自然養鶏
私は20年ほど前全国の鶏を飼っているところを訪ね歩きました。何処かにいい飼い方をしている人が居るはずだと思っていました。所が自然卵養鶏とは名ばかりで、工業的養鶏より悪い環境で飼育をしているところばかりでした。中途半端な飼育法は危険に満ちている、と痛感するところでした。中島さんの提唱した方法が平飼いをしていればいいとか。自家配合していれば価値があるとか。都合のいいように解釈されて、単なる有利販売になっている。しかし、「養鶏で生活していない者には、わからないよ。」と全く聞いてもらえません。それなら養鶏で暮らして見ようということもありました。その後、何とかかんとか、養鶏で食べてきましたので、少しは意見が言わせてもらえるようになったかと思います。
6本の柱
20年になろうとする、私のやってきた養鶏場「あいらんど」について、現況報告します。鶏を飼ってからは50年です。規模は成鶏200羽、育雛中240羽、600坪の敷地です。
「あいらんど」の自然養鶏は、
1、 床の発酵
2、 飼料の2種類の発酵
3、 自家繁殖
4、 緑餌の多給
5、 草むら放牧
6、 湧水の利用
この6本の柱で組み上がっています。いずれもはずすことの出来ない、微妙な因果関係で結ばれた、不思議な骨組み。失敗に失敗を重ね、鶏に教わりながら進めてきた、自分の観察の結果のみを信じてやってきた、自然養鶏の今ある姿です。
私が自然養鶏をやっているのは、人間として自立して生きる為。
雛を買わなければ出来ないような養鶏では、私には意味がなかった。
ワクチンを不要と考えたら、使えなかった。
不徹底なものが私の生き方にあってはならない。どうしようもなくコダワルノガ私なのだ。むしろ、独立独歩に生きる為の技術として、自然養鶏に至ったと言った方がいい。
一人の人間が一人だけで生きる為の技術として、私は自然養鶏を選び、その技術を磨いてきた。養鶏を考える前に、自分がどのように生きるかを問いたい。全てはそこに始まる。自分の生き方にふさわしくないなら、養鶏をやる必要はない。