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笹村 出-自給農業の記録-

ひこばえイネの不稔が多い。

   

 

今年はひこばえイネは快調に見えた。かなりの収量が見込めると思えた。ところが、脱穀してみると、歩留まりが悪すぎた。何故だろうか。不思議で成らない。穂は見たところは立派に出来ているのだが、不燃があまりに多すぎる。今回の原因は見た目が良かっただけに、完全には理由がまだ分からない。さてどうしたら良いのだろうか。

不稔の原因は、温度、乾燥、塩分ストレス、強風、開花期の強い雨。などが考えられる。ベナン、フィリピン、中国など湿潤な地域では蒸散に伴う気化冷却効果が小さく、水稲の高温不稔が起こりやすい。のぼたん農園の場合、水不足があり、水温の上昇が起こる。

特に幼保形成期が6月半ばの場合、夜温が30度から下がらないこともあり、不稔が増加したことが予測される。

対策をしらべてみると①遮光資材の使用、②適切な水管理(かけ流し灌水など)、③早朝開花性などの高温に強い品種への変更、④出穂期を早める・遅らせる品種選定、⑤堆肥投入による地力向上と適切な施肥管理、⑥深耕による根張りの促進、⑦適正な中干し管理などが挙げられている。

取り組めることを考えてみると、1,田植時期の検討。2,根を深く張らせる対応。3,土壌環境の改善。地力の向上。4,中干しの導入。5,一部だけでも遮光ネットを架けてみる。6,夜温を下げる工夫は無いか。

3期目のひこばえに関しては、気温が下がり期待できる可能性はある。土壌がまだまだ出来ていないという点も考えなければならない。

不稔となった籾数の割合(不稔率)は、開花期の日中の穂の温度と高い相関関係があり、穂温が33°C付近を超えると不稔率が増大し始めることがわかりました。開花期高温不稔は、開花時に穂(穎花)が高温に曝されることにより受粉が阻害されて不稔になる障害です。

感 受性品種で32℃,抵 抗性品種で36~37℃ であった.ま た約90%が 不稔 にな る温度は,感 受性品種で35℃抵抗性 品種で38~40℃ と推定 された.こ の温度反応曲
線 において,不 稔 歩合の品種 間差が顕 著に認め られるのは35~38℃ の間であ り,感 受性 品種 をふ るい落すには35℃処理が,抵 抗性 強の品種 を選抜 するには38℃ 処理 が適当と考 え られ た.

穂の温度が高いと葯(花粉の袋)が裂開せず、花粉が飛び散りません(写真上段)。そのために柱頭(雌しべの先)に安定した受精に必要な数の花粉が付かず、不稔になると考えられます

「コシヒカリ」では、30℃の高夜温が3日間連続することでも不稔率が増加しました。この結果は、高夜温の累積効果が存在することを示しています。
2. これまでの知見の通り、37℃の高昼温により不稔率は著しく増加しますが、さらに高夜温が加わることにより不稔の発生が助長され、高昼温と高夜温の相互作用が認められました。

 

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