麹作り
2016/04/05
自給生活に欠かせないのが、発酵技術を自分のものにすることだろう。堆肥を作るにしても、鶏の餌を作るにしても、発酵技術を自由に使えることが必須条件である。農家の利用する発酵技術は、漬物に始まり、数限りなくある。毎日の事だから理屈先行ではなく、身体で覚える事である。無菌室などいらない。道具は工夫する。例えば、38度で10時間とか言いながら、温度計と時計と首っ引きなのでは、農家の実用とは言えない。あくまで目安である。手入れをする心。「こんなものだな。」という感じを五感を駆使して身につける必要がある。それは、銀座キムラヤでパンを作るフランス人の職人から教わった、という人からの又聞きである。その日パンに混ぜる水温を決めるのに、外気温、湿度。そういう総合したものを、身体で感じて、今日はここだと決めるのだそうだ。手を入れておおよそが分かるようになる。それを、技とか言う世界にしないで、誰でも可能な技術にすること。完全を求めないで、おおよそだが、失敗がない技術。
麹つくりはとても簡単なもので、発酵を身体で学ぶ為には是否一度取り組みたい。農の会では今年も大勢が集まって、麹つくりをした。毎年、小宮さんのブルーベリー園でやらしてもらっている。暖かい日差しがあって、風もない穏かな冬の一日だった。4班に分かれて、早朝から、夕方まで行われた。一日居たいぐらいだが、何しろ麹が冷えてしまっても困るので、自分のものを仕込んだら帰ってくるしかない。お米の準備。クロマイの人から、玄米の人まで居るので、それぞれであるが、先ず充分に水を吸わせる事。10時間以上。では、長くて何時間かと成ると、10度以下の冷たい水なら、24時間でも大丈夫だ。そして大事なのが、水切り。3時間はしたい。それでも容器によっては水分がそこのほうに残るので、途中で、天地返しをするのも良い。長くて、夜の間中やって居たいなら、上に布巾をかけておく。
お米の浸し状態は、良い蒸かしをする為に不可欠である。良い蒸かしは充分芯がない所まで蒸かしてあって、べとべとしていない、ぱらぱらの状態。後で麹菌を付ける際、力を入れて、ぎゅうぎゅう揉み込んでも、固まらない事。薪をばんばん燃やし続けること。あまり燃やすと、セイロが焦げてしまうので要注意。おおよそ45分から1時間。いい状態を食べてみて確認。蒸かし過ぎは先ずないので、やりすぎから覚える。但しそこが茶色く焦げてしまうのは行き過ぎ。2段で蒸かした場合。上の段はほとんど蒸かされていない。蒸かしたら、熱いお米を布に広げて、冷ます。手はよく洗う。洗うのは米糠。石鹸は良くない。仕込んだ麹に触る時はいつでも手はよく洗う。ここからは手早くやるのが大切。普通の環境なら、どんな部屋でもかまわない。冬の寒い時期なら悪い菌が紛れるなど起こらない。かき回しながら、冷ましてゆくのだが温度がお風呂ぐらいになれば、菌を植え付けられる。ここで、菌を力強くも揉み込む。お米の芯まで菌が行くようにと思いをこめる。冷めない内に手早く一塊に丸める。
丸めたものを、米袋に入れる。米袋はさらに毛布などで包む。回りに湯たんぽで保温。これは持ち帰りのためで、家でやるなら、電気カーペット、炬燵などでの保温が簡単。米袋を抱いて寝てもいい。私のおばあーさんはそうしていた。問題は寝ているのも仕事をしているということで、起きてこない事であった。湯たんぽだけでも3時間ごとに変えてやる熱心さがあれば、充分上手くできる。体温ぐらいで、20時間維持。ここで、一度目の手入れ。全体は、もう麹の良い香りを発し、白い菌糸も伸び始めている。大きな塊を良くほぐす。一度全体がパラパラになるように。ここからは温度を上げすぎないように注意。麹自体が発熱を始めるが、まだ発熱は弱いので、保温管理は必要だが、42度を超えないこと。お風呂を思い出して、あれより熱くならないいように。それで、6時間管理。2番手入れ。又大切にほぐしてやる。ここでは今回の出来はもう見得て来ている。乾きすぎなら、ぬるま湯霧吹き。そしてさらに6時間後にはほぼ出来上がり、菌糸が十分に回り、芯まで真っ白ならいい。不充分なら、ぬるま湯を霧吹きしてやり。もう一度発酵を進める。黄ばんできているほどなら、味噌麹として最高。
昨日の自給作業:前日準備を含め6時間。しばらく前に竹切り2時間。累計時間:18時間。