軍事上、沖縄の位置特別でない
「軍事上、沖縄の位置特別でない」 ペリー元米国防長官が朝日新聞のインタビューに答えている。普天間基地の辺野古移転計画を立てた責任者の発言である。何故辺野古移転に決まったのかは、政治的経済的結論と述べている。全く当然の発言である。米軍基地が沖縄に集中してきたのは、歴史的産物である。沖縄に米軍が上陸して、地上戦を行い沖縄を占領し、戦争に勝利する。そして、アメリカは沖縄を1972年まで占領下に置いたのである。その間沖縄の米軍基地は、アメリカの行った朝鮮戦争、ベトナム戦争と、という悲惨な戦争を支えた軍事拠点だったのだ。その後遺症のような形が、今の沖縄の米軍基地に継続されている。アメリカは沖縄の軍事基地を中国とロシアをにらむ拠点の基地として考えているのだ。今はそれに加えて北朝鮮が出てきた。その中に、日本の防衛という同盟国としての共通の利害の意味も含められているに過ぎない。
沖縄の米軍基地はあくまでアメリカの世界戦略に位置づけられている。トランプ大統領は愚かにも、日本を守っている基地なのだから、日本が全ての費用負担をしろなどと無知な意見を述べて愚かさをさらした。それなら是非とも帰ってくれと言いたい。日本の米軍基地がアメリカを守るためだけのものであるという誤解を、北朝鮮の核ミサイルの脅しが始まり、いくらかは自覚し反省しているのではないだろうか。アメリカファーストとよそのことは一切知らない。と言ったところで、世界はその経済力にふさわしい責任を持たなければ、アメリカ自体が成立できない状況であること位理解しなければならない。日本はアメリカの同盟国として、アメリカの軍事力下に存在している。70年間その意味ではアメリカの意図通りにしか動けない国で来た。アメリカはこの間世界で一時も休まず、戦争を繰り返している。日本もそのアメリカの国益に添うように、へつらい後方支援で忖度し従ってきた。
それが安倍政権の理由なき中国仮想敵国政策になっている。中国がアメリカを脅かす、経済規模の国に近づきつつある。ロシアは2014年のウクライナ紛争以来世界と対立を深め経済封鎖を受けている状態である。中国をも機会を見て、そういう立場に追い込みたいという希望があるのだろう。それが、アメリカおよびヨーロッパの利害でもあり、国民感情でもある。国民感情とは白人優位意識である。ヒットラーを産んだ思想に近い意識が白人の中には根強くある。中国の台頭に対して危機感がある。日本が競争力を高めた時に白人の中にはある種の敵意が芽生えた。しかし、小国日本に対してはまだ余裕で対応できた。そこで日本はあくまで白人の配下であるという姿勢を崩さず、何か卑しい姿勢をとることにした。フランスでは日本の総理大臣の訪問に対してラジオのセールスマンが来たと揶揄した。安倍氏の態度の中にはそういうゆがみがいまだに見える。逆らわないので助けてくださいというような、卑屈な空気がある。
中国は大国意識が強い。白人に劣等感がない。白人には中国恐怖感がある。そこで、日本を手先に使って、中国ににらみを利かそうという力学が働く。そのアメリカの意志を忖度して行動しているのが安倍政権である。石原氏がそうであった。なぜか日本の国粋主義者というものは、アメリカ配下の国粋主義になる。あの、右翼の赤尾敏氏も渋谷のハチ公前でそのように叫んでいた。まるでその歪んだ精神状況が反映したのが、尖閣諸島である。棚上げされていたものを石原氏が無理やり政治問題化させたのだ。アメリカで都有地化することを記者会見した。何たるみじめな猿芝居か。こうしてアメリカのご機嫌伺のように、中国との国境問題を顕著化して、日本国民を反中国に仕立て上げてきた。お先棒の報道機関は、中国漁船が押し寄せたとか、面白おかしくはやし立てる。そして、先島諸島を軍事拠点化しようという動きを強める結果になる。遠からず、先島諸島にスタッドミサイル基地の建設という事になる。すべてはアメリカファーストの結果である。