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笹村 出-自給農業の記録-

2026年の目標

   

2026年が今日から始まる。謹賀新年 良い歳になるように

2026年は自給農業の技術の確立をめざす。第一の稲作においては「ひこばえ農法」「アカウキクサ農法」「光合成細菌利用」この3つの柱で自給技術の確立を進める。次に大豆栽培を五穀栽培と組み合わせて実現する。次に水牛共働牧場の確立を目指す。そして自給養鶏を始める。

「のぼたん農園」という、昨年は自給のための場作りが少しずつ進んでいる。後残、り6年になる。私がいなくなったとしても、農園が自立して動いて行くようにしたい。と考えて居る。何があろうとも、あと6年は身体が自給農業を出来る状態に保つつもりでいる。日々の動禅体操の実践を頑張る。

水彩画も日々の一枚。「次の一枚」に向けて描いて行く。できるかぎり頭で考えないで、腕に任せて、何の前提もなくただ描いて行くように。一枚描いたら、その一枚を忘れて、次の一枚を描く。成果を問わない。ただ、描く行為に没頭する。只管打画を続けて行く。

幸いなことに健康である。なによりもこの健康を継続させなければならない。のぼたん農園が完成するまで、自給農業技術が確立できるまで、農作業が出来る身体でいなければならない。農業は実践である。自分の身体でやらなければ、実践的農業技術は進まない。

まずは、「ひこばえ農法」である。ひこばえ農法を始めたのは、5年前になる。あれから日本全国で急速にひこばえ農法が広がっている。参考になるところが出てきている。しかし、石垣島という亜熱帯気候で行うひこばえ農法と、本土で行うものとはかなり違っていることも見えてきた。

石垣島では稲が再生するのは当たり前のことだ。冬に稲が枯れると言うことがない。本土でも相模原の小川さんが再生稲と言うことを言われていたが、小川さんの田んぼは冬期の水温が16度という特殊環境だった。16度ならば稲は枯れることはない。この大事な部分が伝わっていなかった。

石垣島では稲は枯れるような気温には下がらない。一番下がって、13度が年に二回ぐらいだ。滅多なことではここまで下がらない。だから稲は枯れることなく、何度でも再生してくる。この気候をうまく利用して、一年に3回収穫する稲作を試している。

3回収穫すること自体は2年前から出来たのだが、ウイルス病の問題が出てきた。一度目の稲にウイルス病が出ることはないのだが、2回目のひこばえの一部にウイルス病が出る。ひこばえが再生し始めたときに、苗はウイルスに弱いようだ。そして3回目の稲ではかなり広がる。

たぶん、ツマグロヨコバイによる感染だと思われる。今の所ウンカの発生は少ない。ツマグロヨコバイを防ぐ防虫剤を使いたくないので、どうやってツマグロヨコバイの密度を下げるかである。一つは風を利用することではないかと考えている。今年は試してみたい。

稲刈りの時にネットを外し、外したまま出穂期まで育てる。風の力でツマグロヨコバイの密度を減らす。田んぼの周囲のイネ科の草を良く刈ることも必要だろう。イネ科以外の雑草にすると言うこともあるが、下の田んぼは自然状態でアメリカハマグルマがなどが繁茂しているので、様子を見たいと考えて居る。牧草ばかりの上の田んぼと比較してみたい。

具体的な対応としては、感染したと思われる稲があれば、躊躇なく引き抜くことだと思う。そのためには最初は30㎝角植えになければならない。30㎝角であれば、株数もそれなりにあるので、かなり引き抜いてし待っても、補われるので可能になる。ひこばえの稲の方が、分ゲツ数は多くなるからだ。

稲刈りは低く刈るほど良い。本土で40㎝と高く刈る手法が言われているが、これは石垣島では違う。早い内に刈払機で低く刈りとる方が良い。その方が一次分節からひこばえが再生してくれる。一次分節からの再生でなければ、大きな穂にはならないし、また出穂が揃わなくなる。

稲刈り前に追肥を入れなければならないのだが、これを光合成細菌の利用に変えて行きたい。田んぼに戻す藁が十分腐植すれば、アンモニア化して十分な肥料になる。ひこばえ農法はそれなりの肥料分が田んぼになければ、稲株の継続できない。

土壌が豊かになり稲が元気にいひこばえを伸ばす力を持てるようにしなければならない。入れて行く稲わらを光合成細菌によって、腐植分解の促進することだ。稲刈りをして田んぼに入れた藁が、何時までも残るようではその藁を分解するために、本来稲が利用したい窒素分が利用されてしまう。

