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笹村 出-自給農業の記録-

自衛隊員の職業差別を主張

      2025/10/14

 

中谷防衛大臣が、住民の自衛隊に対する抗議活動を批判した。19日の閣議後会見で、日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」などの自衛隊活動に「過度な抗議、妨害活動が続いている」として、「活動は自由だが、良識をもってやっていただきたい」と述べた。防衛相が良識を持ち出して抗議活動を批判した。

中谷氏は、13日に宮古島市で行われた訓練で、反対派による「物資輸送訓練に対する妨害行為」があり、訓練内容の変更を余儀なくされたと説明。「大変遺憾」と述べた。これは正当な抗議活動を、政府が制限を加える、とんでもない暴言である。ある意味これを大臣が発言するのは法律違反である。

自衛隊への過度な抗議、妨害行為が続いており、大変遺憾だとする中谷元・防衛相の発言に基づき、自公の沖縄県議による一部市民団体に対する「職業差別」批判の決議が県議会で行われた。自衛隊基地反対運動を萎縮させるために、国政から県政まで批判を始めている。この一連の動きは民主主義を抑え込み始めている。

いったいこの程度の抗議活動で過度といえるのだろうか。日本以外の国では抗議デモは当然の権利として、かなりの活動まで許容されている。民衆革命を経験した国では、市民の反対デモを養護するのが当然なこととされている。自衛隊の行動に、反対の横断幕をかざして、通行の邪魔をしたぐらいで、何が過度の抗議活動であろうか。火炎瓶を投げたとか、暴力行為を行ったというのではない。

「沖縄全島エイサーまつり」(沖縄県沖縄市)で、一部市民団体が地元の陸上自衛隊第15旅団エイサー隊の出演に反対した問題を踏まえた、自衛隊職業差別決議が行われた。市民側が問うたのは自衛隊という軍事組織が地域のまつりに出演することだ。それなのに、決議案は隊員の人権が抑圧されたかのようにすり替えて、職業差別を持ち出したのだ。

「表現の自由により『自衛隊員である』という理由で社会参加の機会が奪われ、隊員や家族の尊厳が傷つけられることがあってはならない」と主張している。しかし、何をもって「社会参加の機会が奪われ、隊員や家族の尊厳を傷つけられたというのか。」個人として自由に参加すれば良いだろう。

そもそも自衛隊をアピールし、市民が迷彩服になれるように仕向けているのは、自衛隊の方針では無いか。石垣島では普段の買い物に行くのにも、迷彩服を着て出歩けという指示が上官からあるそうだ。実際自衛隊員が目に付く時期があった。この嫌な感じは、島に来て始めて感じた物だった。

日常の空間に軍服の人間が登場することで、地域の空気を悪いものにしていた。「差別的風潮」というレッテル貼りをすることで、あらゆる県民の意思表明や政治的発言を抑圧する恐れがある。将来にわたって禍根を残す決議だ。こういう決議が民主主義を抑圧するのだ。

自衛隊に対する抗議や批判が萎縮させようという、国の意図が見え見えである。辺野古新基地建設への反対・抗議行動にも影響しかねない。抗議するのは住民の権利である。住民に丁寧な説明を行わない、自衛隊の行動に問題がある。

さらには民意に沿わない国策を推進しようとすることに対する異議申し立ての、反対運動をさせないという、歪んだ方角に拡大適用されるような事態が懸念される。公明は「職業差別」の文言がある限りは自民案に賛同できないとして文言の修正を求めたのではなかったか。連立を離れた公明党は今どう言う発言をするのだろうか。

石垣島でも同様のことが起きている。石垣島の自衛隊基地の是非に関しては、住民の半数以上が住民投票を求めたにもかかわらず、市長が住民投票の実施を認めなかった。その理由は住民投票をすれば、基地反対が多数派に決まっているからだと言うことだと、基地賛成派の集会では言明していた。

要するに基地が出来るのは嫌だという、反対意見を押しつぶして、無理強情に自衛隊基地を石垣島に建設してしまった。石垣島を基地の島にした、極右中山市長の名前は末代まで、呪いを持って記憶したいと思う。このように住民投票すら許さない、自衛隊基地の進め方に、抗議活動が起こるのは当然のことだろう。

