イスラエル、レバノンの戦闘

   

日に日に本格化してゆく戦争。国連のアメリカの拒否権による無力化。アメリカの独善的な横暴。日本人として今この戦争に、何が出来るんだろうか。暗澹たる気持ちにならざる得ない。
イスラエルの特殊性が、こうした不幸をもたらすのではないか。

イスラエルではキブツというものが存在する。ソビエト連邦にあった、コルホーズのような物だ。200人から、300人が共同体を作り暮している。農業生産物の40%はキブツでの生産で、国民の3%に当る。現在キブツの数は270近くあり、その人口は約13万人。初代首相ベングリオン、ゴルダ・メイール、イガエル・アロンなど 数々のリーダー達を出している。

社会主義的な思想で教育が行われているそうだが、一番の特徴は子供を肉親が育てないという辺りだろう。子育て専門の家があり、職種がある。そこに子供は集められて育つ。肉親には週に1回会いに行く程度らしい。これはコルホーズなどではないことで、どんな結果が出るのか非常に心配をしていた。

中国の1人っこ政策というのも、よく無い結果が出るだろうと、思っている。そうしたことを国家が強制し、どんな結果が出るか。キブツは国の3%の人口ではあるが、その出身者が今のイスラエルの骨格となり、他の国に見られないような、徹底した国になって来たのではないか。

日本でも、ヤマギシズムを標榜する共同体がある。行ったことも無いので、やたらのことは言えないが。養鶏を主要な仕事として行っているので、集会で関係者にあったことは何度かある。印象としてはあまり良いものは無い。現実と論理的な理想が乖離しすぎている。
例えば自立という事はいうが、ヤマギシの鶏種の作出をしない。床がコンクリートである。放し飼いをしない。有精卵90%といいながら、実際は孵らない事も多い。なぜかと質問すると、「研鑽」というものに出ないと理解できないと、言って決して答えない。

こうした閉じた環境は、子供を育てる為には危険な事だ。それがイスラエルの今の動向を見ていると、現れているような気がする。

イラクの泥沼化も益々深刻さを増してきている。昨日もイラク兵士69名が死亡したと伝えている。イランのアハマディネジャド大統領は「脅しや強制の言葉がイラン国民に通じると考えるのは、大間違いだ」と述べ、国連安全保障理事会決議を拒否する考えを表明。北朝鮮と同じだ。中東全体の深刻さは、アメリカの介入以前に較べて、改善されてきているとは到底思えない。

力によって、力を抑えることは出来ない。力によって抑えらた憎しみは、反攻という力になって帰ってゆく。イスラエルに空爆されて対抗の出来ない、レバノンが徹底抗戦に向かっている。明らかに軍事力が弱体であるとしても、どれだけ国民が死んで行くとしても、話し合いを拒否し、戦うことになる。それが国家であり、憎しみの行く先だ。

この憎しみの連鎖を、何処で断ち切ることが出来るか。どんなに困難であるにしても、武力を捨てるしかない事を、ここから学ぶしかない。軍事力を持つということが、国家の安全保障にならないことを、ここから学ぶしかない。軍備が憎しみの引き金になることを、学ぶ必要がある。

イスラエル兵を拉致した、レバノンのヒズボラは悪い。しかし、軍事力が無ければ、空爆などせず、話し合うしかなかった。話し合いは不調に終わるかもしれないが、戦争は始まらずに済んだだろう。

 - Peace Cafe