日本人ファーストの意味

      2025/07/24

 

参議院選挙で、日本人ファーストの参政党が注目された。トランプをまねたということか、世界が自己本位になり始めたと言うことなのだろう。嘘でもデマでもフェークニュースでも、SNSを有利に使うものが賢いという戦略である。参政党が不安な社会に間違った方角を湿し、支持を集めた。保守的な若い層が、出現している気がする。

日本の社会が停滞した。何かがおかしいというのは、誰もが感じている。自民党以外は消費税の廃止なり減額なりを主張した。現役世代はまだ良いが、未来世代は借金の付けだけ背負うことになる。何故そのことに若者は怒りを爆発させないのか。財政赤字は必ず次世代の負担になる。

これからトランプ関税でかなり追い込まれそうだ。さらに厳しい時代が待っている。若い世代には希望の乏しい日本なのだろう。消費税を廃止して、その財源を赤字国債で出せばいいという政党すらある。つまり若い人に返させれば良いという身勝手とおもわないのだろうか。

そもそも日本人ファーストという以上、日本人というものをどう考えているのか、明確に考えなければならない。戦前の軍国主義における日本人なのか。明治政府の考えた日本人なのか。それとも日本列島に住み着いた4万年前からの日本人のことなのか。あるいは、血族的なものではなく、国籍がある人を意味しているのか。

日本人として、実感を伴って考えるのは江戸時代のお百姓さんのことである。たぶん世間では江戸時代のお百姓さんを誤解している。その理由は明治政府の天皇による支配体制の洗脳にある。参政党の考える日本人は、今日本に暮らしている人のことでもないらしい。言葉として日本人を叫んでいたが、その言葉が規定されていない。

自民党は大企業が良くなれば、日本が良く成るという考えの政党である。大企業から献金を貰い、大企業優遇を推進している。それでも、献金によって誠治をゆがめたことはないと強弁している。とんでもない話だ。大企業優遇は法人税のを減免を行い、内部留保の増大を招いた。与党と大企業のもたれ合いが崩れ始めた。

参政党の党首が、ここは日本である。日本人が大切にされなければならない。総選挙演説で、叫んでいた。私だってそう思う。しかし、それは半面だけの話だ。大企業のために、外国人労働者を導入したのは、自民党だ。その理由は日本人がやれない仕事を、安い労働力としての外国人にやって貰おうと言うことだ。

自民党が、何故こんな馬鹿な政策を続けて日本を停滞に追い込んだのかと言えば、企業が世界での競争に勝てば、日本全体が良くなると思い込んでいたからだ。ところが大企業は自分たちが生き残ることだけを考えて、労働者の賃金を上げると言うことすら、やろうとしなかった。新分野への投資も怠り、内部留保だけを増大させた。

大企業に肩入れする自民党政治が、結局日本の停滞を招いた。世界での大企業同士の競争が激化し、コンピュター革命を早く受け入れた、新興国の企業がどんどん追い抜いていったのだ。これは日本の企業の責任と言うよりも、当たり前のことで、日本だけ一人勝ちするなどと言うはずもないのだ。

外国人に攻撃に矛先を向けて、国内の問題を移民労働者の問題にすり替えて、ごまかそうというのは、トランプのやり方だ。問題解決は遠のくばかりである。移民がペットの犬を食べていると大統領選挙で発言した。日本人自身に問題が起きていないか。肉体労働を嫌がる日本人は、人間の劣化ではないのか。

30年の停滞と言われている。私が自給生活を始めた40年前にはすでにバブルは崩壊し始めていた。高度成長期が終わろうとしていたのだろう。あの頃あしがら農の会を始めた。まだ社会には新しいものを作り出そうとする、意欲があり、またそれを受け入れようという空気があった。

時代が停滞すると、さらに自民党は権威的になり、年功序列の利権組織になった。新しいものを排除し、自分たちの利権と権力を守ろうと言うことだけに熱中する人たちの集まりに成り下がった。だから、自民党は政治一族の溜まり場化した。こんな人たちが、新しい日本を考えるはずもない。

その権化が安倍晋三であった。亡国の総理大臣である。自民党に集まる、権威主義者達が、この人を神輿に担ぎ上げていたのだ。アベ氏自体は何も考えを持たない人だった。知恵も無かったし、日本の方角など考えても居ない人だったため、結局アメリカの言いなりになり、日本を衰退させることになった。

