里山再生事業

      2016/08/08

小田原市久野を中心に、里山を再生しようという提案が、行政から出された。多分行政側は久野は「環境を守る会」の活動が、あるから、こういう提案をすれば住民は動き出すだろう、と考えていた節がある。ところが一向に立ち上がらない。住民の行政不信がどれほど深いものか。認識できていないのだろう。

一方で、焼却場の建設が論議されている中で、里山再生事業とどういう整合性があるのだろう。もしこの地域を里山地域という形で、行政が色付けをする。そうしたことまで考えている。もしくは可能性がある。という事なら、この事業に協力してゆくことは、久野に住む者として、必要な行動という事になる。

里山地区に、つまり環境保全地区に、焼却場をおくことは整合性が無い。このことに行政は気付いているのだろうか。この地区は斎場もある。公的な大規模な霊園もある。更に、焼却場。最終処分場。土砂の埋め立て処分場も、あるし。申請もされている。建設業の資材置き場が、かなりの数点在する。それでも、里山地区といわれるだけの自然環境も残っている。こうした都市近郊の複雑で、雑然とした土地利用実態に、里山再生を持ち込む、その深い意味を行政は認識しているのだろうか。

久野地区は箱根明星山の東斜面に当る。広大な山林と、それに続く農地があり、小さな集落が点在する。そして、しだいに小田原の市街地へと連なる。法的には市街化区域と、市街化調整区域にまたがる事になる。農地については農振農地が大半だ。この地区も当然のごとく、住宅開発の波が押し寄せ、土地が思惑的に見られたり、投機的に考えられたりした。

地元の住民にすれば、土地価格には敏感になり、農地を見る目が、財産管理的になった。その為に変則的な土地利用が、行われている。思わぬ山の中に、不思議な施設があったりする。例えば、以前養鶏場だったところを、産廃業者が産廃の一時置き場にしたことがあった。先ず養鶏業者が、鉄骨でかなりの建物を建てた。養鶏場の改築という名目だ。その上で、産廃業者がその土地を購入した。その巨大な建物で、先ず、鶏を飼った。あるとき突然、産廃が運び込まれた。

こんな形で、不思議なことがあちこちに起こった。多分、バブル期全国で起こったことなのだろう。今もその再来を予測して、準備している人もいる。その為に里山といわれるところは、案外に利権が絡み、利用しにくい場所になっている。

久野川は明星山を水源とし、小田原の市内だけで完結する川だ。一部には、保全すべき自然を残した箇所もある。この河岸に遊歩道を整備し、里山を満喫できる環境を作り出したら、どれほどすばらしいか。ここまでは誰しも思う。問題はその整備すべき箇所が複雑に私有地化されていて、しかも思惑が入り乱れているだろう、ことだ。

そこで里山再生事業として出てくる発想は、難しいことには手をつけず、現在ある里山的な環境保全活動がすでに行われている箇所を、ピックアップしてつなげる。という考えだ。何となくお茶を濁そうという事になるだろう。確かに里山事業マップを作りアピールする。これだけでも意味はある。

行政が何処まで本気なのか。農業特区の時のように、3年で忘れてしまうことは無いのか。この辺りが、一番大切な視点だと思う。本気でやるというなら、私のやろうとしていることとも重なるのだから、本腰を入れてもいいと考えている。

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