八段錦の実際

   



 八段錦をスワイショウが終わると行う。陽名時太極拳で行っている順番に従っている。八段錦の後に、24式の太極拳が行われる。そして最後に立禅が行われて終わる。スワイショウのことは前回かいたので、今回は八段錦について今やっている実際を書いてみる。すこしづつ変わっている。

 八段錦は呼吸を鍛える体操である。中国では気功法と言うことが重視されて、気を活性化する物が、呼吸と言うことになっている。気功は身体の中に気の流れがあるという考え方なのだが、血液や神経は確かに身体の中に張り巡らされているが、どうも気というようなはっきりしない物は考えないことにしている。

 いつか気という物が科学的に明確に証明されたときが来るまではないと考えるつもりだ。そのために、八段錦が言うところの気の流れを良くするための体操という点では、評価をしていない。しかし、八段錦が呼吸を強める体操であると言う意味ではすごい体操だと思っている。

 八段錦と言うとおり、8つの体操に分かれている。最後の8段は背伸び禅にしているので、12分か18分となる。八段目をべつにして、1段から4段までで、6分間。5段、6段、7段の後半で6分間。全体では24分か30分の体操になる。

 体操としては八段錦の方が、太極拳よりも長い。と言っても背伸び禅を別にすれば、ほぼ同じ時間なので、背伸び禅を除いて、7段錦と背伸び禅というところが実際のようだ。中心となる物は太極拳であって、あくまで八段錦はその前段の物という意識がある。

 八段錦は自分の身体の反応を通して、随分自己流に変えた。一番の違いは眼を閉じて行う点。スワイショウと同じく、眼を閉じていた方が、集中できるからだ。八段錦は独房内でも出来るくらい同じ場所で行う動きがないものだから、眼を閉じていて不自由と言うことはどこにもない。

 まず一段は深呼吸である。言葉通り深い呼吸を行う。細かい動作については色々重要な点があるのだが、書いたところで分かりにくいのだが、息を吸いながら手を重ねて大きく上げるのだが、1番手が上に行ったときに呼吸をとめる。手を放し空に向かって顔も上げる。そして、両手を後ろに引きつけて頭を腕の間に入れる。

 両手は頭の両側をできる限り後ろを通りながら下の下ろして行く、この時に呼吸はゆっくりと吸い始める。膝も合せて落としながらゆっくりと息を出し切る。最後に手を少し挙げてもう一度下ろしながら口を開けて最後まで息を出し切る。

 呼吸の際口は閉じてと言われる。特に吐くときは閉じたままと言われるが、私のやり方では口を開いて最後の息を出し切る。口を細くしてろうそくの火を吹き消すように、強く息を吐ききる。もう出ないという所まで出し切ることが重要だと考えている。

 2段は弓を引く動きである。これも呼吸に合わせて体重移動して、右足に全体重を乗せ、手は弓を全力で引くように動かす。左手を前に高く突き出す。まことちゃんの手の形グワッシュにして、手の指に力を込めて10秒持続する。これを左右2回ずつ繰り返す。余裕があれば3回繰り返してもいい。

 3段は胸を開き、首を曲げる体操。これは息を止めることが重要になる体操。息をゆっくりと吐ききりながら、両肩を肩甲骨から後ろに入れて行く。できる限り後に手を伸ばして、吐ききったまま10秒間維持する。これも左右2回ずつ行う。余裕があれば、これも3回でも良い。

 4段は足は限界まで大きく開き、身体を深く沈むところまで曲げて、落として回す、股関節の体操である。股関節が状態が悪かったのだが、4段を深くゆっくりと行っている間に改善された。今はいくら歩いても股関節が痛くなると言うことはなくなった。

 5段は両手を上げながら、身体を上に伸ばして行く、最後に伸び上がりながら、身体をストンと落とし、両手は一気に下まで落下させる。思い切って落下させることが重要になる。落としたら、今度は左手を頭上に上げて、天を支える。

 これを左右2回づつ4回繰り返す。これも余裕があれば、3回やっても良い。本来3回づつ行うことが八段錦の基本であるが、この後太極拳もあるので、少し手を抜いて、2回にしている。

 6段はまず左手を上げながら息を出し切る。さらに右手を上げながら、今度は口を開いてさらに息を吐きだす。これも2回ずつ4回行う。それが終わったら、身体の回転運動を行う。柔軟体操であるので、できる限りからだが柔らかくなるように工夫して行う。

 7段は総合的な体操である。言葉では上手く表現できないが、最初に右手を上げて、手を前に突き出す。手首を左回りに5回回す。そして次に右回り手首からぐるぐる右回しする。最後に、手の平を上に向けて開き親指から一本づつしっかりと握って行く。

 しっかりと手を握ったらその手を前に空手の突きを出す。そして両手をさげから上に上げて、大きくぐるりと背中に回す。この体操を2回繰り返す。これも3回でも良い。

 そして8段の背伸び禅体操である。まったく勝手に考えた物だ。まず、背伸びをして踵から落とす運動を25回行う。それからゆっくりと背伸びをする。そのまま6分無心に立つ。宇宙の無重力空間に漂うような気持ちで、立ち尽くす。

 いくらでも頭の中に邪念が湧いてくるので、頭の中を洗い流す気持ちでおこなう。背伸びをしているのは背伸びをしていることが難しいことなので、そのことに集中できるからである。それでもどうしても身体はゆれる。ゆれるから何とか立ち続けようとする。

 座禅より背伸び禅を選んだ理由だ。背伸びをしていることは安定は出来ないから、常に身体に意識が集中する。ボーとしていればふらっとくる。それで意識が覚醒される。呼吸に気持ちを集中させる。呼吸はお腹でおこなう。集中できるようになると、背伸びがゆれなくなってくる。

 以上が自己流の8段錦である。3年続いている。3年の間にすこしづつ自分にあった体操に変えてきた。これが良い体操だと言うとすぐ取り入れてしまうので、ついつい長くなる。そう長くなると困るので、50分ぐらいに収まるように、止めた体操もかなりある。

 やる以上全力で取り組むことにしている。中途半端にやるくらいなら、やらない方がましだと思うからだ。以上色々書いてきたのはあくまで自分のためだ。他の人の参考には余り成らない。参考になるのは100歳までボケずに生きていたときのことだ。

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