韓国の観察
韓国では朴大統領が収賄容疑で罷免され、新たな大統領が選ばれた。文大統領は革新系の大統領という事のようだ。韓国は日本とよく似ている。そして、やることが日本より徹底している。日本は先行する韓国の結果を見て、行動する必要がある。アメリカに従い日本の外交方針を決めるのではなく、日本は日本の外交を行わなければならない。それは独立国として当然のことである。戦後の日本は外交に関して一度も独自の方針を持てたことがない。アメリカの陰に隠れ、アメリカの意向に従い、動いて来ただけである。しかし、アメリカもアメリカファーストに変わったそうだ。日本に対してひたすらTPPをやれと主張していたアメリカだったはずだ。その主張した本家の方が降りてしまい、どうしたらよいのかわからないのが、日本の現状ではないだろうか。いよいよ日本は日本独自の方針を立て、進まなくてはならない時代に入っている。その時に、先行事例になるだろう国が韓国である。
韓国は5000万人の人口の国なので、日本より徹底できる。北朝鮮は2500万人の国なので、さらに徹底している。オリンピックで頑張るとなると、この人口で日本よりメダル数が多いいのが韓国なのだからすごいものだ。韓国は歴史的に中国の影響が強い国だ。文化的にも中国文化の中で朝鮮文化を維持するという事は、日本より難しいところがあった。今の中国のことは日本にはあまり参考にならないが、韓国を見ていると、実に日本の参考になることが多いい。失敗も成功も、先にやってくれるからである。中国との付き合い方でも、実に学ぶところがある。あんなにすり寄った朴政権が、サード配備で対立が急に深まった。進出企業への圧力が高まっている。すり寄った性急な行動も、サード配備に急いだ、アメリカ依存も、結果を見れば日本の参考になる。北朝鮮対応も実に目まぐるしく変化する。人道援助という事で800万ドルを北朝鮮に対して行うとしている。アメリカの言いなりにはならない独立国なのだ。
韓国に学ぶという事は、どちらかと言えば反面教師。韓国のようになってはならないという事もある。金メダルが多ければいいというので、やたら強化するようなことは良くないことだ。スポーツエリートを作るという事は、その反面で国民スポーツというものが軽視される。農業政策もそうだ。極端な工業偏重で農業はほぼ壊滅的と言われている。食糧など輸入しておけばいいという事で食糧自給率は24%と言われている。都市近郊はすでに農地は失われてしまった。こういう環境で果たして人間がどういう事になるか。韓国人をよく見てみることだ。もし日本人が韓国を問題だと思うのであれば、農業が混在する大切さを見直さなければならない。食糧自給率を何とかまずは50%まで戻す努力をしなくてはならない。合理性だけで割り切ることで失われるものがどれほどあるかだ。沖縄本島から田んぼが失われてしまい、寂しい景観になっている。サクラメントは日本人移民が田んぼを作り、雨が降るようになったと言われている。沖縄は基地の島の印象が強い。基地を返してもらったら田んぼ復活運動を展開したらどうだろうか。
人間が生きてゆくという事は、経済の合理性だけでは割り切れない。日本だって8000万人の健全人口になれば、食糧自給率は60%には回復するだろう。国際競争力の強化を農業分野にまで主張するのは間違えである。競争力は低くとも、綜合的には日本の国柄を守り、環境を維持しているのが農業である。グローバル企業の利益は、日本の国益を超えて動き出している。韓国企業のこれからをよく観察する必要がある。企業が良くならなければ日本は衰退するというのは、企業の在り方次第だろう。韓国の企業はグローバル企業が産業のかなりを占めるようになって、国の運営すらゆがめられた。政府と結びついて不当な利益を上げているというので、トップが有罪になった。この点でも日本は学ばなければならない。効率だけではないのだ。競争だけでないのだ。その前に日本がどこに向かうべきなのかを考えなければならない重要な地点に来ている。