ウクライナ戦争の終わり方

   

 ロシアが予備役の人達を30万人徴兵を始めた。これはロシアがこの侵略戦争に失敗したと言うことである。ロシアがこの戦争に勝利する可能性はなくなったと考えて良いだろう。正義のない侵略戦争が失敗に終わることは、喜ばしいことだ。

 プーチンは我が身の先行きの不安で夜も眠れないことだろう。この状況で寝ていられるようなら、まともではない。戦争に敗れれば、プーチンは侵略戦争の責任をとらされ、1000年ぐらいの禁固刑になるだろう。それには耐えられないだろうから、核兵器の使用をすべきか、思い悩んでいるはずだ。

 核兵器を使ってもロシアは勝てない可能性が高い。ロシアがますます悪者になるからだ。さすがの中国も、インドも、その他の衛星国も、ロシアのあからさま支持は出来なくなる。ウクライナ人を殲滅することは出来ない。ウクライナ人のロシアに対する憎しみはますます強くなる。

 不安に駆られる世界はロシアの無謀な核戦争を止めさせるために、それこそ核爆弾をモスクワに落としたほうが良いと考えかねない。この予測は外れる方が良いわけだが、この予測に進まないための道は、ロシア国内からの反プーチンの動きだ。

 このロシアの敗北も見えてきた状況は、ロシア人は想像を超えたほど深刻に受け止めているはずだ。今や敗北した場合どうなるかばかり考えているはずだ。ロシアから脱出をした人が続々と出てきている。ロシアで反プーチンの動きを出来ないから、逃げる道以外考えられないのだろう。

 独裁政治の怖いところである。どこまで間違ってもその間違えを認めることが出来ないのだ。民主主義は経済競争に負けると最近評判は余り良くないが、さすがに次の選挙と言うことはあのトランプさえ考えて行動していた。岸田内閣の支持率が50%をわったと言うことが盛んに報道される。

 ロシア国内で反プーチンが起こる可能性はないのだとしたら、この戦争は核使用まで行く可能性が出てきている。プーチンの狂気を正す力がどこにもないと言うことになる。そんな馬鹿げたことになるのは、ロシアのこの100年間の政治の失敗だ。

 革命以前の帝政ロシア時代の民衆の後進性もある。国民の後進性を残したまま、軍事大国になったロシアの不幸である。政府の間違いを正すことが出来るのは、自国民だけである。明治日本帝国も敗戦という大きな誤りをしたのだが、原爆を落とされるまで、自国民が間違いを正すことは出来なかった。

 その後進性は克服できたかと言えば、たぶん十分には出来ていないのだろう。今も仮想敵国中国に対して、反撃能力の強化ばかりが進められている。国民もその方が安心だと政府の方針を概ね支持している。沖縄にはいくらか申し訳ないが、その防人役になってもらおうと他人事のように考えている。

 ロシアがウクライナ侵略を失敗したときに何が起こるか。何も状況は変わっていない。中国対自由主義連合と言う構図はより鮮明になることだろう。中国の経済成長が止まることをいくら願ったところで無駄である。中国の人口は自由主義連合よりも多いのだ。

 中国は拝金主義的資本主義競争に勝つ仕組みを持っている。それは今後より顕著になる可能性が高い。アベノミクスが成功しなかったのも、国家資本主義では無いからである。新しい産業の創出などと政府躍起になっても、各企業は保守的に内部留保を高めるばかりなのだ。

 アベノミクスは企業を潤し、貧富の差を拡大しただけに終わった。今もそのアベノミクスを良しとしているのが、岸田内閣である。どこを探しても新しくない拝金主義的資本主義なのだ。世界が競争を止めない以上、競争に勝つ以外に道を見いだせないでいる。

 ウクライナの戦争が幸いにロシアが勝利はしない結果に成るとしても、何も解決はしていない。終わりなき対立が残るはずだ。日本の平和主義は今のところ何も機能していない。国際問題は平和的手段で解決するという拳法による政府に対する指示は何も果たされていない。

 日本が今やるべき事は中国との外交関係の改善である。日米同盟に依存しすぎる今の状況は極めて危ういと言うことだ。ウクライナとロシアは戦争を回避する機会はあった。ウクライナがナトウに加盟すれば、ロシアの安全が危機を迎えると考えたロシアを甘く見ていた。

 ナトウが徐々にロシアの衛星国を加えて行けば、ヨーロッパの安全が高まると考えてしまったのだ。このナトウとアメリカの戦略の間違えが、結局ロシアの不安を高め最後には無謀な侵略戦争にまで進ませることになってしまった。戦争を止めることはできた。

 その意味ではアメリカはいつもウクライナ戦争のような代理戦争がどこかにある状況を望んでいたのかも知れない。そして、今度は中国との代理戦争を想定している。代理戦争が起きていることで、アメリカの戦略に筋が通ってくるからだ。

 日本は台湾への中国の軍事侵攻があれば、他人事ではなくなると考えて、アメリカとの軍事同盟を強めることが国是になりかかっている。これはウクライナ侵略が起きた結果である。ウクライナ侵略は起こるとアメリカは事前に何度も警告をしていた。

 しかし、その外交交渉
の場は成立しないまま、ロシアの侵略戦を起してしまった。今の状況は多くの人の命が失われているという悲劇である。しかしそれ以上の悲劇は戦争は何も解決できないと言うことである。ロシアは自国の安全を高めようとして、ナトウ加盟国を増やさないために起した戦争の結果。むしろナトウ加盟国を増やす結果になった。

 台湾問題もまったく同じである。台湾と中国の関係は外交交渉によって、解決すべきなのだ。それ以外に戦争を回避する道はない。アメリカは望んでいるかどうかは別にして、台湾で代理戦争をする覚悟を持っている。台湾も、中国も徐々に軍事的解決を主張するようになってきている。

 これではウクライナ戦争の反省が生かされないことになる。軍事的解決なぞどこにもないと言うことだ。台湾に中国軍が侵略をすれば、当然ウクライナと同様の代理戦争になる。今度はロシアよりはるかに経済力の大きい中国と、アメリカの戦いになる。

 世界はウクライナの失敗から学ぶべきだ。アメリカやナトウ諸国はロシアが勝利しなければ、長く膠着する戦争を継続するだろう。戦争が起これば、継続することを望む勢力が登場する。まして、ロシアという悪役が眼前にいる。

 世界はそれどこれはない状況である。1,緊急的に気候変動を回避しなければならない。2,中国と世界が対立しないようにしなければならない。3,これ以上核兵器をどこの国にも持たせてはならない。4,世界経済を拝金主義から抜け出させなければならない。5,次コロナコロナパンデミックに備えなければならない。 
 

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