いよいよ自民党はもうダメだと言うことで、新しい日本人ファーストが登場したのだろう。参政党という。党首は神谷宗幣という元自衛官らしい。自衛官だと聞くと何となく理解できた。話を聞いていると、頭が切れるとか、右翼的思想があるというわけでもない。右翼と言われる割には、周りに対応する迎合的な言い訳の多い人である。

しかし、何故このような人が自民党に変わることになるのか。保守党の人たちはいかにも右翼である。こういう人では自民党の代替え勢力にはならなかったのだろう。ヨーロッパに台頭している極右勢力の人たちに比べると、驚くほど普通の人たちである。とくに、東京選挙区に立候補している「さや」と言う人が象徴的だ。

ジャズシンガーと言うことで、田母神ガールズ出身なのだそうだ。主張がどうというほど特徴があるわけではない。しかし、さや氏は急速に支持を集めた。参政党支持層の拡大を象徴している。新しい右翼の登場を感じさせる。自民党で右翼に迎合する自民党比例区に出ている杉田水脈議員の独特の、極端化した物腰風貌と比べるとよく分かる。

自民党の差別主義者の杉田水脈と「ヒゲの隊長」佐藤正久氏が落選した。参政党と保守党に流れた票があるのだろう。自民党で一番食いちぎられた部分なのだろう。そもそもこういう人達にはカリスマ性が無いからどうでも良い。これから怖いのはさや氏のほうだ。

実に当たり前の普通の感覚のありそうな人に見せている。ところが、田母神ガールズとして核武装や徴兵制を主張している。この大きなギャップが自民党内の右翼票を集めたことだろう。さや氏の方が、神谷党首よりも危険な存在だと思う。神谷氏の主張はあまりに古くさい右翼だ。

沖縄に来ての神谷党首の応援演説が、以下のものである。

「(日本は)中国大陸の土地なんか求めてないわけですよ。日本軍が中国大陸に侵略していったのはうそです。違います。中国側がテロ工作をしてくるから、自衛戦争としてどんどんどんどん行くわけですよ。」「大東亜戦争は日本が仕掛けた戦争ではありません。真珠湾攻撃で始まったものではありません。日本が当時、東条英機さんが首相でしたけど、東条英機を中心に外交で何をしようとしてたかというと、アメリカと戦争をしないことです。そして、中国と和平を結ぶ。当時、中国ってないですけどね、支那の軍閥、蔣介石や毛沢東、張学良、ああいった人たちと、いかに戦争を終わらせるか、ということをやるんだけど、とにかく戦争しよう戦争しようとする人たちがいるわけですよ。」

ずいぶん浅い発言である。新しさを感じない。古くさい歴史修正主義者だ。しかし、若い人がこの人の嘘の発言をまともに聞いてしまうのかもしれない。日本は中国に侵略戦争を行ったことは間違いが無いことだ。大東亜戦争は日本が仕掛けた戦争だ。歴史的事実をこんなに軽く、覆してしまう人が党首なのだ。

この人が党首である以上それほどのことはない。しかし、沖縄での参政党の得票は多かった。沖縄にある不満のはけ口に参政党が成ったのかもしれない。誰かが参政党に便乗してくるのだろうか。参政党は自民党と連立するのだろうか。自民党に吸収されるのだろうか。多分そう言うことはないのだろう。

政治全体が劣化し、ぶっ壊せば良い的な投票行動を感じる。。これから人を責める時代が始まるとしなければならない。「問題は外国にある。外国人にある。日本人は正しいのだ。日本人は優秀なのだ。」こうしたみすぼらしい言動が、横行する時代になるのだろう。嫌な言動を聞くことが多くなるのだろう。

参政党の選挙運動には、参政党反対のデモの人たちがついて回ったという。いざこざまであったと言うことらしい。しかしまさにこれが参政党の応援になっている。参政党を否定したいのであれば、無視するに限る。正論を持って批判するのは思うつぼである。

選挙が終われば、いよいよトランプ関税の向かい合わなければならない。参政党はトランプと似ているが、トランプ関税をどう考えているのだろうか。アメリカとの同盟関係を終わらせると考えるのだろうか。本来の日本人ファーストならそうだろうが、たぶんアメリカの手先になるほうだろう。

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