SNS選挙
前回の参議院選挙では、SNSを利用した参政党と国民民主党が票を集めることになった。SNSが選挙を変えたと言われている。SNSと言うものはやったことがないので、よく分からない。新聞やテレビよりも影響力が大きいと言うことが、想像も出来ない。
確かにどぶ板選挙の時代では無い。ある意味違法と言えるどぶ板選挙を経験したことがある。それよりはSNSに変わる方が良いとは思う。それでもこの変化について行けない。たぶん、自民党や立憲民主党のような従来の政党はこの変化について行けないのだろう。
SNS選挙の特徴は、極端なことを主張したものが注目を集めると言うことになるらしい。これは、ユーチューバーと呼ばれる人が注目を集めるために、違法行為をしてまで視聴者を増加させようとすることのようなものなのだろう。そう考えると、選挙のやり方がNHK党のひどさとつながっているのだろう。
選挙で急速に盛り上がったのが、減税と外国人排斥である。政策論議とは違う。いわゆるポピュリズム選挙と考えれば良い。今受けそうなことを言いつのる政党が票を集める。国民に対して、必要なことであっても、辛い選択など主張できない。
減税を財源論議なしに主張する。外国人労働者いじめが、鬱憤晴らしになる。要するに不満が社会に溜まっていると言うことだろう。30年間の停滞が社会の階層化を進めた。多くの国民が生きるまともな意欲を衰退させた。まっとうな生活が危うい社会になっている。
30歳以下の人は、明日はよくなるという実感が無いのだろう。明日はさらに悪くなるという社会の中で生きる道を捜さなければならなかった。結局大企業を優遇して、世界での競争に勝って貰わなければ、日本が衰退するというまやかしが、日本人の意欲ををダメにしてしまったのだろう。
選挙の争点が拝金主義化している。減税が争点になると言うことは、幼稚なことだと思う。どの政党が一番お金をばらまくかが選挙の争点になる。財源を無視した政党ほど票を集める。お金があるならば、教育のために使おう。こう言う論議は票にはつながらない。
問題の本質では無く、わかりやすい結果だけが注目され、税金全体のことは置き去りにされ他減税論議である。税金の問題は総合的な問題で、結果としての減税の主張だけでは、本質が見えなくなる。しかし、この恩恵だけの表面的論議がSNS論議なのだろう。
日本人ファーストを掲げた参政党の注目の集め方も同じである。日本ファーストでは無いところが特徴的だ。日本全体を良くしようという主張であれば、国家主義である。右翼政党と言われているが、むしろ、不満分子政党なのかもしれない。不満分子が極右化する社会かもしれない。
国民の政治への期待の一番は、物価高対策だそうだ。その意味では、小泉さんも高市さんも、期待薄である。政策論議もしているのだろうが、良く伝わらない。ついこの前まで、デフレマインドとか言われて、インフレになるように政府も進めていたわけだ。要するに、日本政府に経済を動かすような力量が無いのだろう。
それはトランプの言いなり以外に選択の無いむなしさを痛感する。まさに日本人ラストである。日本の国をどうして行くかを、トランプに押しつけられ、従う以外に無い。これが日本の現実である。一体何故こんな理不尽を、正義の無い社会が許されるのかが分からない。
トランプがやっていることは、戦争と同じである。衛星国すべてが従うことになった。そして、インドは中国、ロシアと接近することになった。中国もロシアとの関係を維持することになっている。衛星国は従ったが、従わない国は反アメリカでむしろ連携することになった。
日本が主張する開かれたインド太平洋構想は、もう無くなった。トランプは衛星国を利用するだけだと言うことがはっきりしたからだ。これほどのアメリカ独善を受け入れる以外に出来ない、日本の現実を考えれば、減税も、日本人ファーストも、悲鳴なのだろう。
日本はどうすれば良いか路頭に迷っている。アメリカに従った上ですべてが動いている。この情けない現実をどうにもできない。理不尽なトランプに従う以外にない日本の政治。反アメリカを主張する政党は一つも無い。日本人はどうもアメリカファーストに洗脳されているのだろう。
何故中国の方が、トランプより悪いのか。これが分からない。韓国、台湾、ベトナム、アジアの連携を模索すべきだろう。過去に無い軍事的緊張の高まった東アジア情勢と言いながら、日本の外交努力は少しも行動が無い。軍事費の増大をトランプに押しつけられただけでは無いか。
今ほど中国との関係の回復が可能な情勢は無い。中国を仮想敵国とする、日本政府の政策は間違っている。これはアメリカに押しつけられたものだ。それをいつの間にか日本人全体が洗脳されてしまった。覇権主義国家は中国では無く、まさにトランプアメリカではないか。アメリカだけ良ければ良いというのが覇権主義である。
日中関係は1990年代をピークに関係が悪化する。中国の見本であった日本が、経済て停滞に入ったためである。中国としては、悪い事例として日本が見られるようになる。日本の轍を踏んでは成らないと中国が考えるようになった。成功事例だった日本が、経済に失敗する事例の日本に成った。
そして中国は高度成長が続き、今その末期を迎えているとはいえ、日本よりはまだ増しな状況である。日本では中国が何時経済崩壊するかなどと騒いでいるが、日本は30年経済成長が無く、実質所得は目減りしている状況だ。日本政府は人ごとでは無いはずであるが、中国を悪く言うことで、溜飲を下げている状態の日本。
現実には中国は日本ほど悪くないのだ。高度成長に伴う、数々の失敗もあるが国民所得の向上は続いている。比較すればまだ増しなのだ。その強さの証が、アメリカに従わないだけの、経済の強さがあると言うことになる。中国が独立国であるという当たり前の姿を見る。
最近はIT化やAI技術の進展により、ネットを通じた情報収集に際して、自分の見方に近い情報が自動的に選別される仕組みになっている。これがSNSで助長された。反中感情を抱く人には、中国に関するネガティブな情報が集中し、中立的な情報が入らなくなっている。
ネット情報の怖さである。日本の報道はアメリカ便乗である。自分の目で中国をみていない。アメリカに言われたように中国をみている。中国人は格差が大きい。多様な人が居る。習近平一辺倒に見えるだけで、実際には日本人よりも、自己確立度が高い。そして努力もするし、優秀でもある。
東大の大学院生の3分の1が中国人だといわれている。日本語で受験している結果である。極めて優秀なのだ。その人たちが、日本を助けてくれるかもしれないような状況である。中国国内にはさらに優秀な人たちが溢れるほど居る。そして、日本人どころでは無い努力をしている。アメリカを中国が凌駕するのもそう遠くないと考えて置いた方が良い。
SNSによる日本の情報のゆがみが、日本人の劣化につながっているのだろう。このままでは、日本はさらに苦しい経済状況に陥るだろう。自分の目で中国を見てくることだ。中国の可能性を肌身で感じなければ判断を誤る。SNS情報では無く、自分の感覚で中国を観て、学ぶことだ。