政府の意図する目的である。銀行口座との紐付けが推奨されている。完全に税が補足された暁には、消費税の廃止も可能になるの可能性はある。今の様子ではまず無理だ。

コンピュター革命後の社会では、完全に収入支出は把握されることになる。紙幣というものはなくなり、お金は架空の記録されただけのものになるはずだ。一切がマイナンバーカードで把握されれば、そもそも税務申告もなくなる。国がすべての国民の収支を把握し、適正公平な課税を行うことが可能になる。そんな世界は来ないと思う。

あらゆるところでの買い物が把握される。どうしても把握されないものは物々交換の品物になるのだろう。政府に完全把握されたお金の出入りが行われるのは、不愉快なことになる。不愉快なことは徹底できない。国がもし正しい方角に進むのであれば、富裕層も存在せず、貧困層も出現しないことになる。人間の欲がそんな社会を想定していない。

消費税は所得の完全把握までの経過処置的な税制と考えるほかない。消費税は比較すれば、一番網羅的な徴収の出来る税金である。これをなくしてしまえば、経済は減速する。消費税減税は物価高対策にはならない。むしろインフレを加速されることになるのではないか。

値上げできずに我慢してきた分野がある。そうした業種でも消費税減税分の値上げをすることになる。今もし行うことが可能な減税は低所得者への定額給付や所得税の控除である。消費税を下げれば、また上げることに伴う困難さは大変なものになる。がまんしなければならないところだ。

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