石垣島で水牛の放牧成功

   

 

 大きくなったのぼたんである。のぼたんはもうすぐ竹富島の水牛車を曳くことになりそうだ。のぼたん農園を離れることになる。写真はメンバーのデザイナーアッキーさんのものである。この人の写真はまさに見た通りなのだ。写真だから見たとおりに撮れるわけではない。

 写真よりも絵の方が見たとおりであることもある。しかし、ちゃんと見えている人の写真は見えているように写すわけだ。ここがすごいといつも思う。のぼたん農園の旗はアッキーさんのデザインである。ラインにあげてくれたので使わせてもらった。

 生まれた時弱くて立ち上がれないような危ういあかちゃん水牛だったのが、こんなにたくましく育った。水牛を飼った喜びである。石垣島に来るまでは水牛を飼う事が出来るなど思ってもいなかったのだが、シーラ原に水牛が来てから、もう1年と3ヵ月になる。


 のぼたんは6ヶ月になるのに、まだ授乳している。たぶん150キロ以上もあるのに、最近はどこにいてもよくお乳を飲んでいる。どうも夏で暑くて、のどが渇くので飲んでいるように見える。母親のワカバはノボタンにはなかなか気をつけている。普段は水牛の行動は何でも大雑把に見えるのだが、子供に関しては行き届いている。

 生まれて2カ月ほどはワカバの足元にまとわりついていたのだが、ワカバは人の足を平気で踏みつける。ノボンタンのことを踏んでしまうのではないかと心配でならなかったが、そんなことは間違ってもしない。アッ踏んでしまうと見えても、ちゃんとわかっていて足が踏まないようにそれる。

 人間の足の場合は関係ないとばかり踏みつけてゆくくせに、さすが自分の子供には気を使っている。水牛は大雑把に見えてなかなか繊細な動物だ。牛に比べると、野生動物の本能が強く残っているのだろう。今でも野生の水牛がいるそうだ。余り人間が手をかけるよりも、水牛に従った方が上手く行くようだ。

 

 雨の日は牧草地に出てくる。人が行くと何かあるかと思って出てくることもある。広い牧草地なので、草は当分の間食べつくすことはないだろう。日差しが強い時は奥の林の中に3頭で仲良く寝そべっている。つないでいた時は対抗心がむき出しだったが、序列が出来て以来もめ事がないどころか仲良しに見える。

 水牛は角でぶつかり合い強弱を決める。初めての時はあの体重でぶつかり合うからこれは大ごとだと思ったのだが、その後は2頭で顔の位置を比べる。身体が大きい方が上位という事のようだ。時々比べては納得しているようだ。

 下位のサクラは上位のワカバのお尻に頭を擦り付けて、おせいじを使っている。その内まったく立場が安定して仲良くなった。これなら一緒に牧草地に飼う事が出来て、ずいぶん楽だ。早く放牧の柵を整備してあげなければいけなかった。


 台風が通り過ぎた後の田んぼは特別の問題は起きなかった。最大風速40mぐらいはあったかもしれないが、上手くしのいでくれた。穂がある状態での台風だからどうなるかと思ったが、ほとんど風の被害はなかった。あれこれ風対策をしているのが生きた。

 と思っていたらまた台風12号が来ている。今日明日と石垣島は暴風域である。私が東京のほうに来たら、相次いでの台風である。田んぼが気が気でない。雨が降って水が十分になったのはいいのだが、風で稲が倒されてしまうと、ひこばえが心配だ。

 田んぼの北側に上の田んぼがあり、それが北からの風を防いでいる。東西には防風の為の月桃が植えてあるが、これはまだ役に立つほどには成長していない。今のところ雑草をのばして、防風の役目をしている。一部はソルゴーが風よけになっている。

 写真の田んぼは7番田んぼで、水不足である。それでもひこばえが再生して来て、収穫まで行けそうである。収量は多分少ないと思う。でも普通の2期作ぐらいにはとれる可能性はある。併せれば、畝取りにはなる。何か手間をかけたわけではないのだから、有難いことだ。

 水牛の牧草地が出来て水牛にも手がかからなくなった。これで水道が来れば、水やりも楽になる。今は家からポリタンクで水を運んでいる。田んぼごとに週一回の当番制で回っている。私が石垣に戻れば、基本的に私が水やりをしてもいいかと思っている。

 いよりよ畑の整備に取り掛かりたい。畑の整備も一年目の正月ぐらいまでには終わるつもりで、取り掛からなければならない。一年目でのぼたん農園の構想の土木工事は終わることが良い。ユンボが来たらさっそく作業に取り掛かる。

 田んぼの畔の畑を畑土壌にするために数年かかると見なければならない。腐植を増やすことを中心に考えてゆく。腐植はソルゴーの緑肥が良い。これを粉砕しては漉き込む。一年目はソルゴーの漉き込みに費やしてもいいだろう。2年目から、畑を始める。

 上の畑は1反ほどではないかと思う。やはり最初はソルゴーを撒き、漉き込む。ここでは麦を作りたいと考えている。出来れば台湾で開発された、熱帯向きの小麦品種を作りたいと考えているが、まだ手に入るものかがわからない。

 ミナミノカオリでもいいかもしれない。ミナミノカオリは日本のパン小麦で一番暑さに強い品種という事だ。九州で作っている。石垣では難しいとしても、暑さに一番強いという事は悪くはない。今年はこの品種を小田原でも作るつもりだ。

 大豆に関しては、小糸在来種がなんとか石垣島でも栽培で来ている。もし収穫まで行けば、小糸在来は美味しいからいいかと思うが、これも台湾の品種が手に入れば、そのほうが作りやすいのではないかと考えている。石垣の気候や土壌がどれほど厳しいものかはだんだんわかってきた。

 コメ、大豆、麦、この三つが自給の基本である。そしてあとはイモ類である。イモ類は里芋の類もあるし、ジャガイモ、サツマイモの類もある。作りやすいものを作るようにしてゆく。自給農業の合理性をどこまでも探してゆくつもりだ。

 

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