光合成細菌が藁などを分解し、アンモニア化して、次の稲の肥料にする。ひこばえ農法では、年に3回もの藁を田んぼに戻すのだから、うまく光合成細菌が利用できれば、肥料分はそれだけで十分と言うことになる。敷き草の藁が分解できるような土壌にするのが目標である。

敷き草を行うことで、土壌が守られると考えて居る。藁の下には沢山の微生物が生息する。それはアカウキクサも同様の効果を期待している。水面を浮き草が覆うことで、水温の上昇を抑えられる。土壌温度の上昇も抑えられるだろう。いぜん、水草があると水生昆虫が減少すると刈部さんが言われていたが、それは亜熱帯では当てはまらないのではないだろうか。

田んぼの入水口の脇に200ℓのポリタンクを設置した。ここで光合成細菌を増殖して、頻繁に流し込んで行こうと考えて居る。点滴で田んぼに光合成細菌が落ちるようにして、継続して光合成細菌が入るようにしたい。光合成細菌はそう長くは田んぼで生きていないと想像している。

課題だった大豆栽培の本格化である。4つの畑に分かれているが、ほぼ1反の大豆栽培を行う。まず100キロの収穫が目標である。去年は始めて大豆が収穫まで進んだ。それほど豊作と言うことではなかったが、何とか栽培には目処が立った。まずは大豆種子の10度での保存。品種の検討。

8月25日播種で、水をやらない栽培である。大豆がこれほど乾燥に強いとは思わなかった。播種前に圃場に十分の水を撒き、播種直前にトラックターで耕耘した。このときの土壌水分量が重要な条件のようだ。湿り気がほどほどでなければならない。今年はいろいろ試してみたいと考えて居る。

それでもやはり、花が咲いたときには水は必要なようだ。大豆の花水は確かなことのようだ。株全体で見ると、不稔のさやがあった。どんな大豆なら栽培できるのかは少し分かったのだが、今年は「小糸在来種」の栽培にもう一度挑戦したいと思う。やはり一番美味しいのは小糸在来種である。

大豆の裏作で、五穀栽培をするつもりだ。昨年渇水で、稲が不稔になってしまった。これが本当の自給であれば、餓死するところであった。しみじみ、豊年祭で言われる五穀豊穣の意味が理解できた。五穀を作ることが、食の安全保障だったのだ。のぼたん農園の取り組みとしてやらなければと考えるようになった。

4つの栽培地があるので、4種の作物を試したい。まず、「とおもろこし」これは石垣でも作っている人がいるので、教えていただき挑戦する。「もちあわ」「もちきび」後は「小麦、みなみのかおり」かなと思っている。これも出来るかどうかは分からないが、もう一度試してみる。

五穀は収穫してからが大変である。鶏の襲撃も防がなければならない。まずは大豆栽培の緑肥ぐらいの気楽な気持ちで取り組みたい。すべてにネットを張るのは難しいと思われるので、何か良い対策を考えたい。収穫時期は早朝から絵を描くことにするか。

水牛牧場を進める。これは嶋田さんに動いて貰うしかないが、できる限りの協力をしたい。与那覇さんの3反の畑を貸していただけることになったので、進めて行きたいと考えて居る。やはり水牛池作りからだろう。水牛が入って身体を冷やせる池が必要だ。

池を掘った土で丘を作る。丘にいたり湿地に行ったり、池に入ったりいろいろ出来れば水牛は楽しいだろう。草はいろいろ生えてはいるが、下の与那覇さんからお借りした3反には牧草はない。現在テツホシダが群生している。水牛は食べるのだろうか。どんな草にすれば良いのかも検討が必要になる。

養鶏も始める予定だ。考えるとかなり緊張する。養鶏をやるという人が揃ったところで始める。各曜日2人ずつは必要である。1年間毎週一回だけは参加してもらえる人が参加出来る。自然養鶏を学習するためにはそれくらいの時間はかかる。小屋作り、餌作り、日常管理。学ぶことはそこそこある。

特に昆虫養殖との組み合わせが大事だ。どうすれば大量に昆虫を発生させることが出来るか、試行錯誤が必要なはずだ。アメリカミズバエが小田原では一番容易だったが、石垣島ではまた別なことになるだろう。餌の材料集めも仕事になる。まず米ぬかの確保から。泡盛カスの確保も出来ないか。魚のアラなどどこかででていないか。

今年もやりたいことがどんどん出てくる。やりたい意欲が溢れてくることが嬉しい。元気で、ひたすらに進んで行くつもりだ。仲間がいるからやる気になる。必ずやり遂げるつもりだ。その一念である。平和の島石垣島に向けて今年も全力疾走である。

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