住民に喜ばれていない自衛隊員理由は、正統な住民投票が許されなかったことに起因する。迷彩服で街中を歩き回ることが、上官から命令されているという。こう言う仕打ちこそ、ひどい人権無視では無いか。自衛官にはピエロ役まで強制されているのだ。これこそ職業差別ではないのか。自衛官は少なくとも、石垣島の観光には迷惑な存在である。

軍服姿の隊員が歩き回る島では、仮想敵国中国の観光客は嬉しいわけが無い。観光による平和の島を石垣島は希求しているのだ。北朝鮮がロケット打ち上げをするという都度、迎撃ミサイルを港に設置して、威圧行為をしている。こんな馬鹿げた行為に抗議しないわけにはいかないだろう。

南西シフトや米軍との共同訓練を、地域への影響を考慮せずに計画ありきで進めている。石垣島の北部の漁港では、日米共同訓練を行政に通知することも無く、許可なしで強行した。これでは住民の受け止める感覚は反米国軍、反自衛隊になって行くのは当然のことである。

そして抗議活動が起これば、これを防衛大臣が行きすぎていると批判をする。何故抗議活動が起きているのかを理解し無ければならない。防衛大臣は住民の声を真摯に受け止めて、反省すべきところだろう。その反省が無いどころか、居直って抗議活動批判である。抗議する権利は住民にはある。

住民の命が危険にさらされている。軍事基地が出来たことで住民はミサイルの標的にされている。自衛隊が出来れば、石垣島の安全は確保されると、中山市長は主張していた。その荒唐無稽の理屈を説明してもらいたいものだ。住民の意識とは真逆の判断である。基地など無ければ、石垣島にミサイルを撃ち込むことなどあるはずも無い。

中国が台湾侵攻に際して、日本の軍事基地に先制攻撃をすると言うことはあり得ることだ。軍事基地の無い日本の島まで、攻撃するほど馬鹿な中国の軍隊は無い。日本の自衛隊はそういう馬鹿なことまでするというのだろうか。中谷氏ならやりかねないと言うのだろうか。

何もあり得ない波照間島の住民まで、九州への避難訓練が行われているのだ。つまり波照間島にまでミサイル基地を作ろうという計画があるのだろうか。軍事基地がなければ攻撃されないというのは、離島に暮らすものの実感である。なぜ危険にさらされる住民が軍事基地建設に、意見も言ってはならないというのだろうか。

住民が願っていることは、中国との平和外交である。敵対関係ではない。中国と敵対しろというのはアメリカの命令なのだろう。日本の政治家はアメリカの言いなりになるだけで、自分の考えがない。住民の命よりも、アメリカの命令のほうが重いのだ。なぜこのように洗脳されてしまうのかが不思議でならない。

この政府の方針には、公明党が大きく後押しをした。平和の党と主張しながらも、軍事基地反対と表明しながらも、結局は公明党の票が軍事基地建設を進めたのだ。石垣島では、議員数では賛否は拮抗していた。結果的には公明党の議員の動向が、基地建設を進めることになった。

現在、22名が市議会の定数で、公明党が2名いる。国政で連立から抜けた公明党の動向次第で、市議会の議決が変わるという場合も出てきたのではないか。期待している。自民党系が9名。中立が3名。公明が2名。野党系が8名。という勢力図である。中立と公明の動向では、中山与党の様子も変わってくるはずである。

公明は確か以前は3名いて反基地を表明していた。ところが実際には選挙が終わってみれば基地賛成に変わった。まあそうみられてはいたのだが。これから公明党が自分の意思で判断するようになれば、自衛隊基地に関して変わってくることがあるはずだ。

これから問題になるのは、中距離攻撃型ミサイルの石垣島配備である。宮古島では着々と進んでいる。与那国島でもかなり現実的になり始めていたところ、選挙で推進派の町長が敗れて、雲行きが少し変わった。自衛隊員票がかなりを占めている、与那国島でもさすがに、住民は危機感を高めているのだ。

 

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