プーチン習近平会談でどうなるか。

   



 ロシアのプーチンは中国の習近平を国賓として招待した。今やロシアは中国頼みの状況になっている。世界から経済制裁を受けて、ロシアの貿易は中国、インド頼みである。先進国だったロシアが、ウクライナへ侵略戦争を行い、徐々に衰退して行く姿が見える。

 そこでプーチンは中国に依存する以外無い状況である。中国も世界から経済封鎖を受けて、行き場を失ったエネルギーを購入を引き受けている。そのことは中国の利益になることでもあるので、経済関係は強めている。それがロシアへの経済制裁が効果を上げない結果になっている。経済で縛られているロシアは中国の属国化して行くのかもしれない。

 一方中国としては、ロシアに対して武器輸出は直接はしていない。ロシアは武器を北朝鮮や中近東諸国からも購入しているくらいだから、中国の軍事物資は大いに期待していることだろうが、この点中国は慎重である。中国は商人の国であるから、儲からないことには時間がかかる。軍事援助をして、世界から批判を受けるようなことはしないだろう。

 中国にはウイグル自治区問題と台湾問題がある。どちらも独立を求めている地域であるが、中国としてはそれを認めない立場である。台湾は日本の植民地であった地域だ。日清戦争で日本が勝利して、割譲を受けた。日本の敗北により、中国は蒋介石軍と毛沢東軍の内戦になり、敗北した蒋介石が台湾に逃げ込んだ。

 共産党毛沢東政権に対抗するために、アメリカが蒋介石を支援した。現在の台湾国の出現である。アメリカの後ろ盾がある間に、台湾は独立国としての形を整え、経済発展を続ける。アメリカが、中国を国家承認をして友好関係を作り、台湾を国家としての承認を止める。日本も同じ流れだ。

 中国としては台湾を自国の一地方とするのは当然のことであるが、現在の台湾はアメリカや日本との関係を強めて、中国と平和的に併合される可能性は低い状態である。中国の政治態勢が、習近平独裁の専制国家であるということで、台湾としては自由を失うことを嫌っているのだろう。

 ウイグル族はイスラム系である。中近東で見るように独立心が強く簡単に中国化されない。中近東のテロ組織に加わり、過激派になっているものも多い。中国の言いなりには成りたくないと考えている。東トルキスタン独立運動である。何度も暴動が起きて、それを中国政府は弾圧し続けている。
 アフガニスタンの政権を掌握したイスラム過激派タリバンやアルカイダは、ウイグルのイスラム系住民に対して、中国政府に対するジハード(聖戦)に立ち上がるよう呼び掛ける声明を出している。アメリカが手を引いたアフガニスタンタリバン政権に経済支援を表明して中国は関係を強化しようとしている。
 日本では中国のウイグル自治区の対応を、民族弾圧と主張する人が多いわけだが、イスラム過激派の影響の強いことを考えると、民族弾圧とは言いきれないそ側面がある。
 
 こうした状況を踏まえると、ロシアが今行っているウクライナ戦争の大義名分は、中国には受け入れがたい考え方である。ウクライナ国内のロシア系住民の独立のためのウクライナ侵攻という考え方である。占領地域で独立の是非の投票を行い独立を強引に行った手法である。

 翻って考えれば、ウイグルでも台湾でも住民投票の結果で独立が可能だとするのであれば、投票で独立することを明らかに選択する住民である。住民の意思で独立を選択できるとすることは、中国の専制的な政治に於いてはあり得ない考え方なのだ。

 この点中国がロシアのウクライナ侵攻の大義名分は受け入れがたいことなのだ。このことは中国が今回示した和平案にも書かれている。その点からいってロシアに武器を提供することまではしない。しないからこそ和平案を示したのだろう。

 では和平が可能かといえば、それはアメリカが許さないと見ている。すでにアメリカは中国の和平案を評価していない。ロシアが今回の侵攻で占領した地域をそのまま維持する停戦では、正義が無いと言うことになる。その本音はアメリカはこの戦争は長く続くことを本音では願っている。

 長く続けば続くほど、軍事大国ロシアの相対的力が衰退して行くということになる。もし中途半端なところで停戦すれば、ロシアはまた力を回復して、NATOに敵対すると考えている。ロシアがこの戦争で疲弊することを願っているわけだ。世界の支持もアメリカ側にまだあると考えて、この戦争の継続を希望している。

 そのために、アメリカはゼレンスキー大統領に停戦を受け入れないように、説得しているはずだ。武器は十分に支援するから、領土を取られたまま停戦することは屈辱だとしているに違いない。ある意味アメリカの代理戦争になっている。今回はヨーロッパの同調もあるから、簡単には終わりが来ないのだろう。

 宿敵中国が和平の功績の評価になれば、第3世界の中国支持も高まる可能性もある。中国が平和主義の国家であると見えるかも知れない。中国は今回のロシアウクライナ侵攻を通して、一番得をする道を選択できている。中国の支持国家が増えれば、アメリカの中国に対する、貿易制限も緩めざる得ないだろう。

 ますます、アメリカは中国に追い抜かれる可能性が高まる。アメリカは世界一でいるために、代理戦争を歓迎している。まったく人道的にはおかしなことなのだが、アメリカの正義は、アメリカが世界一であるという前庭に出来ている正義である。

 今回のウクライナに対する、アメリカの対応を見て、日本も十分にアメリカの行動を分析し、考えておかなければならない。アメリカは台湾支持を強めている。本音としては中国が台湾侵攻をすることが、国益であると考えている可能性が高い。

 台湾で戦争が起こり長期化すれば、それが中国の疲弊に繋がる可能性に期待しているかも知れない。その時には日本も巻き込まれることだろう。沖縄はまた戦場になる。韓国も同様である。仮想敵国中国を一番強調しているのはアメリカなのだ。

 日本や韓国にとっては、アメリカが一番だろうが、中国が一番であろうが、どうでも良いことだ。中国が国家資本主義を推進するために、専制政治を強めた。中国という問題の山積みだった、13億人のまとまりのない大国家に於いては止むえない面もあったのだと思う。

 中国人は国家に従うように見せていても、実際には個々の利益を最優先する。習近平は経済発展という大義名分で、国を一つにまとめた。これは国内に於いては様々な成果を生んでいる。その成果がここのの人の還元されているから、習近平政権が長期政権になっているのだろう。

 中国の経済成長が安定すれば、中国は徐々に民主化の道を歩むと考えて良い。人間というものは自由を求めるものだ。その時まで日本は諦めないで、中国と良い関係を模索し続けるべきだ。仮想敵国などとすることはとんでもない危険なことだ。

 ウクライナ和平にたいするアメリカの言動に着目する必要がある。中国和平提案すら否定している。中国は武器を支援をすと主張している。和平を嫌っているように今のところ見える。習近平氏はプーチン会談のあと、ゼレンスキーと電話会談をするとしている。期待している。

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